今、日本で一番燃えている男は北京五輪に出場する野球日本代表の星野仙一監督といっても異論はなかろう。倉敷市出身で、燃える男の異名をとってきた。
日本代表は三月に約七十人の代表候補を選出する予定だ。本番に向け、ますます熱くなることは間違いない。その意気込みや、中日、阪神時代の監督生活を振り返り、勝つための「人」「時」「組織」をつかむ発想法を伝授した「星野流」(世界文化社刊)を読んだ。
人をつかむ二十の法則や自分をつかむ十六の法則などを記述するが、どの項目でもほえまくっている。例えば、自らについて「わたしくらい喜怒哀楽をストレートに出す監督はいない」と言う。勝っては泣き、負けては怒り狂う。「感情露出型の典型」と書く。
それが長所と自負する。自分の本性も人間性もすべてを飾らずさらけ出す。上にいる人間はいつでもだれに対しても「わかりやすい存在」でなければならず、裸の人間としての力量が必要だと強調する。
「迷ったら前へ、迷った時には必ず前へ」「恐ろしいのはガックリくること、だからカッカする」などの項もある。読み進むと、くよくよ悩んでいるより、とにかく一歩踏み出せと背中をどーんとたたかれた気分にしてくれる。
星野流の生き方をだれでもがまねはできまい。それでも、気分がめいった時には本を開いてみようと思う。