ロス銃撃事件で亡くなった三浦元社長の当時の妻、一美さん(死亡時29歳)の誕生日だった25日、母佐々木康子さん(75)=川崎市=が取材に応じた。夫の良次さんは、三浦元社長の日本での公判中に病死した。康子さんは「きっと(ロス市警は)やってくれる。お母さん、そう思ってるよ」と墓前で2人に語りかけたという。
「三浦(元社長)と闘うんだ」。それが良次さんの口癖だった。夫妻で捜査の徹底を求める署名を集め、1万ドル(当時200万円)の懸賞金も掛けて情報を募った。
良次さんが膵臓(すいぞう)がんのために58歳で亡くなったのは90年12月。まだ、三浦元社長の公判が続いていた。康子さんは毎朝仏壇に手を合わせ、娘と夫の冥福を祈り続けてきた。
1審の無期懲役は2審で逆転。03年3月に元社長の無罪が確定した。「あれだけ状況証拠がそろっていて無罪なんて。そんなばかな話ないでしょう」。康子さんは憤る。事件後の27年間について尋ねると、数秒間沈黙して涙を浮かべた。「一言や二言では話せません」【古関俊樹】
毎日新聞 2008年2月25日 22時37分 (最終更新時間 2月25日 22時44分)