最新記事一覧
初の「戦車闘争」”通史”/専修大の女子学生がまとめる
- 社会
- 2008/02/24
相模原市民らがベトナム戦争中、在日米陸軍相模総合補給しょう(相模原市)から戦車が搬出されるのを阻止した「戦車闘争」の初の”通史”を、同市に住む女子大生がまとめた。卒業論文として取り組んだ労作は、このほど発行された市民団体「相模原地方自治研究センター」の会報に掲載された。
通史をまとめたのは、専修大学文学部四年で現代史を専攻する栃折敬子さん(22)。厚木基地の騒音に悩まされる地域で育ったこともあって三十五年前の地元の反戦運動に関心を抱き、卒論のテーマに選んだ。
栃折さんは、自身も闘争に加わった同センターの桧鼻達実事務局長の仲介で、初期の闘争を先導した元相模原市議や闘争の中心となった「『ただの市民が戦車を止める』会」のメンバーら計七人に聞き取り調査。当時の新聞記事や市民グループの会報も読み込んだ。
闘争の経緯を丹念にたどり、同会が党派にとらわれない市民の受け皿だったことから運動が拡大した半面、戦車搬出の再開後に参加者の熱が冷めていく過程を詳述。一方で、市民グループ「相模補給廠監視団」が同会から生まれたことも紹介している。
卒論はB5判三百六十ページの大作。桧鼻事務局長が「客観的な視点でまとめた初の通史。当時を知らない若者が手掛けたことに意義がある」と会報への転載を依頼した。
栃折さんは、戦車闘争を「具体的な行動で戦車を止め、多くの『ただの市民』を呼び寄せた点で、既存の反戦運動の枠にはまらない」と位置付ける。その上で「権力に立ち向かった市民の行動力は相模原の誇り。風化させてはならない」と話している。
論文が掲載された会報は、希望者に郵送する(送料三百円)。問い合わせは、相模原地方自治研究センター電話042(752)4544。
このエントリーへのトラックバックURL:http://www.kanaloco.jp/trackback/28834/
神奈川新聞コンテンツ
定期購読のお申し込み
ハローキティ・キャンペーン実施中
試読のお申し込みはこちらから