海上自衛隊のイージス艦「あたご」と漁船「清徳丸」の衝突事故で、衝突12分前に清徳丸の灯火を視認しながらレーダー担当らへの伝達を怠った見張り隊員らが、第3管区海上保安本部の事情聴取に「相手がよけると思った」という趣旨の供述をしていることが24日、分かった。
3管本部は、この見張り隊員をはじめ、責任者だった当直士官やレーダー担当らも清徳丸を含む漁船団の接近を認識しながら危険と判断せず、衝突1分前まで自動操舵による直進を続けていた可能性があるとみて、さらに詳しく事情を聴く。
石破茂防衛相は同日のNHK番組などで「避けるべき船は法令上明らかだ」と述べ、あたごに回避義務があった可能性が高いとの認識を示した。
また、防衛省がこの見張り隊員が衝突2分前に見たと説明していた緑色の灯火について、3管本部が清徳丸の灯火ではなく、直前にかじを左に切った僚船の灯火だった可能性が高いとみていることも分かった。
3管本部は近く、現場海域で事故当日と同じ時間帯に、あたごとチャーターした漁船を航行させ、目視やレーダーでどのように見えるかなどを確認する。