元公安調査庁長官・総聯詐欺事件―河江被告の初公判(メモ)―(続々)
(筆者の妄想)
■公訴事実を否認しているらしい緒方被告が、「実はこの件は当初から公安調査庁の企画した総聯解体のための一大工作」「ところがある事情から、私が陥れられた」などと謀略論を展開し始めたらどうなるのだろう。そこまでは言い過ぎで信用性に欠けるとしても、「少なくとも当局には逐一通報して黙認を得ていた。それには斯く斯くしかじかの事情があって・・・」などと証言したら、一体どうなるのだろう? 緒方氏の与太話だけでなく、仮に緒方氏と「現職職員」の関係を裏付ける物証、たとえば、通話記録の類などが出てきたらどうなるのだろう。庁と事件との関係を完全否定している公安調査庁は致命的な打撃を受けるのではないか。公調が打撃を受けるということは、検察のストーリーも崩壊するということである。緒方被告の弁護人も、一度は検討すべき戦術ではないかと思う。総聯がそういう方向性で緒方被告を援護射撃したら、これはなかなか脅威かもしれない。というか、緒方被告がそう証言することを条件に、側面支援を約束したり・・・。
筆者は経験上、こと公調においてそういう謀略はあり得ないと断言できるけれども、世の中にはそういう謀略を考える、あるいはそういうふうに考えたい人が多数いることも事実。ある程度、事実と辻褄の合う話をでっち上げれば結構うまくいったりして。なんせ、「インテリジェンスに関することはお答えできない」などとハッタリをかましながら、「国策捜査」論を展開すれば、裁判所はともかく、世間の大半は欺けるわけだから。それに判事もインテリジェンスのことは分からないわけだし・・・。
これが公調の最も恐れるシナリオかもしれない。