現在位置:asahi.com>健康>メディカル朝日コラム> 記事 指導医講習会22008年02月25日 指導医講習会は主にワークショップ形式で進行する。「ワークショップ」受けたこと、もとい、参加したことあります? 5―8人の少人数に分けて作業を通じて合意形成をするという問題解決のトレーニング法。なんせ、少人数で(相互監視でさぼり防止)、課題を与えて作業させる(居眠り防止)、それを全体の前で発表させる(自然と競争心が芽生えがんばる)、というまことに教育効果の高そうな方法。講義方式だとどうしても居眠りする奴や、忘れる人が出てくるのに対して、参加型となるワークショップは「いい加減で生意気な社会人」の再教育方法としてはもってこい! てなわけで、企業研修なんかでもよく取り入れられる。
したがって、指導医講習会とはいえ、別室小部屋でグループに分かれて課題をこなす、大部屋に集まってグループごとの発表会、指導者(タスクフォースと言います。以下タスク)の突っ込みや他グループの突っ込みに答え、次の課題を与えられ、グループで分かれて作業し……と「分刻みのスケジュール」で、忙しいったらありゃしない!丸々2日間、この繰り返しで身も心も疲れ切る。だって相互監視でグループ責任で、作業があって絶対にさぼれないから。 グループの中では司会、記録、発表者まで課題ごとに役割分担させられる。しかもグループ作業中にはタスクが付いていて助言を与える(という名目のお目付け。私のトイレ回数までチェック)ってことになっている。疲れる。しかし、この「疲れ切らせる」のが敵(タスクは敵なのか?)の作戦なのだ。 グループのメンバー分けは指定される。同じ施設、知り合い同士だとさぼりやすいからね。よって最初に小部屋に分かれてグループ作業に入る時はお互いほとんど知らない人同士。部屋の作業台となる机の上には人数分の画用紙と色付きサインペン、クレヨンなどが置いてある。タスクは言いました。「これまでの人生で一番感動したり、教えられたりしたことを絵に描いてください」。げげげげげ〜! 本当に保育園になってきた! この年になって「お絵かき」かよ? 一瞬氷つく面々。それでもタスクにせかされて皆画用紙を取って「お絵かき」を始める。「色も使っていいですよ〜」タスクは園児に優しく勧める、とともに「作業時間は15分です。次にグループの中で自分の絵について1人2分で説明してもらいます。次の発表会の時に発表者1名が代表で皆の絵を発表してもらいます。記録係は記録を付けてください」とがっちり作業の指示も出す。 グループ内で各自発表。解説がなければなんの絵かも分からない前衛芸術だけど。「僕が一番勉強になったと思うのは、研修医の時、オーベン(※)の先生に夜は必ず12時まで病院にいろ、朝は必ず7時までに来いって言われたことです」とW先生。彼の画用紙には急変に対処しているらしきひも人形(○と線でだけでかかれた人型)がいくつか描かれている。「結局、その時間にこそ急変が多くて、オーベンといっしょにそれに対処したことが今の自分を作っていると思うんです」。そうだよな。研修ってそういうもんだよ。プログラムされた研修内容だけをこなしていたら技術が身に着くというものじゃない。本当の臨床能力は現場での実際の対処を経験することで身に着く。グループ内の皆が深く頷き、共感する。おお! なんだか良い感じにグループがまとまってきた感じ。 そして全体発表会とその後のタスクによる解説。「今皆さんにやっていただいたのはアイスブレークと言います。知らない者同士が仲良くなるための方法で、文字通りice brake」 何がice brakeだ! 私はFreeze!だ。まんまとタスクの罠にはまってうち解けてしまった自分。見渡すと、その解説にうれしそうな人と憮然とする人と半々。すべては仕組まれている! 気をつけろ、真田!!
※オーベン:指導医 筆者プロフィール
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