食の安全を根幹から揺るがす中国製ギョーザ問題の発覚から三週間余り。消費者の地元産志向が強まっているという。それに伴い、消費者は産地の分からない調理済み食品を手作りのものに変え、業者側も地元産食材のコーナーを広げるなど、消費者を引き付けるためのさまざまな対策を打ち出している。消費者の食に対する意識はどのように変わったのか、実態を追った。
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スーパーに特設された手作りギョーザの食材コーナー。消費者の安全志向が高まり、小売業者もアイデア勝負=21日、鳥取市のサンマート湖山店
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地元産食材を専門に扱うJAグリーン千代水店愛菜館(鳥取市安長)。県東部一円から生産者が持ち寄る地元産の生鮮野菜やみそ、梅干しといった加工品など千品目以上の地元産食品を扱う。
谷口文昭店長は「積雪で出品数が少ないため、金額的には昨年と比べて伸びていないが、地元産食材への回帰の動きは感じる」という。来店客から「生産者の顔の見える商品でないとだめだ」という声を聞くといい、“地物”に消費者の目が向いている現在の傾向を期待をもって見つめる。
県が推進する『とっとり地産地消いちば』を展開するサンマート(本部・同市湖山町東二丁目)は東部地区の七店舗全店で手作りギョーザコーナーを特設し、来店客に好評を博している。ひき肉や皮、ニラ、白菜などの野菜を一カ所にまとめて陳列し、調理方法が書かれた用紙を配布している。
同店は「少々高くても、安全な食材に注目が集まるのは世の中のすう勢であり、お客さまが求めるものを提供している」とし、引き続き「地元のものを提供しようと考えている」と意気込む。
八頭町の主婦(47)は「国産、できるだけ地元の食品を選んで買っている。もともと何が入っているのか分からないような加工食品は買わないことにしている」と話し、以前からの“地元主義”がさらに強まったという。
岩美町の主婦(31)は「今まではまったく気にせず食品を買っていたが、パッケージの裏側(原産地表示)までじっくり見て買うようになった。安くても外国産の食品は買わないようになった」とこれまでの購買行動が百八十度変わったと話す。
「地物を」という消費者の地元第一志向が強まると同時に、「地産地消」は安心・安全の代名詞として定着しつつあるようだ。