道立小児総合保健センター(小樽市、現在は道立子ども総合医療・療育センターと改称し札幌市に移転)で99年1月に水頭症の手術を受け、医療過誤で寝たきりとなる後遺症が残ったとして、道を相手取り1億3700万円の損害賠償を求めた札幌市内の女性(20)に対し、道は1億円を支払い和解する方針を決めた。道は過失を認めていないが、「裁判長期化で女性側に重い負担を与えることになる」と説明している。
訴状によると、当時11歳だった女性は99年1月、頭痛と吐き気を訴え同センターに入院し緊急手術を受けた。同28日、髄液を脳内から腹へと排出する管が詰まっていたことから、医師がこの管を抜こうとした際に脳内出血を起こし、脳ヘルニアが生じた。この結果、女性は心肺停止状態になり、常に介護を必要とする障害が残った。
女性側は「脳と管が癒着していたのに、管を抜こうとしたのが原因」として03年1月、札幌地裁に提訴。道は「心停止の原因は突発的不整脈で過失はない」と主張したが、同地裁は女性側主張をほぼ認め、07年10月に道が女性に1億円を支払う和解案を示した。【大谷津統一、芳賀竜也】
毎日新聞 2008年2月23日 北海道朝刊