2008年02月16日
「R.U.R.U.R」あるいは「夢幻廻廊 青の日」
人から聞いて知ったのですが、伊藤の書いたR.U.R.U.R(ル・ル・ル・ル)〜このこのために、せめてきれいな星空をが、2ちゃんねるの2007年ベストエロゲーの5位という好成績だったそうです。本当に嬉しい限りです。
そういったわけで、今回は『R.U.R.U.R(以下、ルルルル)』のお話しでも。
(本来なら、去年の春に出たばかりの作品の話は、あまりするべきではないのでしょうが……嬉しかったので、ちょっとだけ)
ルルルルは、いわば『やさしい夢幻廻廊』とでも言うべきゲームです。
夢幻廻廊というゲームにはいくつかのテーマが存在しますが、そのうちの一つは
「自分のしあわせは自分で決めないといけないよ(他人や常識に決めてもらうことではないんだよ)」
というものでした。
さらに言えば、それは
「本当に自分のしあわせを自分で決めたなら(他人や常識の決めた『正しさ』に拘らずに決めたなら)、その姿はさぞかし他人の目には奇異に映るだろう」
というものでもあります。
このテーマに関しては、もしかしてM調教のシーンなしでも表現できるのでは?
純愛ゲー(笑)としてキレイにまとまるのでは?
そう考えてつくったのが、このルルルルでした。
(なぜSFなのか、という点については、またいずれ…)
さて、ここで当時のアイデアメモより、企画の草案などを。
※以下、ネタバレ含みます
R.U.R.U.R ル・ル・ル・ル このこのために、せめてきれいな星空を 初回版
そういったわけで、今回は『R.U.R.U.R(以下、ルルルル)』のお話しでも。
(本来なら、去年の春に出たばかりの作品の話は、あまりするべきではないのでしょうが……嬉しかったので、ちょっとだけ)
ルルルルは、いわば『やさしい夢幻廻廊』とでも言うべきゲームです。
夢幻廻廊というゲームにはいくつかのテーマが存在しますが、そのうちの一つは
「自分のしあわせは自分で決めないといけないよ(他人や常識に決めてもらうことではないんだよ)」
というものでした。
さらに言えば、それは
「本当に自分のしあわせを自分で決めたなら(他人や常識の決めた『正しさ』に拘らずに決めたなら)、その姿はさぞかし他人の目には奇異に映るだろう」
というものでもあります。
このテーマに関しては、もしかしてM調教のシーンなしでも表現できるのでは?
純愛ゲー(笑)としてキレイにまとまるのでは?
そう考えてつくったのが、このルルルルでした。
(なぜSFなのか、という点については、またいずれ…)
さて、ここで当時のアイデアメモより、企画の草案などを。
※以下、ネタバレ含みます
■企画名:「チャペック(仮)」
人類が滅亡し、ロボットだけが暮らす世界。
そこに、コールドスリープから目覚めた主人公(男の子、記憶喪失、人類最後の生き残り)が。
ロボットたちはみんなで家族のフリをして、その子供を育てることに…。
■おおまかなストーリー:
冬眠カプセルから目覚めた少年、タロ(仮)。
記憶喪失だった彼は、優しい人たちと美しい“自然”に囲まれながら暮らしていました。
しかしある日、記憶は戻り、彼は知ることになります。
ここは、人類滅亡後の世界だったのだ、と。
自分の周りにいたのは、ただのロボット。それも、ほとんどは非人間型の工業機械。
景色も美しくなんかありません。
そもそも未来世界で育ったこの少年にとっては、青い空や緑の木々は“自然”ですらありませんでした。
ホロCMの映る空とコンクリートの地面こそが、彼にとっての“自然”の景色だったのです。
地面は草木がぼうぼうに伸び放題、空はCMの著作権が切れて青いまんま。工業ロボットたちは、ただ目的もないまま動き続けている。
ここはそんな、すっかり荒れ果てた世界だったのです。
(※このあたりから徐々にクライマックスへ。感動トークやバトルなどで盛り上げ、『世界はニセモノだったけど、ヒロインたちとの愛情は本物だった』という結論に持って行く)
最終的にタロは
『滅亡した人類を生き返らせるか?(ロボットたちの社会は崩壊する)』か、それとも『このままロボットたちと暮らすか(人類再生のチャンスは失われる)』の選択を迫られますが、悩んだ末にそのままイビツでグロテスクな世界で暮らすことを選びます。
「ぼくは、なんてばかなんだろう。大好きな家族や友達を、人類ぜんぶなんかと天秤にかけてしまっただなんて。どっちが大事かわかりきってたことじゃないか」
こうして人類は完全に滅亡してしまいましたが、べつにタロは寂しくなんかありません。
もちろん、しあわせなのは言うまでもないことです。
だって、タロには大好きなお母さんやお姉さん、それに友達がいっしょなのですから。
(「本物の世界」「本物の人間」「本物の命」――そんなもの実は、なんの価値もないものだったのです)
■キャラクター:
【ヒロインA】
メインヒロイン。
主人公の姉か妹、あるいは幼なじみの役を演じている。いわゆるツンデレキャラ。
本当は人類のことが嫌い。
実は軍事用アンドロイド。右腕が2本ある(武器やクローがついている)。
このヒロインのルートは『めでたさ』を担当。
EDは、ゲーム内世界にとってもファンタジーな『奇跡なくらいに全てが上手くいった状況』になる。
(たとえば、人類が再生した上で、ロボットの世界は意地される、など)
隙無くめでたいEDを用意することでユーザーに安心感を。
【ヒロインB】
姉、あるいは妹を演じている。陰気系(アヤナミ系)。主人公を溺愛。
伊藤が得意とする『度を越したヤキモチ焼き』キャラ。
(いわゆる狂気ヒロイン。夢幻の薫子さまやドーターメーカー2の閑みたいなの)
実は、環境管理用のナノマシーン集合体。身長が3メートルある(小さくなったり、さらに大きくなったりも)。
ナノマシーンを利用した超セックスプレイを。
このヒロインのルートは『キャラクター性』を担当。
狂気ヒロインがヤキモチで大暴れして、魅力全開。
(このヒロインが一番人気のキャラになるはず)
【ヒロインC】
母親を演じている。やさしいお母さん。
実は行政用コンピューター(の人型端末)。大型コンピューターと身長30センチほどのアンドロイドのセット。
妖精プレイ。
このヒロインのルートは『本筋』を担当。
一番テーマに迫ったストーリーに(上記のストーリー概要はこのヒロインのルート)。
【その他のロボット】
工業用ロボット。
非人間型。やたらたくさんいる。セリフは「イエス」「ノー」しか喋らない。でもやたらとカワイイ。
(デザインを可愛いデザインにしないこと! 無骨な工業機械に!)
ルークとR2みたいに、主人公と会話。
■その他アイデア:
・全般的に、おとぎ話風に。ト書きは敬語で。
・カルチャーギャップネタをいろいろ。
・こないだ観た劇団四季のCATSが面白かった。アレみたいなセンスで何かしたい。幕間みたいなところにキャラごとのショートストーリーだとか。このへん、いろいろ考える。
・舞台、実は巨大宇宙船の中? ウラシマ効果ネタ(タウゼロエンド)。
ただし『どこかの星に着いて幸せに暮らす』というラストはない。ぜったい有り得ない。『星』や『大地』では主人公は幸せにならない。家族や友達や晩ごはんといった、もっと無形でやさしいものが人間を幸せにする。
・記憶もどると、ヒロインたち人間の姿をしていない(火の鳥復活編)? 森や町も実は工場の中?(キツすぎ?) ←やっぱりやめた
・『ロボット』は差別用語。労働用という意味だから。
・ロボット三原則は、この世界にはない。もっとべつのルール。アジモフコードなどの言い方でも恥ずかしいから使わない。
・人類が一定人数復活すると、ロボットは自意識没収。人間がいなくなった非常事態にのみ、自意識を持つ許可が出る。
・ヒロインの名前、全員花の名前とか?
たとえばコスモス、タンポポ、アカシア(←コスモスまずい?ゼノサーガとかぶる?)
ハトムギ、ゲンマイ、ツキミソウ?(←これは冗談)
・ヒロインのデザイン、普通の人間型(普通のサイズ)にするべきか? 絵師さんやメーカーさんの方針を確認。
・ヒロインAのHシーン全部、よく見るとヒロインBの影(心霊写真的に)。実はこっそり覗いてた。「どうしてウソつくの……私、見てたんだから!」
・用語、SF作家の名前から。アンドロイドはチャペック、工業ロボはセーバーハーゲン、ナノマシーンはドレクスラー、電子頭脳はディック。
ディックは『まるで意思があるみたいに動くから』という当時の人間のシモネタ(メイルゲーム『パラダイストリガー』で一度使ったネタ。エルスウェア社に使っていいか確認)
以上、当時のアイデアメモでした。
日付から、かなり初期段階に書かれたものかと思われます。
実際のゲームとは違った部分も多いですが(そもそもメーカーさんに出した実際の企画書とも大きく違っています)しかし、だいたい骨格は出来上がっています。
ここからいくつか変更を経て、徐々にルルルルは現在の形へとなっていくのです。
と、ちょっとだけのつもりが長くなったので、今日はとりあえずこのあたりで。
またそのうち、この話の続きをするかもしれません。
人類が滅亡し、ロボットだけが暮らす世界。
そこに、コールドスリープから目覚めた主人公(男の子、記憶喪失、人類最後の生き残り)が。
ロボットたちはみんなで家族のフリをして、その子供を育てることに…。
■おおまかなストーリー:
冬眠カプセルから目覚めた少年、タロ(仮)。
記憶喪失だった彼は、優しい人たちと美しい“自然”に囲まれながら暮らしていました。
しかしある日、記憶は戻り、彼は知ることになります。
ここは、人類滅亡後の世界だったのだ、と。
自分の周りにいたのは、ただのロボット。それも、ほとんどは非人間型の工業機械。
景色も美しくなんかありません。
そもそも未来世界で育ったこの少年にとっては、青い空や緑の木々は“自然”ですらありませんでした。
ホロCMの映る空とコンクリートの地面こそが、彼にとっての“自然”の景色だったのです。
地面は草木がぼうぼうに伸び放題、空はCMの著作権が切れて青いまんま。工業ロボットたちは、ただ目的もないまま動き続けている。
ここはそんな、すっかり荒れ果てた世界だったのです。
(※このあたりから徐々にクライマックスへ。感動トークやバトルなどで盛り上げ、『世界はニセモノだったけど、ヒロインたちとの愛情は本物だった』という結論に持って行く)
最終的にタロは
『滅亡した人類を生き返らせるか?(ロボットたちの社会は崩壊する)』か、それとも『このままロボットたちと暮らすか(人類再生のチャンスは失われる)』の選択を迫られますが、悩んだ末にそのままイビツでグロテスクな世界で暮らすことを選びます。
「ぼくは、なんてばかなんだろう。大好きな家族や友達を、人類ぜんぶなんかと天秤にかけてしまっただなんて。どっちが大事かわかりきってたことじゃないか」
こうして人類は完全に滅亡してしまいましたが、べつにタロは寂しくなんかありません。
もちろん、しあわせなのは言うまでもないことです。
だって、タロには大好きなお母さんやお姉さん、それに友達がいっしょなのですから。
(「本物の世界」「本物の人間」「本物の命」――そんなもの実は、なんの価値もないものだったのです)
■キャラクター:
【ヒロインA】
メインヒロイン。
主人公の姉か妹、あるいは幼なじみの役を演じている。いわゆるツンデレキャラ。
本当は人類のことが嫌い。
実は軍事用アンドロイド。右腕が2本ある(武器やクローがついている)。
このヒロインのルートは『めでたさ』を担当。
EDは、ゲーム内世界にとってもファンタジーな『奇跡なくらいに全てが上手くいった状況』になる。
(たとえば、人類が再生した上で、ロボットの世界は意地される、など)
隙無くめでたいEDを用意することでユーザーに安心感を。
【ヒロインB】
姉、あるいは妹を演じている。陰気系(アヤナミ系)。主人公を溺愛。
伊藤が得意とする『度を越したヤキモチ焼き』キャラ。
(いわゆる狂気ヒロイン。夢幻の薫子さまやドーターメーカー2の閑みたいなの)
実は、環境管理用のナノマシーン集合体。身長が3メートルある(小さくなったり、さらに大きくなったりも)。
ナノマシーンを利用した超セックスプレイを。
このヒロインのルートは『キャラクター性』を担当。
狂気ヒロインがヤキモチで大暴れして、魅力全開。
(このヒロインが一番人気のキャラになるはず)
【ヒロインC】
母親を演じている。やさしいお母さん。
実は行政用コンピューター(の人型端末)。大型コンピューターと身長30センチほどのアンドロイドのセット。
妖精プレイ。
このヒロインのルートは『本筋』を担当。
一番テーマに迫ったストーリーに(上記のストーリー概要はこのヒロインのルート)。
【その他のロボット】
工業用ロボット。
非人間型。やたらたくさんいる。セリフは「イエス」「ノー」しか喋らない。でもやたらとカワイイ。
(デザインを可愛いデザインにしないこと! 無骨な工業機械に!)
ルークとR2みたいに、主人公と会話。
■その他アイデア:
・全般的に、おとぎ話風に。ト書きは敬語で。
・カルチャーギャップネタをいろいろ。
・こないだ観た劇団四季のCATSが面白かった。アレみたいなセンスで何かしたい。幕間みたいなところにキャラごとのショートストーリーだとか。このへん、いろいろ考える。
・舞台、実は巨大宇宙船の中? ウラシマ効果ネタ(タウゼロエンド)。
ただし『どこかの星に着いて幸せに暮らす』というラストはない。ぜったい有り得ない。『星』や『大地』では主人公は幸せにならない。家族や友達や晩ごはんといった、もっと無形でやさしいものが人間を幸せにする。
・記憶もどると、ヒロインたち人間の姿をしていない(火の鳥復活編)? 森や町も実は工場の中?(キツすぎ?) ←やっぱりやめた
・『ロボット』は差別用語。労働用という意味だから。
・ロボット三原則は、この世界にはない。もっとべつのルール。アジモフコードなどの言い方でも恥ずかしいから使わない。
・人類が一定人数復活すると、ロボットは自意識没収。人間がいなくなった非常事態にのみ、自意識を持つ許可が出る。
・ヒロインの名前、全員花の名前とか?
たとえばコスモス、タンポポ、アカシア(←コスモスまずい?ゼノサーガとかぶる?)
ハトムギ、ゲンマイ、ツキミソウ?(←これは冗談)
・ヒロインのデザイン、普通の人間型(普通のサイズ)にするべきか? 絵師さんやメーカーさんの方針を確認。
・ヒロインAのHシーン全部、よく見るとヒロインBの影(心霊写真的に)。実はこっそり覗いてた。「どうしてウソつくの……私、見てたんだから!」
・用語、SF作家の名前から。アンドロイドはチャペック、工業ロボはセーバーハーゲン、ナノマシーンはドレクスラー、電子頭脳はディック。
ディックは『まるで意思があるみたいに動くから』という当時の人間のシモネタ(メイルゲーム『パラダイストリガー』で一度使ったネタ。エルスウェア社に使っていいか確認)
以上、当時のアイデアメモでした。
日付から、かなり初期段階に書かれたものかと思われます。
実際のゲームとは違った部分も多いですが(そもそもメーカーさんに出した実際の企画書とも大きく違っています)しかし、だいたい骨格は出来上がっています。
ここからいくつか変更を経て、徐々にルルルルは現在の形へとなっていくのです。
と、ちょっとだけのつもりが長くなったので、今日はとりあえずこのあたりで。
またそのうち、この話の続きをするかもしれません。