医師確保対策として、県は20日に発表した2008年度一般会計当初予算案に前年度とほぼ同額の5億2600万円を計上、引き続き重点的に取り組む姿勢を示した。新規では、県外に新たな医師派遣ルートを開拓しようとする自治体病院の支援経費として2千万円を計上。相当に厳しい取り組みになることが想定され、手を挙げる自治体病院が出るかどうかは未知数だが、県は本県の医師不足は危機的状況―とし、自治体病院に思い切った取り組みを促す。
「自治体病院医師確保特別対策支援事業」では、自治体病院が主体的に行う医師派遣ルート開拓の取り組みを県が支援、総事業費の二分の一を補助する。一事業を想定、事業費上限は4千万円。
他県では、地域医療に関する研究活動を要請して基礎的経費を寄付し、それに応えて大学側が診療に当たる―という事例もある。しかし地方への医師派遣、医療支援は実際にはかなり厳しいという。本県でも今年度、十和田市と神奈川県の北里大学の間で連携が模索されたが、全国的に不足が著しい産科医の招へいが目的だったこともあり、まとまっていない。
また自治体病院側には、本県唯一の医師供給源である弘前大学と良好な関係を保ちたい―という思いもあり、さまざまな面でハードルは高い。
しかし県内の医師不足は深刻で、ここ1、2年は救急指定の一時取り下げ分(ぶん)娩(べん)の休止病院の診療所化など、県民にとっても目に見える動きとなって表れてきている。こうした現状を踏まえ、県医療薬務課は「(新規ルートの開拓は)厳しいことが予想されるが、実現できれば変わってくる」として、病院にこれまで以上に踏み込んだ対策を促す。
新年度の医師確保対策はこのほか、女性医師間のネットワーク構築事業、米国クリーブランドクリニックとの相互交流、医学部入学促進対策事業など。働く意欲がわく環境整備や医学生の育成・県内定着医師の研修や研究体制の充実などに取り組み、医師確保につなげたい―としている。