ロシアの首都モスクワで、息子や孫と偽って電話をかけ、両親や祖父母らに架空の事件の示談金を支払わせるなどしていたロシア版“オレオレ詐欺”グループが検挙され、警察当局は他にも同様の犯罪グループがいるとみて、「もし、親族を名乗る不審な電話がかかってきたら、いくつかの質問をしてみて確認をしてほしい」と注意を呼びかけている。
当局によると、モスクワ市内で被害が寄せられ始めたのは昨年9月ごろ。日本ではやった「オレオレ詐欺」や「振り込め詐欺」の手口に酷似しており、突然、息子だという男から両親宅に電話がかかってきて、「ばかなことをして警察に捕まってしまった」などと伝える。
電話が切れると、すぐに別の男から電話があり、「息子さんが被害者を殴った。頭に大けがをして病院に運ばれている」と緊迫した様子で申告。今度は、警察や裁判所の担当者とする3人目の男から電話がかかってきて、「5万ルーブル(約22万円)をいま払えば、ことが大きくならなくて済む」などと持ちかけ、動揺した両親らに現金を支払わせるのだという。
詐欺グループは迫真の演技の上、手口は多様化、巧妙化しており、だますエピソードが交通事故の想定だったり、電話の音声のバックに、緊迫した現場を彷彿(ほうふつ)させるような効果音が入っていたりすることもあったという。
警察当局ではすでに被害者は100人を超え、被害総額は1000万ルーブル(約4400万円)以上にも上るとみており、日本の場合と同様、手口を詳細に紹介し、注意を呼びかけている。(佐々木正明)
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