◇医師負担軽減へ
救急医療に従事する医師の負担を軽減するため、伊賀、名張両市と両市内の3総合病院は22日、伊賀市役所で記者会見し、時間外の2次救急を3病院が交代で受け持つ「輪番制」を4月1日から始める、と発表した。救急患者の搬送に従来より時間がかかる場合も出るが、今岡睦之・伊賀市長は「地域医療を守るために踏み切らざるを得ない」と理解を求めた。同市によると、市境を越えた輪番制の導入は県内初。【傳田賢史】
輪番制を取るのは、▽伊賀市立上野総合市民病院(伊賀市四十九町、村山卓院長)▽岡波総合病院(同市上野桑町、猪木達院長)▽名張市立病院(名張市百合が丘1、竹内謙二院長)--の3病院。対象となる時間帯は、平日午後5時から翌午前8時45分と、土日祝の午前8時45分から翌午前8時45分の間。
2次救急の輪番制は、夜間と休日に、手術や入院の必要な救急患者の診療について、あらかじめ当番病院を決める制度。現在、名張市立病院は独自に24時間の患者受け入れ、伊賀市では2病院の輪番制、を取っている。
しかし、名張市立病院では、内科系医師の当直勤務が月平均6・4回に達するなど、各病院で医療態勢の維持が困難になっていた。
輪番制の導入で、伊賀-名張間の救急搬送では、15~20分程度余計に時間がかかるとみられる。しかし、担当病院以外では救急患者の受け入れはせず、各病院の負担は、単純計算で現行の半分となる見込み。
また、医師不足や高齢者の増加が今後も続くことが予想されるが、今回の措置は当面の危機をしのぐためで、さらなる対策は今後の検討課題、としている。
また、会見では「緊急性のない患者が、時間外救急を夜間診療所のような感覚で使うケースもある」として、そうした場合に備え、平日日中に通院するよう呼び掛けを強める方針も示された。
〔伊賀版〕
毎日新聞 2008年2月23日