唐津赤十字病院の産婦人科医が今年4月に1人辞めるため、同科が1人体制になる恐れが出てきた。手術への対応ができなくなり、診療科として事実上の崩壊といえる状態で、唐津市周辺で出産ができないことにもつながりかねないという。事態に危機感を抱いた同市の坂井俊之市長らは22日、県庁に古川康知事を尋ね、医師確保を要望した。
同病院は昨秋、産科医の1人が県外の医療機関に移ることを知った。このため、同病院は佐賀大などにも依頼して医師の確保を図ったが、今もめどは立っていない。
この日、古川知事を訪問したのは、坂井市長のほか、山岡宏太郎院長ら同病院関係者や、同市の産科医ら。
要望書では「唐津赤十字病院で緊急手術ができなければ(出産事故の危険性が高まり)地域の産科医は出産を取り扱うことは難しくなる」と指摘し、地域医療の危機を訴えた。
これに対し知事は「短期的には関係機関にお願いするしかない。安心してお帰りくださいと言えないのが残念」と、打開策がないことを吐露。その上で「問題の大きさを再認識した。一生懸命やらせてもらう」と述べた。
同病院の産婦人科をめぐっては、06年4月にも派遣されていた大学病院の医師2人が引き揚げられた経緯がある。その後、佐賀大から医師2人が移り、現在の体制になっていた。【上田泰嗣】
毎日新聞 2008年2月23日