産婦人科、麻酔科の医師不足解消を支援するため、倉敷市は市立児島市民病院での分べんと麻酔業務にかかわる医師に特殊勤務手当を支給する条例改正案を25日開会の定例市議会に提案する。公立病院と民間病院の勤務状況や給与の格差を埋め、医師の確保と定着をはかる。県内の公立病院でも同様の手当は珍しいという。【山崎明子】
◇「医師確保へ環境整備」
条例改正案では、医師が分べん業務を行った場合、勤務時間内は1回2万円、時間外は同3万円の手当を支給する。麻酔業務では、ほかの診療科の依頼で応援として従事した場合、全身麻酔で1回2万円、それ以外は同1万円を支給する。これまでは、時間外勤務や感染症患者への業務を行った場合などに特殊勤務手当があったが、分べんや麻酔業務への手当支給は初めて。
同市民病院によると、産婦人科は医師1人、助産師7人(正規職員5人)の体制で年間約200人が出産し、そのうち夜間の分べんが6割強を占める。また、麻酔科医師がいないため、手術の際にほかの診療科の協力で麻酔を行う例が約1割ある。担当科外の患者への麻酔はリスクが高まるため、医師の負担を新設手当で補い、緊急手術に対応しやすい協力体制づくりを目指すという。試算では1年間で分べん530万円、麻酔110万円の手当が発生する見込み。
三宅進事務局長は「両科は医師が少なく、確保が難しい。定着や呼び込みのための環境整備が必要」と話している。
毎日新聞 2008年2月23日