自然食はおいしい

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷
印刷

自然食はおいしい:がん患った母娘、マクロビオティックの料理教室主宰  /北海道

 ◇養生通じ食の大切さを痛感

 札幌市中央区のマンションの一室でマクロビオティックの料理教室が開かれていた。「オーガニック スタジオ アウラ」。この日の受講生は女性ばかり10人で、テーマはスイーツ。「白砂糖はなぜ体に良くないのか」。主宰する佐藤亜矢子さん(36)がやさしく解説する。わきでは母順子さん(62)がベビーシッターを務めていた。

 奇しくも母娘でがんを患った。亜矢子さんは20歳だった91年、甲状腺がんのため甲状腺の4分の3を摘出。2年後に肺転移し、肺の一部を切除した。

 標準的な抗がん剤や放射線治療は一切せず、鍼灸(しんきゅう)や漢方を選んだ。それがきっかけで鍼灸師の資格を取得。東京のクシマクロビオティックアカデミィでマクロビオティックを本格的に学んだ。

 順子さんは02年、左顎下腺様(さがっかせんよう)のう胞がんを発病。2度手術した。主治医は家族に告げた。「全身に転移するタイプのがんなので1年もたないかもしれない。医師としてあきらめない姿勢を見せるために放射線治療をやりたい。お母さんを説得してほしい」

 順子さんは抗がん剤も放射線も断り、退院した。「自分の中の治る力」を信じ、びわ温灸や鍼(はり)、漢方を選択。約5年前、NPO法人ガンの患者学研究所に入会した。

 がんが2人の人生を変えた。がん養生を通じて食の大切さを痛感し、2人とも玄米菜食を実践する。順子さんは特に厳格に守っているという。「玄米菜食は工夫次第で明るくおいしくなる。パワーがあって元気になれた。こんな素晴らしいことはない」と話す。

 亜矢子さんが目指すのは「北海道の食材を使う北海道ならではのマクロビオティック」。「住んでいる環境の中で自分の体の声を聞きながらマクロビオティックを実践していきたい」

 アウラでは新年度のベーシックコース受講者を募集している。6カ月で10回。各回定員6人。受講料は計4万2000円。詳細はホームページ(http://sionmm.com/aura)参照。【山田寿彦】

  ×  ×

 04年10月に始まった本欄は41回目の今回で終わります。マクロビオティックや精進料理、ユニークな長岡式酵素玄米などの紹介、そして食にまじめに取り組むお店が発信する情報を通して、玄米菜食の素晴らしさを伝えることに主な力点を置いてきました。現代日本の食はこれでいいのか、考えるきっかけにしていただけたら幸いです。ご愛読ありがとうございました。【山田寿彦】

毎日新聞 2008年2月23日

 

おすすめ情報