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自然食はおいしい:がん余命宣告から13年…玄米食続け命の炎 /北海道

 がんで事実上の余命宣告を受けてから約13年。札幌市の佐藤舜哉(しゅんや)さん(68)は今も土地家屋調査士・測量士として活躍している。現代医学の標準的ながん治療を拒否し、厳格な玄米食と強じんな意志の力で命の炎を燃やし続けてきた。「がんに侵されたというより、がんと一緒に過ごさせてもらっている」。その経験は多くのがん患者に希望を与える。【山田寿彦】

 「これが私の昼食です」。佐藤さんは手のひらサイズの小さな弁当箱を取り出した。玄米と古代米、雑穀(すべて無農薬)が茶わん1ぜん分。副菜に漬物、梅干し、のり。一口ずつ200~250回かむ。そばを食べることもある。朝は食べない。

 手術後の95年6月、森下敬一医師(本欄「病は食から」執筆者)を初めて訪ねた。体重は手術前の62キロから約30キロ減っていた。病院で処方されたカプセルを抗がん剤と知らずに飲んでいた。森下医師は「そんなもの飲んだら死ぬで」と言った。

 森下医師の指導で、雑穀入り玄米とたくあん2切れを昼と夜の2食だけという食事になった。それ以外は厳禁。週に1度絶食した。コンニャクやびわの葉の温湿布で体を温めた。「生きたい、勝ちたい」。その一念で指示を守った。病状はぐんぐん良くなった。

 3年7カ月後、小魚、煮付けた根菜、果物(りんご16分の1を週1個まで)、みそ汁、納豆・豆腐が許された。酒も「エビスビールなら」という条件で飲めるようになった。

 現在の禁止食物はてんぷらなどの油物、肉、刺し身、卵、牛乳、ヨーグルト、果物、生野菜、砂糖など。乳製品はカマンベールチーズだけ、ホタテやカキは熱を通せば食べていい。

 00年のホノルルマラソンを6時間台で完走。02年の同マラソンで4時間38分18秒の自己最高記録をマークした。05、06、07年の那覇マラソンも完走した。一時は歩けなくなった体が回復した喜びでゴール近くになると涙が出てくる。

 「がんは医者に頼るだけでは絶対治せない。苦しい時は好きな音楽を聴きながら気持ちを静かに保つことが大事です」。病を得て人に「ありがとう」と言えるようになった。「素直な気持ちになれたのはがんのおかげかな」。今もがんは完全に消えてはいないが、これからも一緒に生きていきたい。

 ◇佐藤さんを招き考えるイベント--札幌で3月9日

 佐藤舜哉さんをゲストに招くがんを考えるイベント「治ったさんスペシャル2008in北海道」が3月9日午前10時~午後3時半、札幌市中央区北2西7のかでる2・7で開かれる。NPO法人「ガンの患者学研究所」主催。入場料2100円。申し込みは045・962・7466。同研究所は札幌市内で毎月第2火曜日に例会を開いている。

 ◇佐藤さんの病歴

 95年4月、進行した大腸がんを手術。直後に直腸にもがんが見つかった。主治医の見立ては「よくて年を越せるかどうか」。再手術・抗がん剤・放射線治療をすべて断り、森下敬一医師の下で自然医学療法を選択。

毎日新聞 2008年1月26日

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