・・・・ 時は19世紀の後半、ロシア帝国 ・・・
農奴制の廃止で騒乱が起きたように、アレクサンドル2世の改革は、当時は好評ではなかった。
しかしその効果は徐々にあらわれ、1860年の後半からはロシア経済も成長をはじめる。
クリミア戦争の敗北から回復したロシア帝国は、再び地中海進出への野望を燃やしていた。
↓ロシア
地中海進出のためには、黒海艦隊の再建が必要クマ。
だがパリ条約では、黒海での艦隊所有は禁止されていた。
パリ条約を破ったら、フランスとイギリスは黙っていないクマ。
特にイギリスは、武力行使も辞さない構えを取るのは確実クマ。
それどころか、オスマン・トルコに侵略するのも難しいです。
クリミア戦争以来、イギリスは地中海航路を守るため、オスマン・トルコの保護を国防方針としていた。
つまりオスマン・トルコに攻撃を企てる国は、最悪イギリスとの交戦も覚悟しないといけないのである。
困ったクマ、前みたいに孤立して袋叩きにあったら悲惨クマ。
ロシアのバルカン半島進出→地中海進出を支持してくれる、そんな味方が欲しいですわね。
前のクリミア戦争では、オーストリアまでもが地中海進出の敵であると明らかになった。
具体的に言うと、足元のバルカン半島にロシアが進出することを歓迎していないのである。
※1860年代のヨーロッパ
だが19世紀後半、軍事バランスを激変させる国が現れる。
皇帝陛下、ここに良い情報が入ってきています。
プロイセン王国(後のドイツ)のビスマルク宰相が、対フランス戦の準備をしているようで。
フランスとプロイセンが?
まぁ、あいつらはいつも飽きずに戦争しているクマね。
少しは我がロシア帝国のような、平和を愛する癒し系国家になればいいのに。
あ、あは、あはははは♪ ( ここはきっと笑うところですわね )
で、プロイセンとフランスが戦争したら・・・・それがロシアに何のプラスになるクマ?
ビスマルクめは、対フランス戦で我が国に干渉されないかが不安なようで。
「ロシアが介入せずに中立を約束してくれるのなら、ロシアがパリ条約を破って黒海に艦隊を建造しても、これを黙認する。」
と申してきております。
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!!
ロシアという国 …bS
「 帝国の逆襲 (中編)」
「個人の間では、法律や契約書や協定が、信義を守るのに役立つ。 しかし権力者の間で信義が守られるのは、力によってのみである。」 「無理じいされて結んだ協約を破棄するのは、恥ずべき行為ではまったくない。 協約が公的なものである場合、相手国の力が弱まるやいなや、破棄されるほうが当然なのだ。 歴史を見れば、このような例は枚挙にいとまもないほど多いことがわかる。 君主間に結ばれた協約は、双方の力関係の変化によって、いとも簡単に破られてきたのだ。 また、それを結んだ理由が消えてしまえば、すぐさま破棄されるのが実情であった。」 ―― マキャベリ |
欧米の19世紀後半を語るとき、どの国の歴史を語ろうとも、ドイツを無視することはできない!
よってこの「ロシアという国」の第4話では、ロシアはちょっと脇においてドイツについて説明しよう。
ついに我らが愛するドイチュの出番でつね。
19世紀後半のドイツについて、簡単に説明しておこう。
ドイツという国が誕生するのは1871年であって、それまでは複数の王国に分裂していた。
例えるなら豊臣家による天下統一前の日本だと思ってくれたらいい。
だがこれには当然、ドイツ民族からも不安の声があがる。
↓プロイセン
せっかく産業革命で工業も発展してきたのに、いつまでもバラバラでは貧弱な農業国のままだわ。
そろそろドイツ民族は、我がプロイセン王国の主導で1つの国家に統一すべきじゃないかしら。
えっと。。。よく分からないんだけど「プロイセン王国」って?
ドイツ諸王国の中でも、最大の力を持った王国だよ。
戦国時代の日本に例えて言えば、天下統一前の豊臣家と思ってくれたらいい。
ちなみに国王はヴィルヘルム1世な。
ドイツ統一でいちばん手っ取り早いのは、もっとも強い王国であるプロイセンがリーダーになって他を統一することだ。
だが統一の障害になるのが、オーストリア だった。
1860年前半のヨーロッパ
なんで?
オーストリアは多民族国家で、国内にはドイツ民族も多く住んでいるからだよ。
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↓オーストリア
プロイセン君、私の国内にいるドイツ民族と合併したらどうかね?
そして巨大な統一帝国を作ろうではないか、もちろんリーダーは私だが。
※ これを「7000万帝国構想」と呼ぶ
↓プロイセン
アホ言わないでよ、それじゃ統一できても私はあんたの子分でしょ?
あくまでも我がプロイセンがリーダーになって統一するから、放っておいてちょうだい。
※ これを「小ドイツ主義」と呼ぶ
・・・・・・・・・(−−メ)
・・・・・・・・・(−−メ)
( 戦争してブチのめすか )
・
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・
・
・
プロイセンの主導でドイツ統一を果たすには、オーストリアと一戦交えて負かす必要があった。
さてここで問題だ、プロイセン(ドイツ)がオーストリアと戦争するにあたって、注意しないといけない事は何だ?
これは地図を見たら分かる。
1860年前半のヨーロッパ
他国がオーストリアに味方することを防がないといけないですわね。
「他国」とは、どこの国のことだ?
ドイツ諸王国と隣接している国・・・ロシア とフランス ですわ。
その通り。 ロシアがオーストリアに味方しないようにするのは簡単だ。
何せクリミア戦争ではオーストリアに裏切られたからな。
ロシアにとっては、オーストリアなんてバルカン半島に進出する邪魔者でしかない。
… そして何よりもプロイセンは、クリミア戦争ではロシアが他国に寄ってたかって叩かれる中、好意的な中立を貫き通してロシアから感謝されていました …
… 口で言うと簡単ですが、当時は自分よりも強大な列強オーストリアから「クリミア戦争に参加してロシアを攻撃せよ!」と強い要望があったので、これを退けるのは大変だったでしょう
…
… プロイセンには分かっていたのです、“ 隣国 ” であるロシアの恨みを買ったら、ドイツ統一の邪魔になると
…
・
・
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・
・
しかし問題はフランスね!
ビスマルク、ちょっと来て〜。
↓ビスマルク
お呼びですか、陛下。
外交の得意なあなたに聞きたいんだけど…
我がプロイセンがオーストリアと戦争したら、フランスはオーストリアに味方するかしら?
少なくともオーストリアはフランスに参戦を求めるでしょう。
そして私がオーストリアなら、フランスにこう持ちかけますね。
「味方してくれたら、勝利の暁にはプロイセン領土のライン川左岸を君にプレゼント〜☆」
「これでフランスの国防はバッチリだねっ (^−^* 」
たしかに、フランスはずっと前から
「ライン川の左岸をぜんぶフランスの領土にしたいなぁー…」
「ライン川が国境になったら、地形を生かした自然防衛ラインとなり、国防もしすいよねー…」
・・・・と言っているわね。
どうやって中立を約束させようかしら。
国王陛下(ヴィルヘルム1世)、お任せを。
できるの?
フランス皇帝のナポレオン3世は、少年時代をバイエルンで過ごしたために親ドイツ的です。
また彼とは、私が駐フランス公使であった頃からの顔見知りですので。
まー人が良いというか性格が弱いというか、簡単に手玉に取れるでしょう。
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なんか史実のビスマルク宰相 の絵と、えらい違いがあるんでつが。
イメージ画像だ、気にするな。
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我がプロイセンはオーストリアとの戦争を避けられそうにもありません。
我がプロイセンがオーストリアと戦争するに当たっては、介入せずに中立を取って頂けませんか。
↓フランス
で、我がフランスが中立の立場を取ったら、その対価として何をもらえるんですの?
我が領土であるライン川の左岸を、フランスに割譲することを、考えないことも無いことも無い可能性を前向きに検討するよう善処するかもしれない用意がございます。
ほ、ほんとですの!?
・・・・・(うーん、実はオーストリアからも『協力してくれたら、勝利の暁にはプロイセン領のライン川左岸をプレゼント』と言われているんですの)
・・・・・(問題はどっちが勝つか、ですの)
・・・・・(列強オーストリアは最近不調とはいえ、人口は3300万、対するプロイセンは1800万人ぽっちですの)
・・・・・(しかもドイツ諸王国の中には、プロイセンよりオーストリアに味方する連中も多いですの)
・・・・・・(気の毒だけどプロイセンに勝ち目はないですの)
・・・・・・(負けたらきっと、我がフランスに仲裁を求めてくるだろうですの)
・・・・・・(そうなったら仲裁の代償として、ライン左岸の領土割譲をのませるですの)
・・・・・・(ってことは、何も戦争に参加しなくても、ライン川左岸は確実にゲットですの)
・・・・・・(そっちの方がはるかに安上がりですの)
オッケーですの、中立を取るですの。
ライン川左岸の件、お忘れなきようお願いするですの。
ありがとうございます〜♪
※ これを「ビアリッツの密約」と呼ぶ
1866年、普墺戦争
※普:プロイセン 墺:オーストリア
やっほー♪ 勝ち勝ちぃ〜♪
む、無念・・・
↓モルトケ
軍の近代化もできていないオーストリアなど敵ではありません。
ナポレオンの頃からさして変らない軍備で、何が列強やら。
これからは工業力の弱い国、最新技術を軍事に応用できない国が戦争に勝つことは不可能な時代です。
外交の天才のビスマルク宰相と、戦争の天才のモルトケ参謀がいれば、我がプロイセンによるドイツ統一は時間の問題ね♪
2人とも、これからもよろしく頼むわ♪
ははっ!
ふふふ、この圧倒的な勝利の理由は、我がプロイセンの参謀本部による電信と―――
モルトケ、軍オタな説明はカットだ。
軍事の天才がいて瞬殺した、ということだけ分かったらそれでいいから。
(´・ω・`) ショボーン・・・・
それより陛下、フランス野郎 めが「今すぐオーストリアと講和するですの!」と言ってきています。
こちらが断れば、軍事介入も辞さないようですね。
フランスが?
我がプロイセン軍があまりに圧勝したため、このままオーストリアを滅亡→併合して巨大化することを恐れているのですよ。
とにかく早急にオーストリアと講和を結びましょう。
そうね、私もさっきから講和条件のことを考えていたのよ。
うふ、うふ、うふふふふふ・・・
オーストリアの奴はどうしてくれようかなぁ〜?
私にタテついた罰ゲームよ、講和の条件は以下の2択から選んでちょーだい。
1) 領土&賠償金をガッポリと取られてオーストリアは破産し、その後は永遠の謝罪。
2) 皇帝が責任をとって、ロープをつけずにバンジージャンプをする。
ま、待ってくれ! 家には身重な妻と幼い子供が ・゚・(つД`)・゚・
あーん、聞こえんな〜。 さっさとどちらか選びなさいよ!
モタモタしてたらフランスがしゃしゃり出てくるでしょ!
陛下、失礼いたします。
ド ス! 「ぐほぁー 」
・・・・・・・( ぴくぴく )
今後は我々のドイツ統一に文句言わないで下さいね。
領土は結構ですので。
あ、ありがとう ・゚・(つД`)・゚・
・・・げほげほ・・・せ、せっかく勝ったのに。
だって、カワイソウじゃないですか。(棒読み
・・・・
↓フランス
あのー。
はい? 講和したんだから文句ないでしょ?
・・・・(チッ、やはり来やがったか!)
中立守ったんだから、ライン川の左岸を割譲して欲しいんですの。
・・・・え゛?(汗
はあ? 考えるって言っただけだろボケ!
Σ(´Д `;)
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| Hit!
ぱくっ|
/V\
/◎;;;,;,,,,ヽ そんなエサで
_ ム::::(,,゚Д゚)::| 俺様が釣られると思ってんのか!!
ヽツ.(ノ:::::::::.:::::::.:..|) 【From】フランス
ヾソ:::::::::::::::::.:ノ 【皇帝歴】15年
` ー U'"U' 【お魚No.】 ナポレオン3世
【釣られた時の餌】【キタ━(゚∀゚)━!!!!】 ビスマルク、ライン川左岸の割譲を約束
【自然防衛ライン】
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どーすんのよビスマルク! これでフランスは確実に敵になったわよ!
余計な敵を作るなんて、作戦を立てる私の身にもなってください。
んなコト言われましてもねぇ!
約束通りにライン川の左岸を割譲したら、国民に売国奴呼ばわりされて我々は失脚ですよ?
かといって約束しなければ、フランスはオーストリアの味方について参戦していたかもしれません。
文句があるなら代案を出してくださいな。
…あんたひょっとして、オーストリアとの早期講和 & 戦後賠償の手加減は…
これからブチ切れたフランスが敵になるのに、オーストリアの恨みを買ってはマズイでしょ?
2対1は避ける、これ外交の基本です。
とりあえず今から、対フランス戦の下準備しときますね。
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ふと思ったんだけど、イギリスは知らんぷり??
イギリスの興味は2つだけだ。
1) 植民地の拡大と、既存の植民地(とくにインド)の維持
2) 本国と植民地の海上ルートの確保
ヨーロッパ本土での覇権争いには巻き込まれないように距離を置く、その間に着実に海外植民地を確保・保持していくのがイギリスの方針だよ。
・・・・ いわゆる「栄光ある孤立」の政策ですね ・・・・
さてオーストリアの排除によって順調に進むドイツ統一だが・・・・
しかし中には、プロイセン王国の強引な統一に反感を持つドイツ諸侯だっている。
実際に普墺戦争では、オーストリア側についたドイツ諸侯もいた。
人間ですもの、一枚岩ではありませんわね。
ではミントに質問だ、人間の集団が結束するのに必要なモノは何だ?
共通の敵ですわね。
その通りだ。
「ドイツ諸国民はフランスという敵に向けて一致団結し、これを破って念願のドイツ統一。」
―― というのが、ビスマルクが考える「ドイツ統一物語」だ。
でもワザと敵を作るのもどーかと思うんだけどなぁ。
ワザとも何も・・・・
普墺戦争の後になると、フランスは反プロイセンなドイツ諸侯に離間工作を始める。
あらま、おフランスの方はすでにプロイセンを潜在的な敵と認定しているようですわね。
まぁ無理もありませんが。
そーいうわけで、プロイセン王国にとって対フランス戦は避けられないものだった。
後はどうやってドイツ諸国民に反フランスを訴えるかだが・・・・
そのチャンスはほどなくやってきた。
具体的に言うとスペインの王位継承問題だ。
スペインと言うと、闘牛とフラメンコの国でつね。
スペインでは1868年に革命がおこって女王イサベル2世が追放され、「次の王様は立憲君主の王様でいこうよ」としていた。
で、問題は新しい王様をどこから引っ張ってくるか、だな。
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陛下、スペイン臨時政府から
「プロイセン王家ゆかりのレオポルト王子をスペイン王として迎えたい」
と要請が来ています。
※プロイセン王家ホーエンツォルンの支流、ジグマリンゲン家のレオポルト公
ああ、それ断っといて。 たしかレオポルト王子の父がノリ気でないでしょ?
いや、むしろ積極的に受けましょう。
王位継承はいろいろモメますから、秘密に進めた方がいいでしょうな。
ふーん。 ・・・まあ、あなたの外交センスを信じて任せるわ。
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しかしスペイン政府は早々に「次の王様はレオポルト君でいきまーす♪」と公表した。
これにはフランスもブチ切れだ。
なんでフランスが怒るの? スペインの王様にプロイセン王家の関係者がなったら困るの?
地図をよく見ろ。
スペインの王様に、プロイセン王家の関係者がなったらどうなる?
ああ分かったわ、プロイセン王家がフランスを東西から挟み撃ちね。
そんなの気にしすぎだと思うんだけどなぁ。
お前が能天気すぎるだけだよ、実際に16世紀に同じような状況があったからな。
しかもビスマルクは秘密に事を進めていたため、フランスは「これはプロイセンの陰謀だ!」と解釈したのだ。
※ 16世紀、カール5世はスペイン王とドイツ(神聖ローマ帝国)の皇帝を兼ね、フランスと戦った。
で、フランスの怒りの抗議を受けたスペインはどうしたのですか?
プロイセン国王からも「やめた方がよくね? フランス怒っているし」と言われて、レオポルト王子はスペイン王に即位することを自ら辞退した。
じゃあ問題解決だね♪
しかしフランスのナポレオン3世は、勇み足でヤブ蛇をつつく。
具体的に言うと、エムス温泉で休養中のプロイセン国王ヴィルヘルム1世に大使を訪問させたのだ。
いわゆる「エムス電報事件」だな。
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いーぃ湯ぅだっなぁ〜♪ アハハ〜ン♪ いーぃ湯ぅだっなぁ〜♪ アハハ〜ン♪
疲れたときは、やっぱ温泉よねぇ〜♪
ギスギスした国際政治のことなんか忘れて、ゆっくりしちゃお〜☆
↓フランス大使
見つけたですの! ちょっと話があるですの!
マジかよ
私はまだ安心できないですの!
こういったことが二度とおこらないよう、プロイセン国王から
「スペイン国王にプロイセン系列の者が即位することは永遠に無い」
と、きっちり「今後の保証」を書面で取り付けたいですの!
あんたね〜。 ちょっと粘着が・・・・
約束するですのーっ!!!!!
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おいモルトケ、フランス大使がエムス温泉に押しかけ、陛下に粘着しているらしいぞ♪
ビスマルク殿、喜びながら言うことですか?
話がこじれて戦争になれば、
「フランスは話し合いで解決済みの話を蒸し返し、粘着して戦争ふっかけた!」
となり、理想的な筋書きだ。
たしかに統一に批判的なドイツ人を、反フランスで結束できますな。
どのみち戦わないといけない相手なら、ドイツ統一に有利な状況で開戦したいものです。
結果が電報で届くのを待ちながら、飯でも食うか。
そうですね。
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・
・
(もぐもぐ) このステーキは絶品だなぁ〜☆
あー、陛下の宿泊地から今しがた電報が着ましたよ。
「とりあえず、フランス大使にはこう伝えて帰らせたから。」
『私はきちんとレオポルト王子に辞退するようすすめたから、別にもうフランス大使に何か言うことなど無いわよ』
『レオポルト王子もスペイン王に即位する事を自から辞退したし、これ以上この問題でフランスと話し合う必要も無いわ』
「もうしばらく温泉でゆっくりするから、後の処理はよろしくね。 byプロイセン国王ヴィルヘルム1世
」
戦争にはなりそうにありませんねぇ。
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
モルトケ、我々が戦争をはじめて、たしかに戦勝を期待するほどに我が軍は優秀だろうかね?
わが国には、これ以上の軍隊はありませんでしたよ。
よろしい、食事しよう。
スン、スン、スーン〜☆・・・・カキカキ _〆( ゜∀ ゜ )
なにしているんですか?
電報の改竄だお。 d(^−^*)
はい?
この件は完全決裂した事にする!
新聞記者に渡す電報の内容はコレでいこう。
『私はきちんとレオポルト王子に辞退するようすすめたから、別にもうフランス大使に何か言うことなど無いわよ。』
『レオポルト王子もスペイン王に即位する事を自ら辞退したし、これ以上この問題でフランスと話し合う必要も無いわ。』
↓
『フランス大使に何か言うことなど無いわよ。話し合う必要も無いわ。』
火の無いところに煙を立てる、それがビスマルク・クオリティ。
明日の新聞のコピーは決まったな。
「我らがプロイセン国王ヴィルヘルム1世、フランス大使の無礼な要求を一蹴!」
「フランス大使など会う必要すらない、と門前払い。 ざまーみろ!」
あんたはTBS放送ですか。
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翌日の新聞を見て、ドイツ人は反フランスで湧き上がった。
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「舐めやがって、エスカルゴ野郎!」
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同じくフランスでも、反プロイセンの世論で湧き上がる。
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「生意気だぞ、ジャガイモのくせに!」
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両国の国民の反応は、まさにビスマルクの期待通りだった。
い、一国の大使に「言うことなど無い、話しあう必要など無い」と交渉拒絶の通告ですって?!
我がフランス大使をここまで侮辱するなんて許せないですの!
プロイセンに宣戦布告ですの!
|
| Hit!
ぱくっ|
/V\
/◎;;;,;,,,,ヽ そんなエサで
_ ム::::(,,゚Д゚)::| 俺様が釣られると思ってんのか!!
ヽツ.(ノ:::::::::.:::::::.:..|) 【From】フランス
ヾソ:::::::::::::::::.:ノ 【皇帝歴】18年
` ー U'"U' 【お魚No.】 ナポレオン3世
【釣られた時の餌】【フランス必死だなw】 エムス温泉で大使が大恥
m9(^Д^)プギャー
1870年、普仏戦争
※普:プロイセン 仏:フランス
エムス温泉での出来事から、たった2日後にフランス政府は動員を決定する。
その翌日にプロイセンはまったく怯まず、同じく動員令を出した。
そしてフランスは動員決定から4日後にはプロイセンに宣戦布告。
エムス温泉から宣戦布告まで、1週間にも満たないという即効の決断だ。
フランスは自信満々ですわね。
ところで戦争では、戦略よりもまず外交での勝利が重要だと思うのですが、そこはどうだったのですか?
外交戦ではプロイセンがリードしていた。
前の普墺戦争では反プロイセンだった他のドイツ諸侯も、今回は反フランスで結集した。
何せビスマルクは、他のドイツ諸侯と「先にフランスがケンカ売ってきたら助けてね♪」と約束していたからな。
あーなるほど、それで「先にフランスに宣戦布告させる」というのにこだわったのね。
こうして普仏戦争は、「プロイセン王国 対 フランス」というよりはむしろ、
プロイセン王国と全ドイツ諸王国 対 フランス
という構図になったのだ。
そう考えると、「普仏戦争」というよりは「独仏戦争」と呼んだ方が正確ですわね。
で、他の国はどうだったのですか?
プロイセンは周辺国に根回しをして、対フランス戦に介入しないことを約束させていたよ。
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・
↓ビスマルク
オーストリアさん、フランスには味方しないでくれますよね?
よかろう、これで借りは返したぞ。
うちのバカ皇帝は「漁夫の利で領土ゲッチュー!」とかホザいているが、首相の私が言って聞かせておくから安心したまえ。
ありがとうございます〜☆
・
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・
次はロシアか・・・ロシアがフランスに味方したら、東西から挟み撃ちにされるな。
何としてもロシアがフランスに味方することは防がないと。
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・
中立の立場を取ってくれたら、ロシアがパリ条約を破って黒海艦隊を再建しても、プロイセンはそれを黙認します。
・・・・・・・!
・・・・・・・・・・・・
( いかん、落ち着け、落ち着くんだオレ様!)それは嬉しいクマね。
でもパリ条約を破棄すれば、イギリスとフランス・・・・特にイギリスは絶対に黙っていないから、結局は同じことクマ。
そのときは私がイギリスを説得します。
フランスはどうするクマ? 2ヶ国も説得できるクマ?
フランスの反対を心配する必要などありませんよ。
なぜなら、我がプロイセンがこれからブチのめすのですから。
今のフランス皇帝ナポレオン3世は、ナポレオンの甥であることしか取得の無い、凡庸な奴です。
その話にのったクマ!
ありがとうございます♪
ただオーストリアが介入してこないかが少し心配ですがね・・・
オーストリアがフランスに味方したら、プロイセンに味方して挙兵するクマ。
フランスとは1対1で決着をつけられるようにしてやるから、必ず勝つクマ!
…オーストリアとロシアは、味方ではなかったのですか?
あんなヤツはどーでもいいクマ。
軍事面でも外交面でも味方してやったのに、クリミア戦争ではあっさり裏切られたクマ。(←根にもってます)
我がロシアのバルカン半島進出には、間違いなく障害となる国クマ。
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・
一方で、フランスは外交で失敗が続き、孤立していた。
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・
ロシアさん、プロイセンのボケをブチ殺すから味方して下さいですの。
東西から挟み撃ちにしたらプロイセンなんて瞬殺ですの。
おまえさぁ、この前ポーランドで反乱騒ぎがおこった時にどーしたクマ?
「ポーランド人を虐待するなんて、ロシアは野蛮ですのー☆」
とホザいて、俺に恥をかかせてくれたクマね?
※当時のポーランドはロシア領です
Σ( ゜д ゜;)
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・
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・
・
オーストリアさん、味方してほしいですの。
普墺戦争での屈辱を晴らすいいチャンスですの。
プロイセンには借りがあるしなぁ。
それにフランス君・・・・キミはたしか、私が10年前にイタリアと戦争した時、イタリアに味方しやがったよな?
おかげでイタリアごとき小国に負けて、領土が減ってしまったよ。
Σ( ゜д ゜;)
・
・
・
・
・
イギリスさん、ドイツ民族がこのまま統一したら、強大な帝国が誕生するですの。
ヨーロッパの秩序を崩壊させないために、いっしょに戦ってほしいですの。
↓イギリス
「強大な帝国が誕生してヨーロッパの秩序が崩壊する」ですか・・・・
私の記憶では、それってフランスのナポレオンによるヨーロッパ征服ですわね。
いんやー、あの時は本当に苦労しましたわよ、オホホホホホ♪
そ、そんな昔の話を持ち出さなくても・・・
では現在の話をしましょうか、フランスさんは
「低地地方のゲットに協力してくれたら、プロイセンのドイツ統一を認めるですの〜☆」
・・・とプロイセンに持ちかけたそうですわね?
あなたのその貪欲な領土への野心こそが、ヨーロッパの秩序を損ねるのではありませんか?
※「低地地方」・・・具体的にはルクセンブルグのこと。
要するに「ライン川の左岸」であり、プロイセンに約束を反故にされても、フランスは諦めていなかった。
このゴタゴタを解決すべく、当時の列強国はルクセンブルグを永世中立国とし、「ルクセンブルグを奪い合ったりしないこと!」と約束しあった。
しかし第一次・第二次世界大戦ではともにドイツによって侵略され、永世中立政策だけでは他国の侵略を防ぎ得ない見本となってしまった…
(ギク!)そ、そんな中傷を信じてはいけないですの!
どこの誰が証拠も無しに、そんなデタラメを言っているんですの?
ビスマルクさんが、フランス大使の直筆による密約文を見せてくれましたが何か。
あの野郎!
・
・
・
・
・
イタリアさ (以下略
↓イタリア王国
ニャ? おまえ孤立してプロイセンに負けそうニャ?
よぉ〜し、そうと知ったらさっそくイタリア軍を動員するニャー!
あ、ありがとうですの! 両国の友好は永遠ですの!
敵はフランスだニャ!
フランス軍が対プロイセン戦に総動員されているスキをついて、フランス軍の支配化にあるローマを奪回しちゃうニャ!
※当時のローマはフランス軍の支配下にあり、普仏戦争がおこるまではイタリアも手が出せないでいた。
・・・・( ゜д ゜;)
・
・
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・
・
おフランスって、もしかして嫌われ者なのですか?
そんな、言ってはならんコトをっ!
フランスにはナポレオンの征服という前科があるからな。
当時のヨーロッパ諸国にとって、「自国の安全を脅かす大国」というのはフランスだったんだよ。
「プロイセンが勝ってくれたら、フランスの脅威も減るんじゃねー?」
という空気が指導者層に強かったのは確かだ。
外交がこれでは、戦う前からもうダメぽ感が漂っていまつね。
ロシアや、海外に多くの植民地を持つイギリスは脅威じゃなかったの?
ロシアの領土拡張の場所はバルカン半島か中央〜東アジアだし、イギリスはヨーロッパ本土での領土拡張にはまるで無関心だからな。
外交でプロイセンがリードしていたのは分かりましたが・・・
軍事面ではどうだったのですか?
軍事面においても、プロイセン軍はこの日に備えて準備万端だった。
普仏戦争はフランスが仕掛けた戦争だが、これはプロイセンの仕掛けた罠だと言っていい。
参謀のモルトケ は普墺戦争が終わるや、次の対フランス戦に備えてフランスとの国境に向けて6本の鉄道を敷かせていた。
また戦場となるであろうフランスの東北部には、観光客に変装した情報将校が歩き回り、正確な地図まで作っていたのだ。
もちろん動員から開戦計画に至るまでの緻密な計画もできている。
あらま、ヤリ手ですわね。
一方のフランス軍は、3年前のメキシコ遠征に失敗したばかりで、まだそのダメージが抜けていない。
それなのにフランスの開戦の決断はあまりにも短絡だった。
フランスのオリヴィエ首相は「軽い気持ち」で責任を引き受けると語り、陸軍大臣は「ゲートルのボタン1つにいたるまで欠けているところはない」と豪語した。
※ 井上幸治著『世界の歴史』 12巻 p,478 中公文庫 参照
そして開戦におよぶと・・・・フランスは、自分たちの自負である「ヨーロッパ本土で最強」が、ただの虚栄であったことを痛感する。
質量ともに優勢な火器、準備された鉄道による動員計画、52万の兵というプロイセン&ドイツ連邦同盟軍に対して、フランス軍は兵を動員する鉄道もプロイセンに比べて少なく、大砲の数も半分以下、兵力も30万ほどだったのだ。
武器のレベルはどうだったのですか?
クリミア戦争とはちがって、両方とも産業革命をむかえている国でしょう?
銃の射程はフランス軍の方が上だったが、大砲の性能ではプロイセン軍が勝っていたのが致命的だ。
「砲兵が(敵陣を)耕し、歩兵が前進する」と言われる近代戦において、大砲が質量ともに勝っていたのは大きい。
いくら銃が優秀と言っても、大砲には勝てるワケがないからな。
「砲兵が耕して、歩兵が前進する」
※ 「その大砲は20世紀のモノじゃん」等のツッコミはご容赦下さい
フランス軍は騎兵の突撃で突破しようとするが、プロイセン軍の容赦のない砲撃でズタズタにされた。
「どーすんだよ騎兵突撃なんてダメじゃんか!」というフランス軍の将軍に対して、騎兵突撃をする将軍は、
「1兵でも残っている限り何度でもくりかえし突撃します!」
と答えたという。
つまり「打つ手無し」だったわけだな。
砲撃の前に崩される騎兵の突撃
で、普仏戦争はどっちが勝つわけですか?
まぁ、今までの説明でだいたい予測はつきますが。
翌1871年に、プロイセンの圧勝だ。
アルザス・ロレーヌ地方→パリに進撃するプロイセン軍
どこも介入せず、1対1の戦争だったのですか?
オーストリア皇帝は「よーし、プロイセンに戦争しかけて漁夫の利で領土ゲッチュー♪」とノリノリだった。
でも首相に「陛下、我々の脅威はロシアです。漁夫の利に目を奪われてプロイセンまでもを敵に回してはいけません。ってかその目先のことしか考えないのはいい加減にヤメレよアホ」と反対され、しぶしぶ中立を通す。
・・・もしオーストリアが介入していたら、ロシアがプロイセン側について参戦し、ヨーロッパを2分する大戦になっていましたが・・・・
そして普仏戦争の結果、プロイセンはドイツ諸王国と合体して統一され、ここに列強・統一ドイツ帝国が誕生した。
敗れたフランスは、国王ナポレオン3世が戦場で捕虜になるという醜態を晒し、またアルザス・ロレーヌ地方をドイツに奪われてしまった。
フランス領→ドイツ領になるアルザス・ロレーヌ
アルザス・ロレーヌ地方? それって「最後の授業」に出てくるお話の元ネタだよね?
ほう? 歴史オンチのくせしてよく知っているな。
学校で国語の時間に習ったよ。
どんなお話なんですの?
えっとね・・・・・・舞台はアルザス地方の学校なんだよ。
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「先生、アルザスはドイツ領になって、明日からはドイツ語を学ぶように強制されちゃうんですよね。」
「みんな・・・・・たとえドイツ領になっても、フランス語を忘れてはダメよ。」
「みんながフランス語を覚えている限り、たとえ他国に併合されても、みんなはフランス人でいることができるのよ。」
「はい先生、フランス語は絶対に忘れず大事にします。」
「フランス語を教えられるのも今日が最後よ。 さあ最後の授業を始めましょう。」
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読んでジーンとしちゃった♪
ああ、それは半分フランスのプロパガンダだから。
はい?
・・・ だって、アルザス地方の民衆の言葉はドイツ語方言のアルザス語ですよ? ・・・
・・・ フランス語は、教育を受けたエリートたちの話す公用語にすぎません ・・・
・・・ つまりフランスは、ドイツ語系住民にフランス語を強制していたことになります
・・・
あ、あの感動的な物語はいったい。
・・・ ドイツへの復讐をさけび、アルザス・ロレーヌ地方の所有権を主張する、フランスのプロパガンダです
・・・・
人間不信の種がまた1つw
しかし、「最後の授業」への批判も、半分はアルザス・ロレーヌの併合を正当化するプロパガンダかもな。
みんな、「最後の授業」なんかに騙されてはダメだよ〜☆
アルザス・ロレーヌ地方を奪ったと言っても、アルザス地方は同じドイツ語系住民なんだから、正当性があるんだよ〜☆
北部ロレーヌ地方はフランス語系ですが、そこは無視ですの?
それに「言語が同じなら同一国家」って、オーストリアやオスマン・トルコ領のバルカン半島のように、同じ地域に複数の民族が同居する地域はどうなるんですの?
これは「国民の概念」のちがいだろう。
言語や種族が同じなら、同じ国だよね〜☆
話す言葉はちがっても、同じ国に生まれ、その国の理念を共有するなら、それは同じ国民ですの。
人種にこだわる排外的なドイツとちがうんですの、それが「国民国家フランス」ですの。
いちおードイツの名誉のために言っておくと・・・・
たしかにアルザス・ロレーヌ地方はドイツに併合された後、ドイツ語の授業が強制された。
しかしフランス語も外国語授業として残されている。
またドイツ語の公用語化も猶予期間をおいて緩やかになされた。
また自治権獲得運動も行われ、1911年には州憲法も成立している。
他国の領土を併合する論拠にはならないが、世間で思われるほど徹底的な同化政策だったわけではない。
※中央公論新社 「世界の歴史22 近代ヨーロッパの情熱と苦悩」より
あと、決してフランスが「言語習慣がちがっても対等に扱う差別の無い国」ってわけじゃないからな。
バレールの演説 (1794年1月)
亡命者と共和国への憎悪はドイツ語を話す。反革命はイタリア語を、狂信はバスク語を話す。
これらの災いをもたらす誤謬の道具を打ち砕こうではないか。
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やれやれ、ともかくもドイツ統一は成ったわね。
国王は、今後はドイツ帝国の皇帝となってください。
オッケー、んじゃ今後はこのアイコンで。 国旗をドイツ帝国のものに新調よん♪
※ドイツ帝国の国旗と現在のドイツの国旗は異なる。
ところでビスマルク、バイエルンの領主ルートヴィヒから意味不明な請求書が来ているんだけど、これは何?
「はくちょうのしろのけんちくひ」とか書いてあるわ。
ギク!
バイエルン王国はドイツ統一には賛成でも、陛下が統一ドイツの皇帝になることに難色を示していまして・・・・
知っているわ、だから私がドイツ皇帝になる事に賛成するよう、バイエルン王国には統一ドイツ帝国の政治ポストをあげたでしょ。
で、繰り返し聞くけど・・・・この「はくちょうのしろのけんちくひ」とかいう意味不明な請求書はなによ?
いやその・・・・バイエルン領主のルードヴィヒが
「おとぎ話に出てくるような、山と湖を背景にした幻想的な美しいボク専用のお城が欲すぃー」
「名前は白鳥の城ってのがいーなぁー」
「建築費を出してくれたら、プロイセン国王がドイツ皇帝になることにも賛成するんだけどなぁー」
と子供みたいなワガママを・・・・
で、あなたは言われるがままOKしたわけ?ん?
他の諸侯の手前、我々が建築費を出すことは内緒にするよう釘は刺しています。
目を閉じろ、歯を食いしばれ!
へ、陛下おちついてーっ!!!
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ノイシュヴァンシュタイン城 バイエルン領主ルードヴィヒのわがままで建てられた城。 アルプスの峰を背景とする、幻想的な「白鳥城」である。 「この世のどんな城よりも美しく」というコンセプトで建造された。 |
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さて・・・普仏戦争が歴史に与えた影響は4点だ。
1) 列強・統一ドイツ帝国の誕生。
2) 敗戦の結果、フランスはナポレオン帝政が崩壊して、以降は共和制となる。
3) この敗北・・・とくにアルザス・ロレーヌ地方の併合は、フランス国民に深刻な反ドイツ感情を植え付けた。
4) 国民皆兵制を取ったプロイセンが圧勝したことにより、他国も国民皆兵制を採用していく。
日本やロシアも普仏戦争の結果、国民皆兵制を採用することになった。
特に(3)に関してだが・・・
勝利したドイツ側は領土を奪うだけでなく、ドイツ皇帝の戴冠式をわざわざフランスのベルサイユ宮殿で行った。
これはフランス人にとっては耐え難い屈辱だったろう。
うわー、ちょっとやる事が悪趣味よね。
・・・・・・・・・・・
どうした?
第二次世界大戦が起こったのは、たしか第一次世界大戦の戦後処理で、フランスがドイツに過酷な賠償金を課したのが原因ですわよね。
ああベルサイユ条約だな、その後にナチスの台頭だ。
第一次世界戦が拡大し、フランスがドイツに過酷な賠償金を課した遠因が、この普仏戦争ってことですか?
つまりこの時からドイツはフランスに憎まれるようになった、と?
・・・・ しかし普仏戦争でプロイセンがフランスを屈辱的に扱ったのは、ナポレオン時代にフランスに攻め込まれた恨みだと言われています
・・・・
1つの戦争は、勝敗に関わらず後に複数の戦争の原因となるんだよ。
作者は「憲法9条なんて変えちまえ!」「軍備を持って何が悪いんじゃゴルア!」という思想の人だが、戦争がもたらす災厄については理解しているつもりだ。
さて話をロシアに戻そうか。
ロシアは普仏戦争でプロイセンの勝利が固いと見るや、パリ条約の「黒海には艦隊を置かず中立地帯とする」という項目の破棄を宣言し、黒海で艦隊を建造し始めたのだ。
ロシア、ちょっと分かりやす過ぎでつね。
イギリスは何してたのですか?
もちろん反発する。
このまま放置したら、艦隊を得たロシアはオスマン・トルコに戦争ふっかけて、ボスポラス海峡・ダーダネルス海峡を突破するのは確実だからな。
海峡を越えるぐらいなら、別にいいんじゃないかと思うけどなぁ。
残念ながら、この時点では絶対に聞けない相談だ。
1866年にスエズ運河が開通しているからな。
スエズ運河が開通した結果、海上ルートは大幅に短縮される。
つまりイギリスにしたら、ロシア艦隊が地中海に進出することは、ますます容認できなくなったのだ。
こうしてイギリスとロシアの対立を解決するために、ロンドンで会議が開かれるのだが…
** 1871年、ロンドン会議 **
敗戦国の分際で、パリ条約を一方的に破るとはいい度胸ですわね。
ボスポラス海峡・ダーダネルス海峡を突破して地中海に出ることは認めませんよ。
あ〜ん?よく聞こえないクマ〜?
クリミア戦争のようにブチのめされたいですか?
クリミア戦争のように?
フランスはイギリスに味方するどころじゃなさそうクマ。
御免なさい、ムカつくからブチのめしちゃったぁ♪
フランスは当分は再起不能ね。
・・・・・・
まぁまぁイギリスさん、ロシアの話も聞いてあげましょ。
パリ条約みたいな一方的な条約じゃ、ロシアが不満に思うのも無理ないわ。
(こいつら、取引したわね) 海外植民地を持たず、地中海にも面していないドイツには、地中海航路の重要性はわかりませんわ。
地中海はイギリスとインドをつなぐ動脈なのです。
ロシア艦隊が地中海に出てくるなど、絶対に容認できませんわね。
だからさ、ロシアの話も聞いてあげようよ。
ロシアは黒海に艦隊を持ちたいだけで、何も地中海に進出するとは言ってないじゃないの。
その通りクマ。
勝手な未来予想で、悪者みたいに言うなんてヒドいクマ。
我々ロシア人は、ウォッカの次に好きなのが平和と共存クマ。
ねえロシアさん、『ボスポラス海峡・ダーダネルス海峡の航行権はオスマン・トルコのもの』って約束できる?
そうしたらイギリスさんも安心するんじゃないかなぁ。
ああ、約束するクマ。 黒海での艦隊建造を認めてくれたらそれでいいクマ。
ボスポラス海峡・ダーダネルス海峡の航行権は今後もオスマン・トルコのものクマ。
我々ロシア人は、約束を守らない 破らないのが自慢クマ。
わかりました、それで手を打ちましょう。
(パリ条約を破っておいて何が約束ですか!そんなの信じる馬鹿はいないわよ!)
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ゴネ得の見本ですわね。
地中海進出は成らなかったが、ロシアにとっては大きな前進だ。
合コンで言うなら即日お持ち帰りは無理だが、携帯番号はゲットだぜというところか。
もう少しマシな例えは無いのですか。
これではロシア艦隊の地中海進出を食い止められるのはイギリスぐらいじゃないですか。
オーストリアは「バルカン半島さえ現状維持なら他はいいや」って雰囲気ですし。
さらにロシアにとっては追い風が続く。
フランスをブチのめして誕生した巨大な統一ドイツは、ロシアとの同盟を必要としたのだ。
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↓ドイツ
ロシアさーん、中立守ってくれてありがとぉー(はぁと
おかげさまでドイツは統一して前よりもパワーアップだよ♪
俺もおかげさまで地中海進出まであと一歩クマ。
もうすぐロシア艦隊の時代クマ!
それにしても、あのフランスがブチのめされるのは見てて笑えたクマw
そのフランスなんだけどね・・・・・
普仏戦争でアルザス・ロレーヌ地方を奪い取ったのが納得できないらしいのよ。
ちょっと調子にのってボコボコにしすぎたかもね(^−^;
・・・ってわけで、同盟を結んでくれるとうれしいな♪
いいぜ、同盟クマ。
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さて、そのころ戦争に敗れたフランスは…
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絶対にルヴァンシュ! ルヴァンシュですのーっ!
にっくきドイツ野郎は必ずやブっ殺すですのー!
※ ルヴァンシュ : 復讐
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普仏戦争で敗れ、アルザス・ロレーヌ地方を奪われたフランスの復讐心は凄まじいものがあった。
敗戦の翌年には義務兵役制度をひいて軍備を再建する。
国民もヤル気満々だ。
ドイツに支払う賠償金50億フランは、国民の公債応募が超過して支払期限の3年を待たずに楽々と支払われた。
うは、マジ切れしてまつね。
オーストリアの時みたいに、ほどほどにしとけば良かったのに。
ビスマルクは、戦場で勝った時点で「フランスと講和しようや」という意見だったが…
モルトケと軍と国民は
「エー、せっかく勝っているのに、このまま首都パリまで突撃して徹底的にボコろうぜ!」
「フランスは敵国だよ、ドイツ人が多いオーストリアとはちがうよ」
「どうせ味方にはならないんだから、奪えるだけ奪っちゃえ!」
…と主張し、ビスマルクが制止できる状態ではなかった。
… ですがドイツ人を反フランスで煽ったのはビスマルク本人です …
… 指導者たる者、国民に失敗の責任を問うことはできません …
「ルヴァンシュ(復讐)」を合言葉とするフランス国民の怒りと経済の底力は、ドイツにとって深刻な脅威だ。
そしてドイツが最も恐れたシナリオは、復讐心に燃えたフランスがロシアと軍事同盟を結び、ドイツを東西から挟み撃ちにすることだった。
普仏戦争後のヨーロッパ
※オーストリアは、1867年に「オーストリア=ハンガリー二重帝国」となった
※普墺戦争の後、オーストリア領のヴェネチアはイタリアに割譲されている
これを防ぐために、ドイツは先手を打ってロシアとの同盟を選択したのだ。
これ以降、ドイツの外交政策は以下の3つが基本となる。
1) ドイツを敵視するフランスが他国と手を組まないよう、フランスを孤立させる。
2) そのため、フランスが手を組みそうな国とは、先手を打って同盟を結んでおく。
可能ならばフランスとの対立を煽り、先方から「フランスがウザイからドイツと手を組もう」となるようにする。
3) とくにフランス・ロシアが絶対に手を組まないよう、ドイツはロシアとの同盟を重視する。
ともかくも、こうしてロシアは黒海艦隊の再建に成功し、しかも同盟国を得たのだ。
軍靴の音が聞こえてきますわね。
ここまで好条件がそろったら、ロシアが再びオスマン・トルコに戦争を仕掛けるのは時間の問題じゃないですか。
ああ、ロシアは1877年、再びオスマン・トルコに宣戦布告。
この戦争を露土戦争と呼ぶ。
「地中海に出るぞ作戦パート2」の開始だ。
オスマン・トルコって気の毒ね、ロシアみたいなのが隣国で。
まるで他人事でつね、日本にとっても隣国なのに。
・・・平和ボケ・・・