ってわけで、第2話だ。
前回はロシアだけを説明したが、ここからは他の欧米列強も絡んでくるのでちょっと複雑になる。
クリミア戦争について説明する前に、まずは当事の世界情勢を簡単に説明しよう。
クリミア戦争は1853年、つまり19世紀の中ごろだ。
19世紀中ごろのヨーロッパ
あら?
ポーランドとかチェコとかエストニアとか、「東欧の国々」がありませんわね??
21世紀(現在)のヨーロッパ
そんな国は無い。
滅亡して他の国に吸収された(エストニアとポーランド)か、独立するのはもっと後(チェコ)かだ。
興味のある人は外務省のhpを見てくれ、「いつ、どこの国から独立したのか」ぐらいは書いてあるから。
あと、オーストリアの領土が今とずいぶん違いますわね。
まぁオスマン・トルコ帝国もそうですけど。
オーストリアは過去の栄光だよ。
今でこそ「どこそれ??」と言われそうな小さい国だが、19世紀は世界をリードする列強の一角だったのだ。
世界史を取ってないとオーストリアが列強だったことすら知らない人も多いんじゃないかな。
和田アキ子は若い頃アイドル系の芸能人だった、というのと同じぐらいの「今からでは信じられない過去」でつね。
ボロクソな言われようね。
さて、もう一度地図をよく見てくれ、ヨーロッパで色が塗ってある国が5つあるな?
イギリス・フランス・オーストリア・ドイツ(当時は分裂状態)・そしてロシア。
この5つが、19世紀の5大欧米列強だ。
ちなみにアメリカが世界の表舞台に登場するのはもうちょっと後な。
19世紀中ごろのヨーロッパ
他に現在と違う点をいくつか述べておきますと・・・
・ イタリアという国はなく、まだ分裂状態だった。
・ ドイツという国はなく、まだ小さな王国の連合体だった。
オスマン・トルコ帝国ってこうして見るとけっこう領土大きいけど、列強じゃないの?
前は世界最強だったんでしょう?
前回でも述べたが、18世紀からロシアの女帝エカチェリーナ2世にボコられまくりだ。
19世紀になると各地で反乱が連発し、瀕死の病人と呼ばれるまでに落ちぶれている。
あらま、ひどい落ちぶれようですわね。
さて、この頃の世界情勢で理解しておくべき事が1つある。
欧米では産業革命がおこって、工業が発展していた
歴史ではこのテの話になると、「うわ、ツマンネー!」と言い出し、そっぽを向いてしまう人が多い。
たしかに歴史が苦手な人には、工業や経済の話よりも戦争や外交の話の方が燃える。
そんな、言ってはならんコトを・・・・
あえて言おう、工業力=戦闘力だ。
大砲や銃、戦艦を開発・製造するのは工業だからな。
19世紀後半はもう、工業力の無い国が戦争して勝てる時代では無いんだよ。
日本だって、数で劣る薩摩が徳川幕府に勝てたのは、幕府軍よりも性能のいい銃をゲットしたからだしな。
工業力の低い国の戦闘力
工業力の高い国の戦闘力
それをふまえた上で、以下を見てもらいたい。
Q,あなたの国では、いつから産業革命が起こりましたか?
↓イギリス
1769年、ワット蒸気機関の発明からですわ。
産業革命が最初におこったのはわが国ですのよ、オホホホホホ♪
おかげ様で我が大英帝国は、一時期は世界の工業製品の半分を占めて「世界の工場」と呼ばれるほどでしたのよ。
↓フランス
1830年からですの。
イギリスには負けましたが、ヨーロッパ本土ナンバー1の座は伊達ではないですの。
↓ドイツ
ちょっと遅れて1850年からかなぁ。
当事のドイツは統一されていなかったけど、産業革命がきっかけになって、「統一してパワーアップしない?」ってなったわけ。
そして統一した後はフランスを抜いて、ヨーロッパで2番目の工業国になるのよ♪
↓ロシア
なにそれ?
↓オーストリア
も、もうちょっと待ってくれ・・・国内がゴタゴタして忙しいのだよ。
というわけで、当時の戦闘力を作者の主観で比べたら、ざっとこんな感じだ。
もっとも後にドイツが統一されると、ドイツは2番目にくるが。
1番目 | 2番目 | 3番目 | 4番目 | 5番目 | ||||
> | > | > | > | |||||
イギリス | フランス | ロシア | ドイツ諸王国 | オーストリア |
あら、ドイツは3番目に産業革命を果たした国なのに、評価が低いですわね。
それにロシアは工業力が低いのに3番目ですか?
ドイツは当時はまだ統一されていないので、総合力は低いだろうと思ってな。
一方のロシアには、工業の遅れを補える長所がある。
何せやたら人口が多いので多数の歩兵を用意できる事だ。
しかし数で圧倒できるのは、あくまでも自分と同じ程度の技術力しか持たない国か、または国内事情で全力を出せないような国が相手の場合だ。
オスマン・トルコ帝国が相手なら勝ちまくりのロシア帝国だが、相手がヨーロッパの列強となると話は別だ。
ロシア帝国はここで、大きな壁にブチ当たることになる。
ロシアという国
bQ… 「クリミア戦争」
「同じ地方に生まれた人々は、時代が変ろうとも、同じような気質を持ち続けるものである。」 「過去を見ながら未来を予測したいと思えば、その地方の住民が長期にわたって、どのような習慣をもち、どのような長所と短所を持っていたかを調べればよい。」 「昔ケチであれば今でもケチだし、狡猾ならば、いつになっても狡猾なのである。」 ――― マキャベリ 『政略論』より |
ミント、まずは前回のまとめを頼む。
了解です。
海の無い国であるロシア帝国にとって、外洋進出は悲願であり、バルト海を支配するスウェーデンは邪魔な存在でした。
というわけで、スウェーデンと戦争でぇ〜す☆
ロシア帝国は「大帝」ピョートル1世の時代、スウェーデンとの戦争「北方戦争」に勝ってバルト海への進出を果たしました。
これで先進国である西ヨーロッパとの貿易が可能です。
めだたし、めでたし〜♪
でもバルト海は厳冬期は港が凍りつくため、ロシア帝国は一年中凍らない不凍港を求めていました。
具体的に言うと、黒海の港です。
黒海なら、いくら寒い冬でも港が凍りつくことはありませんからね。
というわけで、またまた戦争でぇ〜す☆
ロシア帝国は女帝エカチェリーナ2世の時代に、黒海を支配していたオスマン・トルコ帝国をボコボコにぶちのめし、黒海の北部を完全支配します。
ついに不凍港ゲットぉー! めでたし、めでたし〜。
■・・・ロシア帝国がエカチェリーナ2世の時代に得た領土
でも黒海に港を所有したところで、地中海に抜けることができないと意味がありません。
黒海→地中海に抜けるボスポラス海峡・ダーダネルス海峡は、いぜんオスマン・トルコ帝国のものなのです。
困りましたわね、どうしましょう・・・・・このままでは、閉ざされた湖に船を浮かべたのと同じですわ。
なんとか地中海に抜けて、ウクライナで取れる穀物をガンガンと輸出したいのですが・・・・
陸路での輸出なんて、効率が悪いですからね。
・・・ロシアよ、迷っているな?・・・
(\
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((\\ // (^
( (_ヾヽ ⊂⊃ // (^ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(( ( ヾ ) ∧_∧ < <---->< ロシアよ、汝に知恵を授けよう。
し し// (-@∀@) \ヽ ( \____________
し///ヽ_ノミ つ つφノノヽ (^
し(/// ノ彡 朝ミヽ / ヽ (^
(/(/⌒彡,,,,, ミ⌒∨\(^
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あなた様はペンを持ったペ天使、アサヒ新聞サマではありませんか!
(\
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( (_ヾヽ ⊂⊃ // (^ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(( ( ヾ ) ∧_∧ < <---->< ロシアの子羊よ、歴史の偉人の知恵に学ぶのだ。
し し// (-@∀@) \ヽ ( \_____________
し///ヽ_ノミ つ つφノノヽ (^
し(/// ノ彡 朝ミヽ / ヽ (^
(/(/⌒彡,,,,, ミ⌒∨\(^
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ぺ天使アサヒ様、お教え下さい。 誰の知恵に学べば良いのですか?
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( (_ヾヽ ⊂⊃ // (^ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(( ( ヾ ) ∧_∧ < <---->< では我が主、中国神が讃える英雄の声を授けよう。
し し// (-@∀@) \ヽ ( \________________
し///ヽ_ノミ つ つφノノヽ (^
し(/// ノ彡 朝ミヽ / ヽ (^
(/(/⌒彡,,,,, ミ⌒∨\(^
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毛沢東
「政治が一定の段階にまで発展して、もうそれ以上従来どおりには前進できなくなると、政治の途上によこたわる障害を一掃するために戦争が勃発する。」
「歴史上の戦争は二つの種類に分けられる。一つは正義の戦争であり、もう一つは不正義の戦争である。」
「すべて、進歩的な戦争は正義のものであり、進歩をはばむ戦争は不正義のものである。」
「われわれ共産党員は、進歩をはばむすべての不正義の戦争に反対するが、進歩的な正義の戦争には反対しない。」
「戦争は私有財産と階級社会が発生して以後はじまったものであり、階級と階級、民族と民族、国家と国家、政治集団と政治集団の間の一定の発展段階における矛盾を解決する最高の闘争形態である。」
そうね!ブチ殺して奪えばいいのですわね!
今までだってそうしてきたし、それがロシアの発展につながるのですから!
さすがはペ天使アサヒさまが敬愛するアジアの神、中国様のお言葉ですわ!
1853年、クリミア戦争勃発
ミント、まとめ役ご苦労。
次からこんな役はイヤですわ。
でも、話し合ったら解決できることもあるんじゃないの?
それはこのクリミア戦争の詳細を読んでから各自判断してくれたらいい。
その「話し合い」で思ったのですが・・・このクリミア戦争の大義名分は何なのですか?
本音は「ボスポラス・ダーダネルス海峡の通航権をよこせやボケ」でも、何かしらの正義は必要でしょう?
口実に使われたのは、エルサレムの聖地管理権問題だ。
エルサレムって、今イスラエルがあるところですか?
キリスト教だけでなく、イスラム教やユダヤ教にとっても「聖地」なんですよね。
エルサレムのそばにある、イエスが生まれた地ベスレヘム(Bethlehem)の生誕教会。
そしてイエスが十字架にかけられた場所(ということになっている)にある、エルサレムの聖墳墓教会ですね。
当時のエルサレムはオスマン・トルコ帝国領・・・・つまりはイスラムの領土だった。
聖地巡礼に来るキリスト教徒の受け入れや聖地の管理は、オスマン・トルコ帝国の承認で現地のキリスト教徒たちがやっていたんだが・・・
オスマン・トルコ帝国にしたら異教徒なのに認めていたの?
オスマン・トルコのイスラムは、異教徒を理由に迫害や虐殺はしない。
まぁ平等に扱うわけでもないが、「異教徒だろうと、税金取れたら何でもいいや」という程度だな。
・・・で、その聖地の管理権をめぐっての争いが「聖地管理権問題」だ。
あれ?オスマン・トルコは異教徒に寛容なんでしょ?
なんで管理権をめぐっての争いになるわけ?
いやこれはキリスト教徒同士の争いで、それにオスマン・トルコが巻き込まれたんだ。
キリスト教は大雑把に3つの派に分かれる。
古来からの伝統を誇るカトリック、中世からケンカ別れした正教、そしてルターの宗教改革で生まれたプロテスタント。
ヨーロッパの宗教分布図 |
キリスト教 ■カトリック ■プロテスタント ■正教(ギリシャ正教・ロシア正教) イスラム教 ■スンニー派 ■シーア派 |
※「地図で訪ねる歴史の舞台-帝国書院」参照 |
この図を見たら分かると思うが、カトリックはフランスのような西ヨーロッパに、正教会は東欧やロシアに分布する。
ちなみにプロテスタントはドイツとイギリス、それに北欧な。
・・・つまりロシア人の大半は正教の信者です・・・
昔からエルサレムにある「聖地」の管理をしていたのはカトリックで、カトリックの多いフランスが彼らを支援していた。
オスマン・トルコ帝国も、「聖地」の管理者代表はフランス国王だと認めていたんだ。
まー、カトリックは「聖地を管理する」という名誉ある地位を持っていたわけだな。
しかし18世紀後半にフランス革命がおこると、フランスもはるか遠いエルサレムでの聖地にかかわっている場合ではない。
その混乱のドサクサにまぎれ、ロシアの支援を受けた正教が「聖地」の管理権を横取りする。
それって正教、ひいてはロシアにとってはめでたいことじゃないの。
何でそれがオスマン・トルコ帝国への宣戦布告になるの?
しかし1852年・・・クリミア戦争の前の年だな。
フランス国王に即位したナポレオン3世は、国内のカトリックへの人気取りをする。
↓フランス
オスマン・トルコさん、聖地におけるカトリックの管理権を復活させて欲しいんですの。
そうすれば、カトリックの多いフランス国民も「やるじゃねーかナポレオン3世!」と大喜びですの。
ナポレオン3世は、はっきり言って「あのナポレオンの甥だから」というだけで国王になれたようなモノだ。
だからこれといった支持基盤が無く、即位したての彼は外交で成果をあげて、人気を維持する必要があったんだよ。
そしてフランスの要求に折れ、オスマン・トルコ帝国はこれを了承したんだが・・・
これにブチ切れたのが正教を支援するロシアだ。
↓ロシア
やいこらオスマン・トルコ!
てめぇよくもカトリックなんぞをエコヒイキしたクマね!
正教の保護者であるロシア皇帝にケンカを売る気かクマー!
・・・ねえ、文句つける相手をまちがえていません?
イチャモンに筋道なんて求めては駄目でつよ。
フランスと話し合えよ・・・と思うのだが、まぁロシアが不愉快になるのも分かる。
しかしロシアは聖地における正教の管理権の維持を主張するだけでなく、さらに素晴らしすぎる要求を突きつけた。
今回のオスマン・トルコ帝国の行為は、正教徒への差別&迫害だクマ!
よってオスマン・トルコ領内の全ての正教徒を、ロシアに直接保護させるクマ!
工エエェェ (´д`) ェェエエ工
聖地エルサレムに住む正教徒ならともかく、「領内全ての」??
内政干渉なんてレベルをこえていますわね。
ロシア皇帝は全ての正教徒の保護者を自負しているからな。
それって何かマズいの?
( ゚д゚) ・・・・・・・・・
もしも中国が、「( `ハ´ )<在日中国人が日本によって差別・迫害されているアル!」と言い出したら?
反省して直さないと。
(;゚д゚) ・・・・・・・・・
で、中国が「( `ハ´ )<中国が直接保護するから、人民解放軍を日本に駐屯させるアル!」と言ったら?
そ、それはちょっと。
さすがのロシアもド厚かましすぎると思ったのだろうな。
交換条件として、攻守同盟を持ちかけてきた。
おまえが危ない時は、俺が助けてやるクマ。
いちばん危ないのはロシアでしょ。
オスマン・トルコは聖地の特権についてはロシアの言い分を飲んだが、「領内の正教徒をロシアに直接保護させろ」という要求はさすがに断った。
理由はさっきの宗教分布図を見ればわかる。
ヨーロッパの宗教分布図 |
キリスト教 ■カトリック ■プロテスタント ■正教(ギリシャ正教・ロシア正教) イスラム教 ■スンニー派 ■シーア派 |
※「地図で訪ねる歴史の舞台-帝国書院」参照 |
あらま、バルカン半島ってオスマン・トルコ帝国の領内なのに、住民の大半は正教なのですね。
この状態で「ロシアがオスマン・トルコ領内の全ての正教徒を保護する」ってことは・・・・つまり・・・
・・・ええ、「バルカン半島をロシアに支配させろ」と同じ意味ですね・・・
・・・しかも使節メンシコフは軍艦で乗りつけ、オスマン・トルコ皇帝に平服で面会するという無礼さです・・・
そしてオスマン・トルコに断られるとロシアはバルカン半島に進軍。
そしてモルダヴィアとワラキアを占拠した。
ウハ、なんて直球ストレートな。
・・・ワラキアといえば、吸血鬼ドラキュラ伝説・・・
※ワラキアとモルダヴィアはオスマン・トルコ領だが、ロシアの圧力で実質ロシアの保護領に近かった。
※ワラキアとモルダヴィアの両地域はクリミア戦争の後に統一され、「ルーマニア」として独立する。
オスマン・トルコ帝国が抗議するも「先の要求を飲んだら兵を引こう」と知らん顔だ。
まあ、分かりやすく言うならば
― おとなしくバルカン半島を譲るか、勝てない戦争で死者を出してから奪われるか、好きな方を選べ ―
で、オスマン・トルコ帝国はロシア帝国の無茶な要求を泣く泣く飲んだのですか?
いや、オスマン・トルコ帝国は徹底抗戦を選んだ。
ってか、あんな要求を呑むのは国家主権の放棄に等しい。
あら強気ね、エカチェリーナ2世の時からロシアには負けっぱなしなんでしょう?
勝算はあるのですか?
勝算はある。
他国が「ロシアの横暴に負けるな!がんばれトルコ、トルコ、トルコーッ!」と援護してくれたのだ。
こんな帝国主義の時代に、いい国もあるものね〜
どこの国がオスマン・トルコ帝国を援護したの?
↓フランス
ロシアの要求は内政干渉、やってる事は主権の侵害ですの。
オスマン・トルコさんは独立国なんだから、毅然とした態度を取るべきですの。
フランスっていい国ねぇ〜。
参考までに言っておくと・・・
おフランスはクリミア戦争よりも20年ほど前、北アフリカのアルジェリアを武力で植民地にしている。
アルジェリアは自治領として半ば独立していたが、一応はオスマン・トルコ帝国の領土だ。
しかもその経緯は、フランスがアルジェリアから輸入した小麦の代金を支払わず、激怒したアルジェリアに対して「逆ギレ→そのまま侵略」という、ヤクザも真っ青なものだった。
… 他国がキレイ事を言って非難してきたら、別の思惑があると思って下さい
…
しかしオスマン・トルコ帝国を支持したのはフランスだけではない。
↓イギリス
オスマン・トルコさん、「全ての正教徒を保護させろ」なんて要求は絶対に飲んではダメです。
当時の世界で最強の海軍国家であるイギリスが支援してくれたことは大きい。
ドラえもんの道具を得て強気になったのび太のごとく、オスマン・トルコはロシアに宣戦布告。
これを受けてロシアも、今さらながらにオスマン・トルコに宣戦布告。
これがクリミア戦争(1853)の始まりだ。
このゴタゴタを「聖地管理権問題」と呼ぶのだが・・・
ロシアは以前からボスポラス海峡・ダーダネルス海峡の自由航行権を欲しがっていたので、戦争ふっかけるための口実だな。
…余談ですが…
この5年前である1848年に、お隣のオーストリアでは革命さわぎがおきました。
革命の飛び火を恐れたロシアは、オーストリアに援軍を派遣し反乱軍を鎮圧します。
弾圧された革命家たちはオスマン・トルコに亡命するのですが、オスマン・トルコはロシアやオーストリアからの引渡し要求を拒否しました。
このため両国はすでに険悪だったという事情もあります。
ふーん。
で、やっぱりトルコが負けちゃうわけですか?
ああ、クリミア戦争の開始早々に、オスマン・トルコ艦隊は黒海沿岸のシノップで全滅する。
ダメじゃん。
で、応援していたはずのフランスとイギリスは見てるだけ?
いや・・・トルコ艦隊のあっけない全滅を見て、翌年の1854年に参戦する。
ここにクリミア戦争は、イギリス・フランス・トルコ 3ヶ国連合軍 vs ロシアの戦争に拡大した。
あら、完全に袋叩きの刑ですわね。
ねー、初歩的なことだけど質問していいですか?
ちょっと理解できないことがあるんだけど・・・・
かまわん。
なんでイギリスがオスマン・トルコの味方をするの?
いい質問だ、この地図を見たら分かる。
19世紀中ごろ
当時のイギリスは世界中に植民地を抱え、そこから富と資源を調達していた。
その中でも最も重要だったのはインドだ。
外付けのエネルギータンクみたいなものでつね。
イギリスの外交は、インドを守ることが目標と言っても過言ではない。
そのインドとの通商ルートになるのが、地中海だ。
で、それとオスマン・トルコを助けるのと何が関係あるの?
放っておけば、ロシアはオスマン・トルコをブチのめして地中海に進出してくるだろう。
ロシア艦隊が、地中海を自由にうろつくようになったらどうなる?
イギリスにとっては大事な通商ルートの安全が、ロシア艦隊によって危険に晒されることになるな。
イギリスのような島国・・・もとい海洋国家は、植民地その他から資源を本国に仕入れ、それを製品に加工して他国に売ってお金を儲けている。
これには海上の輸送ルートの安全確保が絶対に必要なのだ。
ふぅーん・・・・
自分の領土以外にも、遠くの海のルートまでも守らないといけないなんて・・・・海洋国家って大変なんだね。
「ふぅーん」って、お前の祖国の日本も海洋国家なんだけどな。
・・・ 平和ボケ ・・・
資源の無い島国に、電気エネルギーや工業製品、有り余る食料がある事に疑問を感じないのか?
これらは全て、海上の輸送ルートの安全が保たれているからだぞ?
海洋国家にとって、海の輸送ルートの安全確保は戦争の理由になるから覚えておけ。
でも、昔の話でしょう? 今は自由貿易の21世紀だよ?
・・・・自衛隊がインド洋に派遣されていることは知っていますよね?・・・
さて、クリミア戦争に話を戻そうか。
ロシア艦隊が地中海に出てくると困るのはフランスも同じだ、地中海は「お膝元」だからな。
こうして、イギリス&フランスの連合軍は、ワラキア・モルダヴィアに向けて進軍した。
ま・・・・まずいクマ・・・・
・・・・フランスだけでなく、イギリスまでもが軍事行動を起こすのは計算外クマ・・・・
なんか見通しが甘すぎませんこと?
「オスマン・トルコから奪い取る領土を分けてあげたら文句は無いだろう」
・・・とタカをくくっていたからな。
イギリスにしたら、地中海の安全は重要なのにですか?
当時のロシア皇帝ニコライ1世は、クリミア戦争の9年前にイギリスを公式訪問した際に
「オスマン・トルコ領に対して野心をもっていない」
と言っている。
ニコライ1世は、ロシア皇帝たる自分がイギリスを公式訪問し、バルカン半島の平和を望んでいると述べたことで
よっしゃ、イギリスの信頼をゲットォォ!
…と勝手に思っていたが、イギリスはロシアをまるで信じていなかった。
ヴィクトリア英国女王なんて、ニコライ1世のことを「教養がなさそうね、きちんとした教育を受けなかったのでしょう (プ」とボロクソに記している始末だ。
ダメじゃん。
さて話を戻そう。
すでに散発的な戦闘は始まっていたが、バルカン半島での本格的な決戦を前に、イギリス&フランスはロシアに向かって最後通牒をした。
ロシアは即刻、ワラキア・モルダヴィアから撤退せよ!
う、うるさいクマー!
勝負はやってみないと分からないクマー!
ロシアは最後通牒をシカトし、ついに欧米列強同士の激戦が始まった。
・・・・が、ロシアはここで完全に予想外の事態に直面する。
↓オーストリア
ロシア君は今すぐワラキア・モルダヴィアから撤退したまえ!
Σ( ゜Д ゜;)
・・・御免なさい、あなた誰ですの?
↓オーストリア
(忘れてんじゃねーぞ、このビヂグソが!) じょ、冗談きついなお嬢さん。
栄光あるハプスブルグ家で有名な列強オーストリアだよ?
ヨーロッパの王族の大半は、我がハプスブルグ家とつながっているのだよ?
そうえいばそんな国もあったわね、忘れていましたわ。
だけど今の我が国は立憲君主制ですので、そんな権威を自慢されましてもね。
思い出したですの。
フランス革命の際に、ギロチンでプッ殺した王妃の出身国ですの。
でも今の我がフランス国王はナポレオンの甥なので、もう関係ありませんですの。
(我慢だ、我慢だぁ!) というわけでロシア君。
撤退できないのなら、私も英仏連合軍に参戦するかもしれないから、よく考えて行動するように。
・・・・・裏切るなんてひどいクマ・・・・
「裏切る」って? オーストリアとロシアは仲良しなのですか?
19世紀のヨーロッパは、18世紀末に起こったフランス革命の影響で「打倒王政!」の空気だった。
自国で革命が起こることを恐れたロシアとオーストリアは、
「みんなで革命を防いで、王族による支配体制を維持しようね♪」
「自分の国で革命が起こったら、鎮圧するのに協力してちょ♪」
と協力体制を取っていたのだ。
実際にオーストリアで革命騒ぎが起こった時は、自力で鎮圧できないオーストリアに対し、ロシアは軍を派遣して鎮圧に協力している。
地球市民が喜びそうな、「国境をこえた協力」でつね。
他にもロシアは、オーストリアとオスマン・トルコとの国境争いで、外交的にオーストリアを支援している。
またオーストリアとは、クリミア戦争のだいぶ前だが、
「将来もしもオスマン・トルコが滅んだら、君とボクとでいっしょにバルカン半島を統治しようね」
と約束もしていた。
そのためロシアは、クリミア戦争では
「オーストリアはロシアに協力するか、無理でも好意的な中立を保ってくれるだろう」
と期待していたのだが・・・・
↓オーストリア
私は恩を着せられるのが嫌いなのだよ。
しかしオーストリアの行為はロシアの恩を仇で返すものであり、当然ながらロシアはブチ切れだ。
ま、ブチ切れたところで何かできる状況ではないがな。
「裏切り」は分かりましたが、なんでオーストリアがロシア軍の撤退を要求するワケですか??
理由は3つ。
お膝元のバルカン半島に、仮想敵国のロシアが進出するのを嫌ったのが1つ。
両国は「革命を阻止」ということで利害が一致していたが、オーストリアはロシアをまるで信用していなかった。
1854年、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフが母に送った手紙
「かっての友人を敵とするのはつらいことですが、政治的には他に仕方がないのです。東欧ではロシアはいつでもわが国にとって天敵です」
2つ目は、勝ち馬になりそうなイギリス・フランスにつくことで、あわよくば戦後処理でワラキア・モルダヴィアをオーストリアが領有することを認めさせよう、と考えたこと。
ちゃっかりしてるわね。
・・・戦争は2国間だけの問題ではありませんよ・・・
3つ目は?
これは2つ目にも関係しているが・・・当時の欧米のリーダーシップは主にイギリス・ロシア・フランスが握っていた事への挑戦だ。
ロシアがワラキア・モルダヴィアからの撤退を拒否してバルカン半島が戦場になれば、隣接しているオーストリアの発言権が増すからな。
それって、ある意味マッチポンプじゃん。
そんなことのために、わざわざ仲の良かったロシアを敵にまわすわけですか?
負け馬に賭ける馬鹿はいない。
迂闊にロシアの味方をしたら、自分までイギリス・フランス連合軍と戦わないといけない。
そんな事態になったら、革命でもおこりかねないからな。
…ってか5年前にも、自国のみで鎮圧できないほどの革命騒ぎがおこっているし。
そんな不安定な国内情勢だったら、大人しく中立の立場をとればいいではありませんか。
邪魔しなければイギリスもフランスも文句ないでしょうし、ロシアとの仲も悪くなりませんわ。
それではオーストリアの国際的地位はレベルアップしないだろう?
そんなことは700年の歴史を誇る名門ハプスブルグ家の伝統が許さん。
・・・・何か根本的なところが間違っている気がしますわ・・・・
しかし、ロシアはオーストリアの勧告に従ってワラキア・モルダヴィアから撤退したため、オーストリアのちょっぴり夢見がちな狙いは空振りに終わった。
ロシアの恨みを買っただけだな。
あら、ロシアは撤退しちゃうんですか。
ロシアだって馬鹿ではない。
イギリス・フランス連合軍だけでも「高田 vs ミルコ」なみの厳しい戦いだというのに、これにオーストリアまで敵になっては「大山 vs シウバ」なみの絶望的な戦いになってしまう。
…ってことは、本格的には戦わずして連合軍の勝利ですか?
じゃあこれで丸く収まったわね♪
そうは問屋がおろさん。
戦争を始めるのは簡単だが、終わらせるのは難しいのだ。
イギリスとフランスは「はぁ?何を勝手に終了させてんだよボケ」と、戦闘を継続した。
どーしてですか?
「大軍で敵を圧倒し戦わずして勝つ」のは、孫子もオススメな理想パターンではありませんか。
世論に配慮してのことだ。
フランスのナポレオン3世は、自分の権力維持のために勝ち星が欲しかった。
そしてイギリスでは、勝ちが見えてきたのに「戦わずに終了」では国民が納得しなかった。
戦争は、必ずしも国民の命を軽視した為政者のワガママで行われるものではない。
井上幸治著『世界の歴史』 12巻 p,426 中公文庫
海陸の作戦はロシアを圧したが、決戦は行われず、イギリス国内ではこの点について不満がわいた。
『タイムズ』紙は、「戦争の政治的・軍事的目的は、セヴァストポリとロシア艦隊の存在する限り、達せられない」と主張した。
※「セヴァストポリ」…クリミア半島にあるロシアの要塞
まるで「暴支膺懲」を叫んだ朝日新聞でつね。
言うなれば「ロシアのクソどもが当分はヘンな気をおこさないよう、このチャンスに徹底的にブチのめせ!」だ。
まぁイギリスのニコライ1世に対するイメージはこんなのだし。
イギリス人の見たロシア皇帝ニコライ1世
ちなみに虐げられる人々はポーランド人である
'`,、'`,、'`,、(´∀`;)'`,、'`,、'`,、
つーわけでイギリス・フランス連合軍は、クリミア半島のセヴァスト・ポリ要塞を攻撃。
およそ11ケ月にも及ぶ長〜い包囲戦が始まる。
ところが実際に戦ってみると、ロシアの後進国っぷりが暴露された。
イギリスとフランスは産業革命によって近代化していたが、この時のロシアは産業革命がまだだったからな。
イギリスは鉄道で物資や兵を輸送できるのに、ロシアの物資輸送は馬車でゴトゴト。
ロシアは街道もろくに整備されていないので、雨がふると道がぬかるんで立ち往生だ。
←イギリスの物資輸送
←ロシアの物資輸送
なんでKTX?
蒸気機関車の画像ぐらい、いくらでも落ちているでしょうに。
ブリ公はムカつくから半島製にしてやった。
あんたは小学生でつか・・・・・
武器のレベルもまるで違っていた。
イギリス兵はみな施条式の新型銃を装備していたが、ロシア側で施条式の新型銃を持つ兵士は全体の4%ほどだ。
またイギリスの軍艦は蒸気船だが、ロシアの軍艦は帆船だった。
そこまで武器・兵站に差があると話にならないですわね。
ところで、施条式の銃って何?
銃の内側に「ライフリング」と呼ばれる、らせん状の溝が彫ってある銃のことだ。
このらせん状の溝があると、発射された弾はドリルのように回転しながら飛んでいき、射程距離と命中率が飛躍的に上がる。
今日では当たり前の技術だがな。
これは単に武器レベルの話ではない。
これは工業力の弱さと、工業を支える鉄道や道路網といったインフラの不備を表す。
要するに国力はあれど、国家としてのシステムは未発達だということだ。
また当時のロシアは農奴制であり、徴募された兵士はイヤイヤ戦っているにすぎない。
しかしイギリスは立憲君主制によって「俺たちの国が戦っているんだ!」という意識があり、戦場にジャーナリストが入って本国に実況するほどだった。
ふーん・・・・数で押し切るのも限度があるのかしら。
その「数」だが・・・オーストリアは中立だが、序盤で裏切られたのではいつ中立を破棄して攻め込んでくるか分からん。
そのためロシア軍は、クリミア半島に戦力を集中させることが出来なかった。
ロシアにとって、それだけオーストリアの裏切りは計算外だった。
こうしてロシアにとっては絶望的な戦いとなるのだが、さらに凶報は続く。
翌年1855年の1月には、フランスのお友達だったサルディニア王国が連合国側について参戦する。
サルディニア王国?
なんですかそのほとんど聞いたことも無いような国は?
それクリミア戦争に何か関係のある国なのですか?
関係などは、まったく無い。
地図を見たらわかると思うが、当時のイタリアはまだバラバラで統一されていないだろ?
サルディニア王国は武力によるイタリア統一をはたすため、フランスの協力を必要としていた。
そこでクリミア戦争に参戦してフランスに恩を売ることにしたのだ。
こうしてオスマン・トルコ+イギリス+フランス+サルディニア vs ロシア」という、4対1の戦争になってしまった。
まるでハイエナでつね。
「川に落ちた犬は棒でたたけ!」(※朝鮮の格言)
これは帝国主義時代の鉄則で、相手が同じ白人であろうと例外ではない。
この絶望的な負け戦の最中、ロシア皇帝ニコライ1世は病死する。
・・・死因はインフルエンザと心労だそうですが、自殺だという説もあります・・・
・・・ニコライ1世にとって、クリミア戦争での敗北が大きな衝撃だったのは間違いありません・・・
同年1855年の9月にはセヴァスト・ポリ要塞も陥落。
同年12月になるとトドメとばかりに中立で様子見だったオーストリアまでもが参戦。
ここにクリミア戦争は5対1の戦争になり、ついに万策尽きて翌年にロシアは降伏した。
オーストリアもセコいわね、最後の最後で参戦なんて。
しかしオーストリアの参戦は、さしてオーストリア自身に利益をもたらさなかった。
連合国にも多大な犠牲を強いたセヴァスト・ポリ要塞包囲戦の後だったため、フランスからは「おまえ何もしてないだろ?」と冷笑される。
クリミア戦争でオーストリアが得たものはロシアの反感ぐらいだな。
オーストリア、ただの馬鹿じゃん。
このクリミア戦争の後、オーストリアの使節は事あるごとにロシアから「オーストリアの裏切りのせいで、皇帝ニコライ1世はショック死したのだ」とネチネチ非難される羽目になる。
この目先の利益に目がくらむ割にはどっちつかずな外交により、後にオーストリアは恐ろしく高い代償を払う事になった。
「恐ろしく高い代償」って?
ロシア帝国&オーストリア帝国という、欧米の2大保守勢力の決裂だ。
「欧米の2大保守勢力」って??
簡単に言うとだな、
「王サマが国を統治するべきであーる!」
「民主主義?憲法?何それ」
という思想だよ。
欧米では18世紀末にフランス革命がおこり、イギリスはもうすでに立憲君主制に切り替わっていた。
しかしそんな新しい時代の流れに逆らって、頑固に君主制を貫いていた代表選手がロシアとオーストリアだ。
頑固に護憲ならぬ、頑固に君主制でつか。
ロシアは君主制に意義を唱える者を弾圧し、「ヨーロッパの憲兵」と呼ばれるほどだった。
そしてオーストリアも、19世紀の前半には「諸国が一致して革命をつぶそう!」と呼びかけていた。
当然ながら、ロシアとオーストリアは馬が合っていたワケなのだが・・・・・・
クリミア戦争での裏切りのせいで友好もパー、というわけですね。
その通りだ。
クリミア戦争の後にも両国はまた同盟を結ぶが、もう前ほどの協力関係はなくなった。
やがて両国の亀裂は広がり、およそ50年後にオーストリア皇太子がスラブ人青年に射殺されると、それをきっかけに両国は戦争
――― 第一次世界大戦だな。
そしてオーストリアは敗北、ハプスブルグ家は崩壊する。
さて話をロシアに戻そうか。
ロシアが降伏した1856年の3月に、フランスのパリで戦後処理が話し合われた。
そしてパリ条約が結ばれ、敗戦国であるロシアにイギリス・フランスから厳しい条件が突きつけられる。
― パリ条約 ―
1) 黒海を中立地帯とし、ロシアもオスマン・トルコも黒海に艦隊を建造しない
2) ボスポラス海峡・ダーダネルス海峡は封鎖し、どこの国の艦隊も航行しない
3) ロシアはオスマン・トルコを独立国として認め、不当な内政干渉をしない
4) オスマン・トルコは領内のキリスト教徒を差別しない
5) ロシアはワラキア・モルダヴィア両地方をオスマン・トルコに返却するが、オスマン・トルコは両地方に自治権を認める
(ワラキア・モルダヴィアはオスマン・トルコからの独立を求めており、言わばロシアの面子を立てるためである)
条約の内容を分かりやすく言うと・・・・
「ロシア野郎は二度と地中海に出てくんなボケ」でつね。
こうしてロシアの「地中海に出るぞ作戦 in 1853」は失敗に終わった。
めでたし、めでたし。
…余談だが、このクリミア戦争で活躍したのが有名なナイチンゲールだ。
ナイチンゲール??
ググれ。
気の毒だから私が教えてあげまつよ。
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双子の姉と体が入れ替わってしまった主人公。
元の体に戻るためには、処女のリビドーパワーを集めないといけないんだって!
主人公の姉の職場は、女ばかりの聖ナイチンゲール病院v女の子として女の園に潜入した主人公。
清らかで優しいナースさんや女医さんに囲まれて、コミカルでエッチなハプニングの連続だ!
http://www.pencilcolor.co.jp/soft/syohin_file/syohin_contents/cherry_images/night.html より抜粋
こっちです!
ナイチンゲール
クリミア戦争に従軍した看護婦。敵味方を問わない姿勢のみならず、傷病兵の死因の追及に統計学を用いて、傷病兵の死亡率を下げる事に成功した。
・・・しかし「ナイチンゲール」でgoogleイメージ検索かけると・・・
・・・なんで赤いモビルスーツやハァハァ(;´Д`)な絵ばかり出てくるんでしょうね・・・
ねえ、ロシアの敗因の1つに「武器・兵站のレベルが低い」って言ってたけど・・・
同じ欧米で、しかも列強の1つでしょ?
なんでここまで差がつくの?
さっき言ったろ、「当時のロシアは産業革命がまだ」だって。
どうして?
ロシアは中世さながらの農奴制だったからだよ。
なにせ当時のロシアは人口の7割ほどが農奴で、彼らは貴族の土地を耕す奴隷でしかなかったからな。
モスクワでは「売りもの…訓練されたハンサムな御者3名、少女2名、18歳、15歳」という新聞広告が出るほどだ。
しょ・・・・「少女2名、18歳、15歳」だとおっ!!!!!!!
・・・・・・・・・・・バカ・・・・
農奴制って、国の工業力に関係あるの?
ミルフィーユさん、産業革命に必要なものは2つですわよ。
1) 都市の工場で働く大量の労働者
2) 工場を建てるための資本
領主によって土地に縛られ移動と職業選択の自由がないのでは、都市で働けません。
はっきり言って、村に縛られた中世の身分制度と何ら変わらないですわ。
・・・ちなみに(2)の資本については、19世紀末にフランス資本の導入によって達せられます・・・
・・・クリミア戦争で敵国だったフランスがなぜロシアに協力するのかは、ずっと後に述べます・・・
ところでさ、このクリミア戦争の頃は日本はどーしてたの?
1853年でしょう?
ペリー提督が浦賀に来航・・・翌1854年、日米和親条約ですよね。
日本は開国をきっかけに攘夷運動がおこり、やがて徳川幕府は滅びるのだが・・・・・
日本の激動など知ったことではなく、世界情勢は動いていく。
具体的に言うと、「地中海に出るぞ作戦パート2」だ。
スラブ民族の辞書に「あきらめる」「がまんする」という文字はない。
あら、またオスマン・トルコに戦争しかけちゃうんですのね…
でもパリ条約で黒海での艦隊建造は禁止でしょ?
艦隊が無いのに、地中海に出るも何もないじゃないの。
そんな条約、破ればいいだろ?
ロシアって・・・・ロシアって・・・・・