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H2A:信頼性向上とコスト削減両立に、まだ課題

 超高速インターネット衛星「きずな」打ち上げ成功は、H2Aロケットの打ち上げ業務を請け負って2機目の三菱重工業にとって、ひとまずは順調な滑り出しになった。だが、施工不良による直前の延期もあり、衛星打ち上げ市場参入に不可欠な信頼性向上とコスト削減の両立には、まだ課題が残っている。

 H2Aはこれで14回中13回が成功。成功率も92.85%に達し、シェア1位のアリアンスペース(欧州)などと肩を並べるが、打ち上げ費用は110億円前後で3割ほど高い。

 三菱重工は今回から本格的にコスト削減に着手。製造工場と発射場とで重複していた点検項目を一部省略し、工期を約3週間縮めた。川井昭陽・航空宇宙事業本部長は「今回の成功で受注活動に弾みがつく。さらに努力して、世界並みに打ち上げ費用を下げたい。引き合いは来ており、来年度中に受注したい」と手応えを語った。

 しかし、今回打ち上げ延期の原因になった2段ロケットの姿勢制御用燃料タンクは、点検を簡略化した部分ではなく、先代のH2ロケット時代から使われていた部品だ。こうした想定外のトラブルは今後も起こりうる。

 信頼性向上とコスト削減の両立は困難だが、衛星打ち上げは世界全体でも年20~30基しかなく、これをやり遂げない限り、実績を持った欧州やロシアなどのライバルを押しのけての受注確保は容易ではない。【西川拓】

毎日新聞 2008年2月23日 21時17分 (最終更新時間 2月23日 21時18分)

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