2008年2月23日 [土]
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国保料滞納、治療控え3人死亡か

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国保料滞納、治療控え3人死亡か

 国民健康保険料を滞納したため市町村から期限付きの短期保険証に切り替えられ、期限が切れた後に治療を中断し、その後死亡した患者が昨年1年間に県内で少なくとも3人いたことが民医連の全国調査で分かった。死亡事例は民医連加盟152病院を対象にした全国一斉調査で判明した。調査では18県から死亡者31人が報告され、うち3人が沖縄協同病院の事例だった。沖縄民医連は3人の死亡理由について「短期保険証の期限が来ても保険料を払えず、治療を控えて病気が重症化し死亡したとみられる」と話している。
 県内で死亡したのはいずれも本島内に住む52歳の女性、60歳の女性、79歳の男性。
 52歳の女性は重症の糖尿病を患い、毎月1回、インスリン治療を受けていたが短期保険証期限の昨年3月を最後に通院しなくなり、治療が途絶え、その後5月に病院に運ばれ死亡した。
 60歳の女性は昨年4月、心筋梗塞(こうそく)のため救急搬送されたが死亡した。女性は短期保険証の期限が切れた昨年3月以降に通院しなくなり、持病の薬の受け取りが途絶えていた。このため民医連は持病への投薬治療が中断したため心筋梗塞を起こしたとみている。
 79歳の男性は2005年3月に神経性ぼうこう炎で泌尿器治療を受けたが、保険証がなかったため病院の指導で1年期限の短期保険証の発行を受けて治療を続けていた。しかし、この男性も期限が切れた後は通院せずに治療が途絶えており、昨年10月に死亡した。
 県内の滞納世帯は昨年6月現在、約5万5000世帯で全体の18・9%(全国18・6%)。短期保険証は35市町村で発行され、約2万5000世帯に上り、国保世帯の8・6%(全国4・8%)、滞納世帯の45・5%を占める。窓口でいったん医療費全額を支払い、後で保険負担分が返ってくる資格証明書は395世帯。
 また滞納者への財産差し押さえは06年度に少なくとも13市町村で2291件、総額約3億8550万円に上っていることが県社会保障推進協議会の調べで分かった。同協議会は「県内は低所得者が多く期限付きの短期保険証が切れれば、患者は治療を控えてしまう。滞納者の生活状況をよく見て困窮者には行政が協力してほしい」と訴えている。

<ニュース用語>短期保険証
 国民健康保険の保険料を滞納した人に交付される有効期間付きの健康保険証。期間は市町村により異なるが、県内では大半が1カ月で、1―3カ月、1―6カ月とする自治体もある。期限が迫ると窓口での更新が必要で、保険料が支払えない人は更新しない事例も出ている。

(2/23 10:30)

 
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