人権擁護法案 公権力抑止という原点に戻れ
2008年2月18日(月)01:45人権擁護法案に対する懸念は一向に解消されていない。それなのに自民党内に法案の国会再提出を目指す動きが出ている。当然、断念すべきだ。
この法案は、2002年に国会に提出されたが、強い反対で廃案となった。法案自体に、数多くの問題点が含まれていたからだ。
まず、人権侵害の定義があやふやである。「不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為」としているが、判断基準が不明確だ。
その分かりにくい基準で人権侵害の有無を判断するのが、新設する人権委員会だ。差別や虐待の疑いがあると判断しさえすれば、裁判所の令状なしで立ち入り調査などができる強い権限を持つ。こんな“危険”な組織が必要だろうか。
そもそも、国連規約人権委員会が法整備を勧告したのは、公権力による人権侵害を抑止するのが目的だった。
人権委は、法務省の外局に置くとしている。名古屋刑務所での受刑者暴行事件のように、重大な人権侵害は公権力を行使する場で起きることが多い。
刑務所や入国管理施設は法務省の所管だ。人権委が法務省の外局では、公正な調査ができるのか大きな疑問が残る。
まして人権委の事務局には、法務省人権擁護局の職員をあてることが想定されている。地方事務所の仕事も、その多くが地方法務局に委任される予定だ。これでは、まるで法務省の出先機関ではないか。内閣府の下に中立的な機関として置くべきである。
メディアに対する規制も問題だ。
過剰な取材とされる「つきまとい、待ち伏せ、見張り」などは、メディア側がすでに自粛している。なのに、通常の取材活動に過剰反応し、人権侵害だと
地域社会の人権問題に携わる人権擁護委員の選任資格の問題も残されている。国籍条項がなく、外国人が委員になることも可能である。
朝鮮総連など特定の団体の関係者が委員に選ばれ、批判的な政治家や報道機関を根拠もなく“告発”するケースも考えられよう。
自民党人権問題等調査会で、鳩山法相は法案提出への意欲を示しつつ、「前の法案をベースにしないでフリーに議論してもらいたい」と述べた。
だが、調査会では反対論が続出した。重大な疑問点が残されたままなのだから当然だ。法案はゼロから作り直すべきだ。公権力による人権侵害の抑止という原点に戻らなければならない。
- 【PR】議会をネットでライブ中継 - 沖縄県議会の情報公開への取り組みとは
- 【PR】日立ソフト内部統制セミナ - 定期開催 整備の効率化 運用テストの進め方
- 【PR】≪総額2億円≫のチャンス - 住まい購入資金を<大判振る舞い>今だけ!
関連ニュース
- 人権法案 自民賛否 板ばさみ…「反福田」の気配も(産経新聞) 02月16日 08:26
- 人権法案 自民賛否 中川昭氏ら気勢 首相ピリピリ(産経新聞) 02月16日 08:25
- 人権法案、自由に議論 自民調査会、修正し「今国会提出」(産経新聞) 02月14日 09:05
- 人権法案 議論再開 自民 推進派きょう調査会 反対派15日に研究会(産経新聞) 02月13日 03:18
- ブリッジ法案提出へ 暫定税率維持 首相きょう決断(産経新聞) 01月28日 08:49
ランキング
過去1時間で最も読まれた社会ニュース
-
復讐請負人と依頼の女逮捕 NHK職員を脅迫した疑い(朝日新聞) 2月23日 12:33
-
メール便で「信書」78万通 総務省、ヤマト運輸を指導(朝日新聞) 2月23日 9:56
-
イージス艦衝突 「早く見つかって」 親族ら現場海域に花束(産経新聞) 2月23日 16:37
-
関東地方に春一番、4月上旬の暖かさ…昨年より9日遅く(読売新聞) 2月23日 15:28
-
中国加工品から続々農薬 汚染野菜意図的に? 生鮮品は検疫で流通禁止(産経新聞) 2月22日 8:22
-
「事実明らかに」と強まる批判=防衛省に抗議電話1千本−イージス艦事故(時事通信) 2月23日 5:38
-
女子生徒にメール170通 40代教諭を戒告処分(共同通信) 2月23日 11:47
過去24時間にブログで話題になったニュース
-
謝罪に向かう石破防衛相の車が事故 けが人なし 千葉(朝日新聞) 2月21日 19:40
-
岡田監督勝った怒った/東アジア選手権(日刊スポーツ) 2月21日 9:49
-
「3歳の子助けて」チェーンメール、日赤にも電話殺到(朝日新聞) 2月22日 20:45
-
中国加工品から続々農薬 汚染野菜意図的に? 生鮮品は検疫で流通禁止(産経新聞) 2月22日 8:22
-
中国、警察庁の見方批判 「責任ある態度と言えない」(朝日新聞) 2月21日 19:42
-
チェーンメールで昭和大に電話殺到「3歳の子供助けて」(朝日新聞) 2月22日 12:55
-
HDーDVD、ブルーレイと交換します エディオン(朝日新聞) 2月21日 21:00
- 今週のおすすめ情報
-
プロのスタッフと二人三脚で
リーブ21では、発毛のプロであるカウンセラーが、お客様と二人三脚で発毛に取り組みます。まずはあなたの髪の状態や脱毛原因・生活習慣等を診断してから、一人ひとりに合ったオリジナルの発毛プランをご提案。
最新の裁判ニュース
- 子供のけんかで親に賠償命令 東京地裁(朝日新聞) 2月23日 12:48
- 競馬ファンドを提訴へ(中国新聞) 2月23日 11:00
- 横浜事件再審 上告棄却、免訴確定へ 最高裁、来月14日に判決(北海道新聞) 2月23日 07:44
- 無期3人、死刑2人 2人射殺事件で最高裁判事割れる(朝日新聞) 2月23日 06:09
- 改めて無罪を主張 堀江被告2審初公判(産経新聞) 2月23日 04:32