「因州和紙とスペイン版画のコラボレーション2008」(新日本海新聞社など後援)が十九日、鳥取市青谷町青谷のあおや郷土館で始まった。スペインの作家らが青谷産の手すき和紙で制作した版画約六十点が一堂に展示され、日本と西洋の感性が融合して作り出された魅力的な作品が人気を集めている。三月二十三日まで。
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最優秀賞を受賞したイレネさん(左端)とスペインの教官ら=19日、鳥取市青谷町のあおや郷土館
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日本古来の因州和紙と、欧州の版画技法とのコラボで、和紙の新たな可能性やスペインとの文化交流を図ろうと、二〇〇二、〇四年に次いで三回目の開催となる。
展示作は、スペインのリョッチャ美術学校、バルセロナ大学、バレンシア大学、オビエド美術学校に学ぶ世界各国の教官や学生が制作した版画五十五点と製本六点。木版、リトグラフ、シルクスクリーン、デジタルプリントなど多彩な技法の作品が並ぶ。
最優秀賞を受賞したバルセロナ大学の学生、イレネ・デ・ラ・オサさん(24)の作品「どこにもない場所」は、工事中のバルセロナの風景をピンホールカメラで撮った写真をもとにシルクスクリーンで仕上げた。水墨画のようなタッチで、廃虚的な風景が理想郷にも見えるという多様なイメージを表現した点が高く評価された。
開会に先立って開かれたオープニングセレモニーには、スペインから訪れた教官や学生ら六人が参加。最優秀賞のイレネさんは「手すき和紙は、自然の素材を使って丁寧に作られたという印象がある」と話していた。