中国製冷凍ギョーザ中毒事件で、警察庁は22日、有機リン系殺虫剤「メタミドホス」が密封された袋の外から内側に浸透する可能性はなく、一度開封した袋を痕跡を残さずに再密封することは不可能と断定した。警察庁は、同日終わった中国公安省との情報交換会議で中国側に「日本国内で混入した可能性は低い」とする根拠として説明。これに対し中国側は「まだそういうのは早い」と反論、日中双方に混入の可能性があると主張した。
ギョーザの袋を浸透した可能性が消えたことで、捜査当局はメタミドホスが製造工程の袋詰め前に混入した可能性が極めて強まったとみている。
これまでの鑑定で、メタミドホスは密封されたギョーザの袋の内側と外側から検出。メタミドホスが混入した段階の特定につながるため、捜査当局は、密封後に外側から内部に浸透した可能性や、袋をいったん開封して混入した後、再び密封した可能性についても科学警察研究所で精密鑑定していた。
その結果、(1)メタミドホスは袋の外から内側に浸透する可能性はない(2)再密封も技術的には可能だが、痕跡を残さずに袋を再び密封するのは不可能で、被害者を出したギョーザの袋に開封の痕跡はない−と断定した。
メタミドホスの混入時期をめぐっては、メタミドホスに不純物が含まれ、日本国内で試薬として使われる高純度のものと異なることや、千葉、兵庫両県のギョーザは中国で出荷後、完全に別ルートで接点がないことなどから、「日本国内で混入された可能性は低い」と判断している。
日中警察当局の情報交換会議で中国側は、こうした説明に対し、「混入の可能性は日中双方にある。日本国内の可能性がないというのは早い」と反論。現段階での捜査の見通しのずれが明確になった。
また会議では、日本側が両国警察幹部同士の連絡窓口の設置を提案。今後も、情報交換を継続することで合意した。
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