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胡主席来日に暗雲 ギョーザ事件長期化に懸念 '08/2/22

 四月に予定される中国の胡錦濤国家主席来日を控え、日中両政府内で中国製ギョーザ中毒事件の長期化への懸念が高まっている。日中捜査当局による原因究明作業に目ぼしい進展が見られない上に、新たな殺虫剤検出が相次ぎ中国製食品への「不安」は広がるばかり。政府内には「胡主席来日前の事態収拾は難しい」(外務省筋)との悲観論も出始めた。

 「被害者の方々にお見舞いを申し上げる」

 来日中の唐家〓国務委員は二十一日、福田康夫首相との会談で、中国政府としてギョーザ中毒事件を極めて重視し、一日も早い原因究明を目指す考えを強調した。

 二〇〇六年十月の安倍晋三首相(当時)の電撃的訪中をきっかけに、冷えきっていた日中関係は修復に向けゆっくりと歯車が回り始めている。昨年四月の温家宝首相来日、同十二月の福田首相訪中を経て、一九九八年十一月の江沢民氏以来、約九年半ぶりとなる中国国家元首の来日は「失敗は許されないというのが日中の共通認識」(政府筋)だ。

 外務省幹部は「胡主席来日前にギョーザ事件を決着させることは前提のはずなのに」と出口の見えない状況に頭を抱える。ギョーザ事件が解決しないまま首脳会談を迎えれば、福田首相がこの問題を取り上げ、胡主席が何らかの対応を迫られる展開になる。日中外交筋は「中国指導部内では『そんな首脳会談にしたくない』と訪日延期論も出ている」と指摘する。

 日中両政府は双方が調査団を派遣するなど連携を図っているが、成果は芳しくない。政府関係者は「食品安全の観点での調査には限界がある。もっと早い段階で捜査当局による相互協力に乗り出すべきだった」と、初動段階での対応のまずさを指摘する。

 その捜査協力も信頼醸成に至っていないのが実態だ。警察庁で二十一日に行われた日中警察当局による情報交換会議で、日本側は「殺虫剤が日本で混入した可能性は低い」と強調した。これに対し中国側は従来通り「中国の工場内で混入した形跡はない」と主張したとみられ、双方の溝がすぐに埋まりそうな気配はない。

 情報交換会議に中国側から公安省幹部が出席したことにも、警察庁幹部は「日本の警察がどれだけ証拠を持っているか見極めるためだ」と不信感を隠さない。

 二十五日からは安藤隆春警察庁次長が捜査協力の在り方を協議するため中国を訪問するが、「中国は国益第一で考えてくる。どんな手を打ってくるのか」(同庁幹部)と、進展への期待より警戒心の方が先行している。

 【お断り】〓は王へんに旋と言う漢字ですが、JISコードにないため表示できません。




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