2008年02月22日 更新

スタメン勝ち獲る!松井秀、右ひざOK晴れ晴れキャンプイン

キャンプ初日から打撃練習などフルメニューをこなした松井秀。手術した右ひざの順調な回復ぶりをアピールした(撮影・原田史郎)

キャンプ初日から打撃練習などフルメニューをこなした松井秀。手術した右ひざの順調な回復ぶりをアピールした(撮影・原田史郎)

 【タンパ(米フロリダ州)20日=日本時間21日】ゴジラ復活へ光が見えた! ヤンキースの松井秀喜外野手(33)が20日(同21日)、メジャー6年目のキャンプイン。昨年11月に手術した右ひざに不安を抱えながら、初日からほぼすべてのメニューをこなした。左翼とDHの激しい定位置争いが待ち構える中、ジョー・ジラルディ新監督(43)は、オープン戦でDHでの積極起用を明言。開幕スタメンに道が開けてきた。

 ウオーミングアップでは、できる限り右足を曲げようとした。ノッカーの打つ球を追い、打撃ケージでは快音を響かせた。上々のスタートだ。メジャー6年目のキャンプイン。松井秀は、初日から約2時間のフルメニューをこなし切った。

 「現時点で自分のできる最大限のことをやったつもりです」。フロリダの空は薄曇りで肌寒かったものの、苦しかったリハビリの成果に、ゴジラの顔は晴れ渡っていた。

 昨年11月に慢性的な痛みに苦しんでいた右ひざの内視鏡手術を受けた。前日19日には「どこまでチームと一緒にできるか…」と不安いっぱいだった。フリー打撃では32スイングでサク越え1本。足に負担がかからないよう外野ノックは正面の打球のみとするなど、部分的には“加減”もあった。だが復活への手応えは、松井秀本人が一番感じ取っていた。

 「1週間前より、多少は前進している。楽しみではある。日々、よくなっていくのは」

 意地の“完走”だった。アピールしなくては…。過去5年のキャンプインとは、環境は大きく違う。師と慕い、信頼関係が厚かったジョー・トーリ監督(67)がドジャースへ移籍。足に不安を抱える松井秀は、ジラルディ新体制の下、レギュラーの保証はない。ジョニー・デーモン外野手(34)と左翼を、ジェーソン・ジアンビ内野手(37)、シェリー・ダンカン内野手(28)とDHを争う。未体験ともいえる厳しい状況に置かれている。

 オールスターキャストのヤ軍で、レギュラーが確定していないのは、左翼とDH。選考条件は、「状態の良さ」と「相手投手との相性」。故障で出遅れるわけにはいかない。巨人入団2年目の1994年から17年間守り続けている『開幕スタメン』の座は譲れない。

 午前11時開始のキャンプ中は毎朝、午前7時前に目を覚ます。右足の具合を必ずチェックし、専属トレーナーとウオーミングアップをして球場に向かう。「右ひざ周辺の筋肉が少し張ってきた感じ」と、全快へ向かっていることを喜んでいる。

 「バッターボックスではまったく問題ないな。よく見えたし違和感はないよ。DHの可能性がある。そうすれば守らずに打席数を稼げる」。ジラルディ新監督は、29日(日本時間3月1日)からのオープン戦で松井秀をDHで起用する考えを明かした。初日からの猛アピールで、開幕スタメンに一歩前進だ。

 「とにかく焦らないこと…」。照準は3月31日(同4月1日)のブルージェイズとの開幕戦(ヤンキースタジアム)。戦いに勝ち、先発メンバーに必ず名を連ねる。

不安の残る右ひざをストレッチする松井秀(撮影・原田史郎)

不安の残る右ひざをストレッチする松井秀(撮影・原田史郎)

【ゴジラTALK】

 ――キャンプ初日を終えて

 「今年は今までとちょっと違ったキャンプインになってしまいましたけれど、とりあえず現時点で自分のできる最大限のことをきょうはやったつもりです。これからもやっていきたいと思います」

 ――ほぼフルメニューをこなしたが

 「本当はしっかり野球のできる状態でキャンプインしたかったというのが本音といえば本音なんですけれど、無理をしても仕方ない。とりあえず今できる最大限のことをやっていきながら、少しずつ階段をのぼっていってしっかり野球できる状態になればいい」

 ――ノックを受けている最中、ほかの選手と話していたが

 「『大丈夫か』とか、そういう簡単なこと。『よくなっているよ』と言いました」

 ――ジラルディ新監督を迎えて、雰囲気の違いを感じたか

 「まだきょう1日だけでは大きな違いを感じないですね。これから日を重ねるごとに感じてくるかもしれない」

 ――開幕をどんな感じで迎えたいか

 「それはもう簡単です。100%の自分自身でいることが一番、大切。その準備をしっかりとしたいと思います」

 ――守備を久しぶりにやったが、ひざの感触は

 「大丈夫ですよ。もちろん、大丈夫の範囲しかやっていないのですが…。正面しか打ってもらっていないので。正面で大丈夫だったら、少しずつ横にいったりとか前後の打球だとか、そういうのも確認しながらやっていきたい」

 ――最後にダッシュなどもこなしていた

 「走りは大丈夫の範囲でやっている。減速のときに若干、まだ怖さがある。普通に走っているときは問題ない」

 ――自主トレを始めてほぼ1週間たった

 「1週間前より、多少は前進している感じはあります。自分の動いている感じでは」

 ――実戦の時期を意識できるか?

 「できないと思いますね。焦らないことが大事。とにかく、次に何ができるか、とやっていって最終的に実戦になればいい。それが早ければいい」

 ――開幕戦という線引き(目標)もないのか

 「ないです。もちろん、100%になればいいが、ならない可能性もある。(悪い状態に)戻ることが一番よくないこと。とにかく少しずつでも前に行き、最短で一番いいところにいけばいい」

 ――2006年の左手首骨折の経験は生きているのか

 「あのときと比べれば高いところにきている。骨が折れたのとは訳が違う。楽しみではある。日々、よくなっていくのは。楽しみにしながらいきたい。きょうはここまでできた、とかね」


■ゴジラの右ひざ痛経緯

 ★07年11月14日 ニューヨーク市内の病院で右ひざ関節内の軟骨を除去する内視鏡手術を受けた。手術は成功し、午後には退院。「あしたからエクササイズを始めたい」と早期復帰を目指す
 ★08年1月15日(日本時間) 日本での自主トレ。「キャンプ初日にどれだけできるかはまったくわからない」と右ひざの回復具合に関して不安を吐露
 ★同26日(同) 右ひざの回復が遅れているため、「キャンプの最初から全力、というのは難しいかもしれない」とオープン戦初戦に調整の照準を変更
 ★2月14日 タンパでキャンプ前のトレーニングを行い本格始動。手術以来、初となるティー打撃やランニングなどで約2時間、屋外で汗を流した。「(体は)まったく問題なかった」と手応えを感じる

■ジョニー・デーモン(Johnny Damon)

 1973年11月5日、米カンザス州生まれ、34歳。92年ドラフト1巡目でロイヤルズ入団。2001年アスレチックス、02年レッドソックス、06年ヤンキース移籍。通算成績は1845試合に出場、打率.288、166本塁打、843打点。1メートル88、92キロ。左投げ左打ち。既婚。背番号18。

■ジェーソン・ジアンビ(Jason Giambi)

 1971年1月8日、米カリフォルニア州生まれ、37歳。92年ドラフト2巡目でアスレチックス入団。02年にヤンキース移籍。通算成績は1705試合に出場、打率.289、364本塁打、1183打点。1メートル91、104キロ。右投げ左打ち。既婚。背番号25。

★井川5日ぶりのノースロー

 16日(日本時間17日)から4日連続してブルペンで投球練習をしていたヤンキースの井川慶投手(28)は、5日ぶりのノースロー調整。「(球数制限が緩い)日本でも休みはありましたからね。そんな感じです」と理由を説明した。今後も首脳陣と相談してブルペンやフリー打撃登板などで左肩を仕上げていく。

(タンパ)