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【三重】

妊婦たらい回し防げ 4月から搬送ルール明確化

2008年2月23日

 緊急搬送中の妊婦が複数の病院に受け入れを断られる「たらい回し」を防ぐため、県と県内の医療機関が妊産婦の緊急搬送ルールを明確化し、四月から実施することを決めた。県内を四地域に分けて、地域内の医療機関が受け入れを要請する周産期母子医療センターを決め、そのセンターが責任を持って受け入れ先を確保することにした。

 三重大医学部付属病院に受け入れ先を探すなどの負担が集中する現状を改善し、搬送時間の短縮と責任をはっきりさせるのが狙い。二十日夜にあった県医療審議会の周産期医療部会で了承された。

 県内には周産期母子医療センターとして指定された病院が五カ所あるがこれを県内四地域(「桑名、いなべ、四日市」地域だけは二カ所)に割り振り、産科病院や診療所など妊婦のかかりつけ医が最初に受け入れを求める「要請先1」と決めた。

 しかし受け入れ不可能な場合は、このセンターが、「要請先2」となる他の周産期母子医療センターに問い合わせて確保できる場所を探す。どうしても見つからない場合は、「要請先3」として三重大医学部付属病院が受け入れ、必要に応じて県外に搬送するための連絡調整も行う。

 受け入れ拒否が起きやすいかかりつけ医のいない妊婦の場合は、周産期母子医療センターになっている五病院を含め、産科医が三人以上いる県内十病院が地域ごとに協力を約束した。

 現在は、国の要請で二〇〇二年に導入した「県周産期医療情報システム」で、地域の産科診療所がインターネット上で空床情報などを確認して受け入れ先を探し、症状を入力して周産期母子医療センターの五病院に送る仕組みになっている。

 しかし、実態は医師不足で「データ入力する余裕がない」とほとんどシステムは使われず、各センターで受け入れできない場合、三重大付属病院に依頼が集中していた。今後はシステムの運用を中止し、電話でやり取りするよう一本化する。

 県内で〇六年に救急搬送された妊婦は四百五人。うち七十二人が最初の医療機関に受け入れを拒否され、五カ所以上に断られた事例も三件あった。県こども家庭室の宮川一夫室長は「ベストとは言えないが、当面はたらい回しによる時間ロスが減り、母体と子どもの安全を守れる」としている。

 (奥田哲平)

 

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