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2008/02/23

田舎者が都会を走ると事故る

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫) 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
価格:¥ 800(税込)
発売日:1991-08

見張り員というのは、船の先っぽにいるわけだ。一方、操船する人は高いブリッジにいて、報告を受けて判断して操船する。で、今回の事件なんだが、

防衛省によると、見張り員が最初に清徳丸の灯火を視認したのは、衝突12分前の19日午前3時55分ごろ。艦橋の右ウイングから、左舷を示す「赤」と、マストを示す「白」の灯火が右前方に見えた。調べに対し、見張り員は「(清徳丸は)あたごの右側から後ろに通り過ぎ、危険はないと思った」という趣旨の話をしており、責任者の当直士官に報告しなかったという。 

この、「報告しなかった」という言葉がウソだと、指摘している人がいる。

この記事はウソです!

元自衛官(護衛艦勤務)として言わせてもらおう
この記事はウソです

まず、見張り員が「衝突の危険がないから報告しない」というのは
ありえません
見張りからの報告は
「右10度 12マイルに青灯が見える」
「右10度 12マイルの目標、赤灯に変わった」

など、見える範囲の報告を淡々と伝えます
この目標は安全だとかの判断は一切下しません
ただ、報告するだけ
見張りの報告とレーダー(CIC)からの報告から判断するのは、
艦橋にいる幹部自衛官(当直仕官)です

これまたしごく当然の話であって、帆船というのは帆が邪魔して前がよく見えないという事もあって、おいら、舳先で見張りやる事もあるんだが、危険か危険じゃないかの判断は舵を握っている人の役目であって、見張りの役目ではない。

見張りが2時間ずつ交代ってあるが、俺自衛隊にいたことあるけど、交代の時は全員整列して下番するやつが上番するやつに報告するんじゃね。
番号1、2、3-ーー総員何名事故なし現在員何名とか言ってな。
そうすると、その数分間は、きわめて見張りは手薄になる。
しかも戦時下でもなく、任務終わってはるばるハワイから帰って来て、日本近海では士気も下がって緊張感もなくなっていただろう。

こういうシステムだと、上番したばかりの時間だと、目も暗順応してないだろ。
洋上の状況把握にしばらくかかる。下番する奴は11分前に視認しててももし報告しなかったら、いくら交代制を遵守して互いに激疲れを回避しても事故るよ。

つまり、見張りの半数ずつの時間差交代とか、くさび型輪番制をとらない限り、こういう初歩的事故はいつまでたっても起るよ、きっと。

事故が起きたのは、まさに、この交代の時刻だったわけだ。なんせ自動操舵で何もすることがないし、見張りといっても相手が避けてくれるので、やるだけ無駄みたいなもんで、一人だったら責任もあるが、何人もいるので誰かが何とかしてくれるんじゃないか、とか、そんな感じだったのだろう。で、上記の元自衛官の書込みを裏付けるように、26人が一斉に交代していたというのが明らかになった。

 第3管区海上保安本部(3管)の調べで、午前4時の当直交代の際、このレーダー員を含む26人全員がそっくり入れ替わっていたことが判明。交代は通常、安全が確保されたうえで行われることになっており、当直士官や見張り員を含む全員が漁船の接近を察知していなかったことを裏付けている。

そのわずか6分後には漁船と衝突しているわけで、そら、のんびり交代の儀式やってる場合じゃねーだろというのが感想なんだが、いつも通りバッキンガム宮殿のアレじゃないけど、交代の儀式やっていたんだろうから、危険だと考えていなかったのを証明している。さすがの自衛隊でも、本当だったらそういう場合、前のスタッフが残って引継を先送りにしたりするものなんだが。

で、どうやら問題は自動操舵にありそうだ。

 「自動操舵は大海原で視界が良好な場合に使用することが原則」(海事専門家)とされる。今回の衝突現場の海域は、漁船や商船が頻繁(ひんぱん)に行き交い、自動操舵を続けていたあたごの当直士官らの判断には専門家も首をかしげる。

 「船舶が多い海域に入れば、自動操舵は適切ではない。十分に安全航行できる海域以外では手動にすべきだ」(岡崎総合研究所理事の金田秀昭氏)。海上幕僚監部の河野克俊防衛部長も「シーマンの常識からは、手動にするのが普通」と認めた。

自動操舵がなぜいけないかというと、「すぐに手動に戻せる」とかそういう事ではなく、機械任せにしてしまうと「ちゃんと見ない」からだ。船の舵輪というのは、操舵した事がある人なら知ってると思うが、常時修正してないとどんどんズレてしまうものであって、コンパスと景色を交互に見ながら細かく操舵するわけだ。ところが、大海原に出てしまうと景色を見てもしょうがないので、コンパスだけが頼りになる。他船の行き交いもほとんどないので、レーダーでしっかり見ていれば、肉眼の見張りもほとんど要らないし、舵輪握って前を睨んでいる必要もない。コーヒー飲んで雑談していられる。こっそり眠っていても支障がない。そんなところに、「どうせ避けるに決まっている」木っ端漁船がウロウロしているからって、いちいち報告したらかえって怒られるとか、そんな事情はなかったですかね?

 現場周辺をひんぱんに航行していた「太平洋フェリー」のカーフェリーの元船長(58)は言う。「周囲の船に常に神経をとがらせる海域。漁船や遊漁船がコースを横切ることも多く、いつでも曲がれるようにしていた」。操っていた大型船は高速で、止めようとしても約1800メートルかかるからだという。

 同じく何度も同海域を航行した経験を持つ物流会社の輸送船の元船長(55)も「漁船が横切ってもなお、なぜ自動操舵のままなのか」と首をかしげる。この海域で「このままだとぶつかる」と危険を感じたことは一度や二度ではないという。

 「イージス艦の対応は遅すぎる。この海域に慣れていないのは明らかだ」と批判する。

 身内トップからも疑問の声が上がった。

 石破防衛相は22日、衆院安全保障委員会で「太平洋のど真ん中と同じような自動モードにしていたのなら、適切ではないのではないか、と一般論として思う」と答弁。加えて、あたごが「後進」に切り替えて衝突を避けようとした際も、最後までかじは切っていなかったことを明らかにした。

太平洋フェリーの場合、最大速度が24ノットとかなんだが、この海域ではどれくらいの速度を出していたのかね?大型船のエンジンというのは簡単に回転数を上げたり下げたり出来ないモノなので、舵だけで避けるのが常識だそうで、時には前を漁船団に塞がれて大型船が円を描いてやり過ごしたりする事もあるようだ。もちろん、自動操舵ではそんな器用な真似はしてくれない。

ところで、話はガラッと変わってタイにチェンマイという町があるんだが、やたらバイク事故が多いわけだ。バンコクより多い。というのも、バンコクを走るバイクは慣れたヤツばかりなので事故は少ないんだが、チェンマイでは田舎者が出てきて走っている。コイツらはふだん対向車もロクにない田舎道しか走ってないので、「都会」を走ると事故を起こす。というような事もあるので、さて、「あたご」の母港はどこでしたかね?というような話です。

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