イージス艦「漁船、後ろ通ると判断」 見張り、12分前2008年02月22日15時17分 海上自衛隊のイージス艦「あたご」とマグロはえ縄漁船清徳丸の衝突事故で、清徳丸を最初に視認した見張り員が当初、清徳丸があたごの後部を通過するため衝突しないと、思い込んでいた可能性があることが22日、防衛省の調査でわかった。だが実際には、あたごに接近した清徳丸の僚船が前方で次々にあたごを回避したうえ、清徳丸との衝突に至っていた。同省や第3管区海上保安本部は、見張り員の認識に加え、当直士官らへの伝達、その後の判断に問題があった疑いがあるとみて、乗組員の事情聴取などを進めている。
防衛省の説明などでは、あたごの見張り員は、衝突12分前の19日午前3時55分、前方右側に清徳丸とみられる灯火を視認。左舷の赤灯だった。あたごは、衝突地点の手前4キロ弱付近を航行していたとみられているが、見張り員は同省の調査に「そのまま進めば、あたごの後ろを通り過ぎると判断した」との趣旨の話をしているという。 同省のこれまでの説明では、あたごはその後も自動操舵(そうだ)を続け、清徳丸との衝突1分前になって後進、手動操舵に切り替えた。清徳丸は前方約100メートルで大きく右にかじを切った、としている。 同省関係者によると、当初、視認した時点では必ずしも緊急に回避行動を取る必要がある距離ではないが、その後、接近する船舶の動向に十分に注意を払う必要があった、とされる。 一方、近海の海域で大型船と漁船が行き会う場合、小回りのきく漁船の方が回避することが多いのが現状だという。清徳丸と一緒に漁場に向かっていた金平丸の市原義次さん(54)は、これまでも相手が大型船の場合、回避義務が先方にあっても漁船側が回避してきたと指摘。「大型船は回避に時間がかかるから、そうしてきた」という。 だが防衛省関係者は「護衛艦の乗員にとって、小型の漁船と行き会うことは、本来、最も注意を要する」と言う。動きが読みづらいからで、この関係者は「複数の漁船がいたのであれば、より慎重に航行するべきだった」と話す。
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