公明党は22日、救急患者に対する医療機関の相次ぐ診療拒否を防止するため、情報システムを整備する法案の骨子案を発表した。昨年8月、奈良県の妊婦が複数の医療機関に受け入れを断られ死産するなど救急搬送をめぐる問題が頻発しているのに対応した。自民、公明両党で近く作業部会を設け、今国会での法案提出を目指す。
骨子案は、都道府県に情報センターを設置し、手術の準備や空きベッドなど救急搬送に役立つ情報を各病院から常時吸い上げる体制を構築するのが柱。各病院に専門スタッフを配置するとともにセンターには連絡調整役を置く。
これにより、病院常駐のスタッフが提供する最新情報に基づき、救急隊は適切な病院に直行できるようになる。搬送先の判断に困る患者は、情報センターで待機する連絡調整役が病院と連携をとり、救急隊に搬送先を指示する。費用の一部は国が負担する。
公明党は昨年11~12月に全国1140救急病院を調査。この結果、44都道府県で導入済みの「救急医療情報システム」で、実際には人手不足などで36%が消防に情報提供していないことが分かった。【西田進一郎】
毎日新聞 2008年2月22日 19時06分