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2人強殺事件で異例の反対意見 最高裁「更生可能性見いだせない」
検察側が死刑を求刑し、1、2審とも無期懲役となった強盗殺人事件の上告審で、最高裁第1小法廷(涌井紀夫裁判長)の5人の裁判官のうち、2人が「量刑不当で審理を差し戻すべき」との反対意見を述べていたことがわかった。3人が2審判決を是認したため検察、弁護側双方の上告は棄却されたが、死刑、無期懲役の判断について最高裁の裁判官が反対意見を述べるのは極めて異例だという。
審理されたのは、暴力団組員の岡田孝紀被告(29)ら2人。決定は20日付。両被告を無期懲役とした2審仙台高裁判決が確定する。
1、2審判決によると、岡田被告らは平成15年、福島県いわき市内の事務所で、同じ暴力団組員2人を射殺し、現金約30万円の入ったバッグを奪った上、遺体を山中に埋めた。
第1小法廷の多数意見は、暴力団員同士の犯行だったことや、岡田被告らが若いことなどを有利な事情と判断し、2審判決を是認した。
これに対し、甲斐中辰夫裁判官(検察官出身)は、「被害者が暴力団員であるということは酌量すべき事情と評価できない」などと指摘。その上で、「多数意見が岡田被告の酌量すべき事情と述べているところは、量刑考慮の重要要素でなく、同調できない」とした。
才口千晴裁判官(弁護士出身)も「同情すべき事情を見いだすことはできない」と判断。また、「裁判員制度を目前にして、死刑と無期懲役の量刑基準を可能な限り明確にする必要がある」とも述べた。