コソボ:独立宣言を採択 米欧承認へ、セルビア反発
【プリシュティナ小谷守彦】国連暫定統治下にあるセルビア共和国南部コソボ自治州の議会は17日、特別本会議を開き、セルビアからの独立宣言を採択した。米国や欧州連合(EU)加盟国の大半が独立を承認する見通しだが、セルビアやロシアは反発。国際社会の対応は割れ、対立が深まる恐れもある。
サチ自治政府首相は、コソボ独立を容認したアハティサーリ国連事務総長特使の調停案に基づき、「独立民主国家になる」と宣言、新憲法の早期採択を約束。一方で、少数派セルビア人の文化・伝統の保護を強調した。
コソボは98年のアルバニア系住民とセルビア人の民族紛争から10年を経て、独立国の歩みを始める。社会主義体制だった旧ユーゴスラビアの解体は最終章を迎え、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、マケドニア、セルビア、モンテネグロ、コソボの7カ国となる。
地元紙が入手した新憲法草案によると、新国家名は「コソボ共和国」となる。「多民族国家」と位置付けられ、世俗主義を掲げる一方、信教の自由をうたう。
コソボには約1万6000人の北大西洋条約機構(NATO)部隊が引き続き駐留し、EUが約2000人の文民支援部隊を派遣する。
セルビアのタディッチ大統領は17日、「独立は認めない。外交的、法的手段で応じる」と対抗措置を警告。コソボ北部のセルビア人居住地域では独自に議会を設置しコソボからの離脱を目指す動きも出ている。