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カルテ紛失で大阪大に賠償命令、治療経過不明の苦痛認定

2008年02月21日

 大阪大学歯学部付属病院(大阪府吹田市)がカルテを開示せず、医療過誤訴訟の立証を妨げられて精神的苦痛を受けたとして、大阪市の元患者の男性(70)が阪大に対し、慰謝料など1700万円の賠償を求めた訴訟の判決が21日、大阪地裁であった。大西忠重裁判長は「病院はカルテを一部紛失し、開示できなかった。訴訟への影響は認められないが、治療経過を知りたいという男性の心情はもっともだ」として慰謝料30万円を支払うよう阪大に命じた。

 原告代理人で医療裁判に詳しい石川寛俊弁護士は「カルテ開示をめぐり賠償を認めた判決は知る限り初めて。病院への警鐘になる」と評価した。

 判決によると、男性は92年、あごの手術を受けて後遺症が残り、98年に「医療ミス」を主張して阪大を提訴。手術時のカルテは「所在不明」と開示されず、04年に今回の裁判を起こした。医療過誤訴訟は男性の敗訴判決が確定している。

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