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ひと:李健雨さん=母国での参政権を勝ち取った在日韓国人

 ◇李健雨(リ・コヌ)さん(55)

 在外韓国人に母国での参政権を認めていなかった韓国。「公職選挙法は違憲」とする訴訟の先頭に立ってきた。自ら原告となった裁判では敗れたが、後を継いだ在日同胞らの2次訴訟は昨年6月、韓国の憲法裁判所で全面勝訴。今年末までの法改正が義務づけられた。「次期大統領選に向け、早急な法整備を」。早くも先を見据えて、25日に大統領に就任する李明博(イミョンバク)氏に要望書を送った。

 70年、母国の大学へ留学したことが、この取り組みのきっかけだった。軍政打倒の学生運動に参加したが、仲間内の話が選挙に及ぶと孤独感が募った。「私は韓国の国民ではないのか」。積年の「恨(ハン)」(痛恨や悲哀の感情)を晴らそうと95年、在日同胞で作る市民団体を設立。母国で愚直に説いて回ったが、無理解に苦しめられた。

 協力要請で訪ねた雑誌の編集長は、在日韓国人に日本国籍が与えられていると思っていた。パスポートを見せると涙を流して不明をわび、特集を組んでくれた。確信に変わった母国での手応え。韓国国会での論議にまで広がった。

 法改正後は、一定条件を満たした人が選挙権を得るが、選挙人の登録方法など課題は山積する。

 「民主国家の選挙権は基本的人権。それを行使できた時、私の恨も晴らせることでしょう」<文と写真・平川哲也>

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 ■人物略歴

 在日韓国人2世。昨年11月発足の「在日韓国人本国参政権連絡準備会」委員長。兵庫県三田市在住。

毎日新聞 2008年2月21日 東京朝刊

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