僕はイマイチ絵文字の重要性を生活の中では理解できていない日本人の一人だ。ブログやSNSで絵文字に対応しても、それが重要な事かどうか分からない。絵文字に対応しない環境の人が見たらどうするのだろう、それが原因で全部が文字化けしてしまったら、元も子もない。こんな心配ばかりして敬遠しているから、理解できないのも無理はない。しかしこんなに敬遠していても、絵文字付きのメールが送られてきたら、意味は分かるし雰囲気も分かるから、絵文字の表現はなかなか侮れない。 一方でケータイで絵文字もろくに使えないと、当時22歳の大学生だった僕もワカモノではない、「年寄りだ」という扱いにされてしまうから怖いものだ。しかし当時言われた「年寄りだ」という意見はもはや適切ではなくなってきた。最近は孫とコミュニケーションを取る年配の方のほうが、僕なんかよりもよっぽど流暢に絵文字を使いこなすんだから。実際にそんな現場を目の当たりにしてしまい、ケータイについて考えている人がこれでは良くないと思った。 そこで色々なヒヤリングをしたり、実際にもらったメールを見ながら、勉強をした。勉強するモノでもないと思いつつ、とにかく慣れるように努めてみた。そこで僕なりに解釈したケータイメールの絵文字についての傾向と対策を残しておきます。別に体系だった学習法があるわけではなく、あくまで僕が見聞きして絵文字を使うように心がけた道筋のふりかえりみたいなものだ。夏の自由研究として。ちなみに話を聞くときに、あまりに無意識でやっているから「なんでこの絵文字を使ったのか分からない」と言われる場面が何度もありました。 さて絵文字の一般的な使い方は、句読点を絵文字に変換する事から始めれば分かりやすいようだ。句読点の直前や後ろの文章を気にしながら、関連性のある絵文字を選んでいくのだという。朝一のメールだったら「おはよー」と件名か冒頭に書くことになるが、もし晴れていればここに太陽の絵文字を付けて「おはよー(太陽マーク)」を付ける。これでさわやかな朝の雰囲気が出てくる。 ヒヤリングの中で、もし「おはようー」の後が雷の絵文字になっていたら、怒りのメールだという。おそるおそる本文を見ると「何で昨日の夜電話くれなかったの?」と続くことになる。あるいは小さく飛ぶ2つのハートマークの絵文字を付けて、ラブラブな感じを出す演出もするそうだ。小さいハートを選ぶのにも理由があって、「大きいハートはコッテリしすぎて、さりげなさがない」から選ばないのだそうだ。僕が、絵文字が付いている時点でさりげなさはないんじゃないか、とも思っていたのはもはや過去の話だ。 「おはよー」に続く1文字の絵文字であっても、思い思いの意味が込められている。僕はもうちょっと日本語で何とかしても良いのに、と思う節がある。ことえり(言葉選び)や行間に意味を込めたりする奥ゆかしさにも楽しみを感じたいと思ってしまうけれど、何しろケータイからきた瞬間に返すようなスピード感と、表示領域をゆったり取れないという特徴と制約を考えると、絵文字の表現を活用するのも納得できる。とにかく多様に、雰囲気や言葉のニュアンスを装飾する事が出来るのだ。 とりあえずの導入が出来たところで、もう1つ身につけておくべき事は、使う絵文字に個性を持たせることだそうだ。前述した「コッテリしたハートは好みではない」のように、自分らしい絵文字の表現を固めていく作業だ。メールを見ただけで誰から来たメールだか分かるようになれば合格点だと言われたが、これはハードルが高い。 まず気に入った絵文字を見つけて、それを自分のメールで多用する。前回ご紹介した、とあるキャリアの方は、困ったら車椅子の絵文字を使うのだそうだ。「とりあえず付けておけば、自分のメールだと分かるから」という。このように、文脈にちょうど良い絵文字が見つからないときに、その気に入った絵文字を使うようにすると、いつの間にかそれが個性的な絵文字遣いになるようだ。最近の端末では、絵文字や記号の使用頻度がリストアップされる機能が搭載されているので、これも参考になるのではないか。 基礎が押さえられたところで、勝手に応用編に入る。2つのアプローチを紹介しよう。1つは組み合わせ、もう1つは読み替えである。組み合わせは文字通り、複数の絵文字を組み合わせて別の意味を作り出すこと。 そして読み替えは絵文字のカタチなどにに注目して、本来の意味ではない別の意味を持たせて使うことだ。組み合わせの例で行けば、ビールジョッキ+男女のトイレマーク+ビールジョッキで「合コン」、虫眼鏡+2つの目玉で「どこにいるの?」など。読み替えの例は、チケットの絵文字でリップクリーム(唇の絵文字をを組み合わせてもいいかもしれない)、乙女座の記号をアルファベットの「M」と置き換える、など。 例えばMacのデスクトップユーザーの場合、i-modeのチケットの絵文字を見ると、どうしてもウェブカムのiSightに見えるかもしれない。このように読み替えが始まると、意味が通じる相手とそうでない相手が出てくる。ある意味では共通認識を作ったり試したり、暗号化して情報を伝える事にも繋がってくる。とにかく使ったことのない絵文字を勇気を持って使ってみる、と言うトライをしてみてはどうだろうか。 ここまでワカモノ流儀の、かわいげのある絵文字の使い方のふりかえりをしてみた。ワカモノが伝えられる雰囲気があるのだから、オトナの雰囲気を醸し出す絵文字の使い方もあるのかもしれないし、年配の方の間でしか通じない絵文字の使い方だって発生してくる可能性がある。 9月までにはDoCoMo、Vodafone、auの3キャリアとも、ケータイメールの絵文字の自動変換機能に対応する。デザインの違う各キャリアの絵文字では、組み合わせはともかくとして、カタチから判断する読み替えには対応しないだろうし、絵文字のデザインが気に入る、気に入らないという好みもある。日頃絵文字を使ったメールを交わすようになると、自分らしい表現が出来る(絵文字が使える)ケータイキャリアは? という選び方をする動きも少なからずあるのかもしれない。 海外のコミュニケーションサービスにも、アイコンを使ったチャットやメールに対応しているサービスは多い。日本以外の絵文字事情を調べてみたいという興味が湧いてきたが、一方で日本のようにカタチから読み替えたり、漢字の偏と旁を組み合わせて意味を作るような組み合わせと言った表現が、はたしてあるだろうか。もしこれが日本独自の動きだとすれば、そこに新しいも自分かが発生しているような気がするのだけれど。
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