呼び出し勤務医に特別手当支給へ、福岡大病院が4月から
福岡市の福岡大学病院(内藤正俊院長)は、休日や時間外に呼び出しを受けた医師に“特別手当”を支給することを決めた。4月から実施する。救急の重症患者や早産、多胎妊娠といったハイリスクの患者が集まる大学病院では、当直医らの負担が大きく、超過勤務をしても事実上、サービス残業になっていることを考慮した。産科を中心に大学病院の医師不足が問題になる中、注目を集めそうだ。
福岡大病院によると、支給されるのは産婦人科、外科、救命救急センターなどの医師。呼び出しだけでなく、当直中の出産や緊急手術も対象。支給額は1回当たり、教授、准教授、講師、助教が7000円、助手が5000円。さらに助教以上の医師が3時間以上、治療に当たった場合、5000円を加算する。交通費は原則として支給しない。
同病院では現在、呼び出しの医師が3時間以上の勤務をした場合、一律に5000円を支給しているが、交通費が支給されないことから、タクシーで出勤すると足が出るケースもあった。当直中に急患や緊急手術が重なっても特別な手当はなかったという。
厚生労働省の調査によると、医師の平均的な労働時間は週63・3時間。法定労働時間(週40時間)を大きく上回っている。ハイリスクの患者が集まる大学病院や総合病院では、過酷な勤務の割には報酬が少なく、診療報酬が上がっても個人に反映されないことも多く、病院からの医師離れを加速させているといわれる。