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イージス艦事故で欠点露呈 日本の安全保障に試練

02/21 01:36更新

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 イージス艦と漁船の衝突事故は、日本の安全保障体制の諸問題を浮き彫りにした。海上幕僚監部・広報室の電話は19、20の両日、鳴りやまず、ほとんどは「テロならどうするのか」という抗議だった。練度と規律、装備において各国海軍から称賛されている海自は、大きな試練を迎えている。(野口裕之)

 【水上レーダー】漁船は灯火をともしていたが、もしテロ目的の偽装船であれば無灯火。もっと高速でもあるはずだ。

 一方、イージス艦は、遠方の高性能戦闘機や大中型軍用艦への攻撃・防御を主目的に建造されており、眼下の、しかも小型船はギリギリの想定内だ。従って、米中枢同時テロ以来、高速・小型・低空目標への対処を訓練項目に追加。近代戦では使わない機銃まで、護衛艦に装備した。

 超近代的な「対称」兵器は、前時代的な「非対称」兵器に弱い。実際に2000年10月、一定の警戒態勢をとっていた米海軍のイージス艦がイエメン沖で、自爆テロ攻撃を受けた。高性能爆薬を積んだゴムボートは船体に横12メートル、縦6メートルの穴を開け、17人が死亡、39人が負傷している。

 日米イージス艦には船舶を監視する水上レーダーが備えられているが、大型商船に比べ格段にレベルが高いわけではない。ところが、ベテラン下士官になると、潜水艦が瞬時に引っ込める潜望鏡の最先端を見破る。米軍をはじめ諸外国の海軍が一目置く「匠(たくみ)の技」が、海自の精強ぶりを支えた要素だっただけに、関係者の衝撃は大きい。

 【防空レーダーとソナー
 水上レーダーより対処が懸念されるのが、防空レーダーと潜水艦の出す音を識別するソナーである。100以上の目標を防空レーダーでとらえ、数十の目標に対処できる能力がイージス艦の強みだが、出力の大きい近代システムは有事を除き日本近海では出力=性能を大幅に下げるか、オフ状態にしてきた。ソナーも同様だ。娯楽用を含む民間の電波を阻害することを禁じた電波法が規制し続けてきたからだ。しかも東シナ海のような浅海では乱反射するため、ソナーでは米海軍でさえまねのできない「匠の技」で、海自は国防を担ってきた。ハンググライダーや軽飛行機などでテロ攻撃された場合、防ぐのは容易ではない。

 【政治の無知】
 さらに恐ろしいのが、政治の認識の甘さ。安全保障を考慮しない電波法の放置は典型である。たとえテロ船に気付いても、対処は困難を極める。有事に際し防衛出動が下令されているのなら、向かってくる船を敵として識別、攻撃もできよう。だが、平時の「脅威判定」は難しい。今回のように夜間であればなおのことだ。

 もっとも、武器使用に至るまでの過程であるROE(交戦規定)は、各国海軍に比べて、踏まなければいけない段階が多い。誤射の場合も、一般刑法で裁かれるため、軍刑法を保有する諸外国の軍隊に比べ、格段に罪が重くなる。自衛官は迎撃を躊躇(ちゆうちよ)せざるを得ない。

 以上は、政治が自衛隊を軍隊とは認めないことにも起因する弊害だ。結果、防衛省・自衛隊の一部は「官僚の横暴と制服の官僚化」という、由々しき事態に陥っている。

 今回の事故では、大臣に情報を伝える前に、内局=背広組は40分も情報をプール。緊急事態に、制服組が直接大臣に報告できない体制が、対処の遅れを助長した。

 一方、制服では「戦(いくさ)上手」より“制服を着た官僚”が重宝されている。かくして、わずかだが一部は「戦えない軍隊」となった。太平の世故に、政治が防衛省(庁)・自衛隊に政治・行政対処能力ばかりを求めた続けた帰結である。

 挫折を繰り返してきた防衛省・自衛隊改革にはまず、政治が戦闘集団であるという自衛隊の本質を理解することから始めねばならない。

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