MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

ニュース: 政治 政局政策地方行政写真RSS feed

イージス艦事故で欠点露呈 日本の安全保障に試練 (2/2ページ)

2008.2.21 00:30
このニュースのトピックス安全保障

防空レーダーとソナー

 水上レーダーより対処が懸念されるのが、防空レーダーと潜水艦の出す音を識別するソナーである。100以上の目標を防空レーダーでとらえ、数十の目標に対処できる能力がイージス艦の強みだが、出力の大きい近代システムは有事を除き日本近海では出力=性能を大幅に下げるか、オフ状態にしてきた。ソナーも同様だ。娯楽用を含む民間の電波を阻害することを禁じた電波法が規制し続けてきたからだ。しかも東シナ海のような浅海では乱反射するため、ソナーでは米海軍でさえまねのできない「匠の技」で、海自は国防を担ってきた。ハンググライダーや軽飛行機などでテロ攻撃された場合、防ぐのは容易ではない。

政治の無知

 さらに恐ろしいのが、政治の認識の甘さ。安全保障を考慮しない電波法の放置は典型である。たとえテロ船に気付いても、対処は困難を極める。有事に際し防衛出動が下令されているのなら、向かってくる船を敵として識別、攻撃もできよう。だが、平時の「脅威判定」は難しい。今回のように夜間であればなおのことだ。

 もっとも、武器使用に至るまでの過程であるROE(交戦規定)は、各国海軍に比べて、踏まなければいけない段階が多い。誤射の場合も、一般刑法で裁かれるため、軍刑法を保有する諸外国の軍隊に比べ、格段に罪が重くなる。自衛官は迎撃を躊躇(ちゅうちょ)せざるを得ない。

 以上は、政治が自衛隊を軍隊とは認めないことにも起因する弊害だ。結果、防衛省・自衛隊の一部は「官僚の横暴と制服の官僚化」という、由々しき事態に陥っている。

 今回の事故では、大臣に情報を伝える前に、内局=背広組は40分も情報をプール。緊急事態に、制服組が直接大臣に報告できない体制が、対処の遅れを助長した。

 一方、制服では「戦(いくさ)上手」より“制服を着た官僚”が重宝されている。かくして、わずかだが一部は「戦えない軍隊」となった。太平の世故に、政治が防衛省(庁)・自衛隊に政治・行政対処能力ばかりを求めた続けた帰結である。

 挫折を繰り返してきた防衛省・自衛隊改革にはまず、政治が戦闘集団であるという自衛隊の本質を理解することから始めねばならない。

関連トピックス

広告
イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。