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【政論】 「領土」なき亡国の学習指導要領

2008.2.22 00:39

 どうやら文部科学省の役人たちにも「学習指導要領」が必要らしい。

 文科省は15日、小中学校教育の指針と内容の基準を示す学習指導要領改定案を公表したが、教育の中でしっかり取り上げるべき「領土」を、お忘れのようだからだ。

 改定は約10年ぶりとなったが、郷土・国への愛情の育成といった「愛国心条項」を教育の目標として盛り込んだ改正教育基本法が安倍前内閣時代に成立して以来、初の要領見直しである。当然、同法の精神は領土教育に反映されるべきだろう。

 ところが改定案では、中学校社会科で「北方領土がわが国の固有の領土であることなど、わが国の領域をめぐる問題に着目させる」と記述されただけ。韓国、中国がそれぞれ領有権を主張する日本固有の領土、竹島と尖閣諸島に一切触れていない。

 文科省の高橋道和・教育課程課長は、「指導要領は大綱的な基準であり、重要な項目しか書けない。従来通り北方領土を代表的な領土問題としてとりあげた。要領になくても、竹島と尖閣諸島に触れている教科書はある」と言う。

 しかし、竹島、尖閣諸島の双方について記述している日本の中学教科書は「数冊程度」(自民党中堅)だ。韓国の国定教科書(中学社会科)では竹島(韓国名・独島)に関し1ページも詳説しているのにである。

 北方領土を領土問題の「代表」と決め込み、竹島と尖閣諸島は外す−。官僚に領土問題の重要度や優先順位を判断する権利があるのか。

 平成17年3月に中山成彬文科相は国会で「北方領土の教科書記述を充実させるとともに竹島・尖閣諸島がわが国固有の領土と明記するよう学習指導要領を改善したい」と表明したが、この始末だ。背景には中韓両国への過剰な政治的配慮のにおいも漂う。モノ言わぬ姿勢は相手に増長を許すだけだ。

 「隣国によって1平方メートルの領土を奪われながら、膺懲(ようちよう)の挙に出ない国は、やがては領土をまったく失って国家として存立することをやめてしまうだろう」

 19世紀のドイツの法学者、イエーリングは著著『権利のための闘争』で、こう喝破した。

 領土の大切さを子供たちに正面から教えずして、国の未来はあるのか。福田内閣の責任は重い。(高木桂一)

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