2008年02月22日 更新

鈴木のファイト見習え!岡田監督が主将の“闘志”を大絶賛

練習後、岡田監督(右)と話し込む鈴木(撮影・森本幸一)

練習後、岡田監督(右)と話し込む鈴木(撮影・森本幸一)

 東アジア選手権(21日、中国・重慶)中国戦に1−0で勝利した日本代表は、23日の東アジア選手権最終戦・韓国戦に向けて再始動。岡田武史監督(51)は、MF鈴木啓太(26)=浦和=が相手DFと乱闘になったことを高く評価したことが分かった。次戦では歴代単独4位のデビュー以来25戦連続出場も達成する見込みの鈴木が“乱闘”で、さらなる信頼を勝ち取った。

 戦いから一夜明け、中国紙タイタンの一面を鈴木が飾った。DF李●(王へんに韋)峰から『のど輪』を仕掛けられながらも、鋭く相手をにらむ強い眼。その後に鈴木は強く相手の腕を振り払うなど“大立ち回り”を演じ、両者警告を受けたが、岡田監督はそれを高く評価していた。

 「ファウルに対して、物足りないくらいカッとしなかったね。ケイタ(鈴木)の時ももっと助けに行けばいいのに。プロ野球の罰金制じゃないけど、1人じゃかわいそう」。中沢程度しか援軍に加わらなかった状況について、練習前には内田に「何で助けに行かなかったんだ」と質問。「そういうところも勝負。やられっぱなしではいけない」と助言したという。

 「やり返せ」という野蛮な話ではない。大甘判定を契機に中国のラフプレーで体各部に打撲、裂傷を負わされたからこそ。「中国の選手も地元で必死。これでイエローにならないと思ったら、それはいきますよ。レフェリーが悪かろうが結局、勝たないといけない」。やられっぱなしではなめられ、調子に乗せるだけ。後半37分、1点を守る上で厳しい時間帯にみせた鈴木の行動を『見習え』ということだ。

 鈴木自身の意図も同じ。「士気を高める上で大事だと思ってやった。やられてばかりではいけない。イエローはほめられないけど、僕の行動は間違っていない」。さらに「W杯予選ではイエローが次に関わるので変わる」と冷静な状況分析もしていた。練習後に監督に呼ばれ会談。中国戦前半で位置取りが悪かった守備陣について「選手同士で話して修正しろ」とまとめ役にも指名された。日本人監督だからこそ見えやすい精神面が、さらなる信頼をもたらす。

 「まだ何も終わってない。タイトルを取るつもりで行く。満足してるヤツはいないだろ!」。そんな指揮官の号令で再始動した岡田ジャパン。旧正月を祝い、連夜打ち上がる花火よりも熱く、鈴木の闘志が初タイトルを牽引する。

(志田健)

『のど輪』を仕掛けられた鈴木の写真を大きく扱う中国紙(撮影・森本幸一)

『のど輪』を仕掛けられた鈴木の写真を大きく扱う中国紙(撮影・森本幸一)

★中国紙「日本に10年勝ってない」

 日本−中国戦から一夜明けた21日、中国各紙は、大々的に試合をとりあげた。重慶朝報紙は中国代表について「日本に10年勝ってない」「体力はあるけど、頭も技も足りていない」などと報道。反日的な表現はなく、試合結果を謙虚に報じた。一方でタイタン紙は、MF鈴木(浦和)とDF李の乱闘寸前のシーンを写真つきで紹介。鈴木が先に汚い言葉を吐いたなどと報じたが、本人によると実際は違っていたという。

★“被害者”安田は元気に練習参加

 中国戦で負傷退場したDF安田理(G大阪)はこの日、元気に練習参加。前夜の試合について「右脇腹に16文キックをくらいましたよ。キーパーをしばきたかったけど、痛すぎて無理でした」。試合後のレントゲン検査では骨に異常はなかったが、韓国戦の出場について岡田監督は「あしたの様子を見て」と慎重な姿勢を見せた。

 一方DF駒野(磐田)は中国戦での左足関節ねんざで、DF岩政(鹿島)も左腓骨筋腱炎症で別メニュー調整となった。

第3回東アジア選手権・勝敗表
【男子】勝点
韓  国+1
日  本+1
北 朝 鮮 0
中  国−2
【注】21日現在

■北朝鮮戦上回る視聴率16.9%

 20日にTBS系で放送された「東アジア選手権 日本−中国戦」の平均視聴率は16.9%だったことが21日、ビデオリサーチから発表された。同大会で日本の初戦だった北朝鮮戦(17日、TBS系)は14.0%だった。(いずれも関東地区)