ほとんど喋らない、振り込め詐欺師

それは「電話番号、変えたから」から始まった

rararu(2008-02-21 23:00)
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 もうすぐ、卒業、入学、入社、転勤などで転居のシーズン到来。

 この頃、振り込め詐欺の報道も、少なくなったようだが、この時期に発生すると思われる手口があるので、ご注意を。

 この話は、私の両親が引っ掛かった実話なのだ。

 ある日、私の仕事中、母から携帯電話に電話があった。丁度、移動中で電話に出られる状態だった。

 私本人「どうしたの?」
 母「○○(私の名前)か? お前、携帯電話の番号変えたのか?」
 私本人「変えてないよ、前のままだよ」
 母「やられた! オレオレ詐欺だっ。あんた――、あんた――」と、近くの父を呼ぶ声。 
 母「ほんとに○○(私の名前)だな。ほんとに電話番号変えてないな? すぐ、掛けなおす」

 少し待つと、気を落ち着かせた母から電話が来て、ことの顛末を聞いた。

 発端は、1本の電話から。
 詐欺師「オレだけど、元気?」
 母「○○か?、どうした?」(←私の名前を、母が自ら暴露)
 詐欺師「携帯電話の番号変えたから、今から言うよ」
 母「わかった。メモするからちょっと待って」
 詐欺師「○○○-○○○○-○○○○」
 母「了解。たまには電話してきな。お父さん、○○(私の妹)にも言っとくから」(←家族構成を暴露)

 母は、滅多に電話をしない息子(つまり、私)から電話があり、それをきっかけに、夕方になってから、教えられた電話番号へ電話をかける。そう、メモリーには、○○(私の名前)○○○-○○○○-○○○○と記録されている。

 母「○○か、お前の新しい電話番号、登録しておいたから」(←すっかり信用している)
 詐欺師「うん。うん」
 母「○○さん(私の妻)、○○たち(子ども達)は元気か?」(←妻子持ちであることを暴露)
 詐欺師「元気だよ、忙しいから切るね」
 母「ごめん。ごめん」

 数日後。母の携帯電話ディスプレイには「○○(私の名前)、着信」と表示あり。
 母「○○か? どうした?」
 詐欺師「ごめん、ちょっと言いづらいことがある」(落ち込んだ、声)
 母「何だ、どうした?」(声が違うが、落ち込んでいるからか? と解釈)
 詐欺師「お金が必要。でも、お父さんには言わないで」

 どうやら、詐欺師の組み立てたストーリーは下記のようだ。

 妻以外の女性に手を出し、喧嘩別れになり、相手の女性に怪我を負わせた。治療費と慰謝料で500万円を要求され、払った。そのお金は、消費者金融から工面し、その消費者金融の窓口から電話を掛けている。今日中に払わなければ、500万円では済まない。私に成りすました○○では話にならないので、消費者金融担当者が電話に出る。

 そこで、父登場。何故か、消費者金融担当者は、実家の住所、電話番号、職業、家族構成を事細かに聞き出したらしい。父は、ご丁寧に正直に答えたらしい。

 商売人の父(自営業)は、500万円を300万円に減額交渉し、成立。息子のために銀行自動払込機まで、車を走らせた。ところが、振込先をメモした用紙を忘れ、自宅に引き返す。

 危機一髪。父が自宅にメモを取りに戻り、もう1度銀行に行こうとしたところ、母が「もしかしたら、オレオレ詐欺かも」と思い至り、私の携帯電話に掛けてきた(冒頭の電話)。そこで、やっと自分(達)が騙されていたことがわかったらしい。

 詐欺師とのやりとりを改めて振り返ると、詐欺師は殆ど喋っていないことが判る。

 母が勝手に喋り、解釈し、納得し、信じている。その言葉1つひとつから、詐欺師は、電話先の女性には、離れたところで所帯を持つ息子がいると判ったのだろう。息子を思う母の心を利用した詐欺技術には、誠に恐れ入った。

 「電話番号、変わったから」との連絡には、ご用心!!

 後日談。母は、妻子ある私のニセモノに、妻子ある身で何事だ、子ども達がかわいそうだと、長々と説教をしたらしい。詐欺師にも気の毒な時間だったと思う。

 父は、女性問題が、私の妻や妻の両親、子ども達に知られる前に、金銭解決をしようと、金策に奔走し、値切りもしてくれていた。

 離れて住む両親を、もっと大事にしようと心に誓う出来事だった。




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