日本人運転手を監視/米軍人向けバスにカメラ
【中部】県内各地の米軍基地を結んで運行する米軍人向けのバス「グリーンライン」の日本人運転手たちが、車内に設置された監視カメラによって「重圧を感じて仕事をするのが苦しい」「なぜ米兵ではなく運転手を監視するのか」などの不満の声を上げ、改善を強く訴えている。運転手側は近日中に関係機関に実態調査を求める方針だ。(吉川毅)
グリーンラインは毎日運行。乗客は主に乗用車を持たない二十代の若い海兵隊員で、週末になると名護市のキャンプ・シュワブなどから北中城村のキャンプ瑞慶覧まで利用し、そこから沖縄市や北谷町の繁華街に繰り出すという。
米軍側は「テロ対策の一環」として昨年十二月、約七十台の全バスにカメラを設置した。バス一台につき四つあり、一つはバックミラーから運転席を見下ろすように設置。残り三つは天上の中央部分から一列に設置されレンズは前方に向いている。
午前零時の最終便では、酒に酔った米兵同士が車内でけんかをしたり、用を足したり、暴れることもあり、運転手が対処することもあるという。
ある運転手は「カメラが設置されたときはわれわれの安全のためと思った。しかしレンズは運転席に向き、常に見られてストレスを感じる」と説明。「上司に当たる業務担当に改善を求めたが、『コンビニでもカメラは付いている。運転手の身を守るためだ』とかわされた。ガソリンが高騰し従業員削減のうわさもあり、批判したことで不安もある」と胸の内を明かす。
運転手たちが所属する北中城村のキャンプ瑞慶覧内にあるガリソン輸送装備(GME)師団輸送部では、約六十人の運転手に対してカメラ設置や職場環境などについてアンケートを実施。基地内の人事課にも改善要求したが、まだ回答がないという。
全駐留軍労働組合マリン支部の仲里修執行委員長は「われわれも回答待ちだ。運転手側からもう一度詳しく事情を聴いた上で、状況が変わらなければ防衛局などに改善を求める行動をしたい」と話した。