- 実態や真意を汲み取ろうとすることは非常に困難だった。合点のいかないことや説明のつかないことがあまりにも多すぎるからだ。でもこの本を読むに当たって、そんなことに力を注ぐことはあまり意味を持たないのかもしれない。メッセージ性より世界観。奇抜な登場人物や出来事が織り成す不条理な世界にグイグイ引き込まれます。とても美しくソフトで平易な文体・文章で不可解な出来事も当たり前に受け入れることができるので、みるみる非現実的な浮遊状態の世界にのめりこんでしまう。
同著者の作品ではダンス・ダンス・ダンスの世界観、ノルウェイの森の主人公の方が好み。 - 海辺のカフカに限らずとも村上春樹の作品はどれもその内容を深く考えさせてくれる。
この小説も同じようにただ読んだだけでは内容がうまく分からないと思う。
村上春樹のほかの作品と一線を画すところはこのカフカには「役割」が与えられている
ということであると思う。この意味をよく考えて読んで欲しい。
また書評にはあまり書かれてなかったが「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」を
読むことで、この小説に書かれている「影が半分しかない」ことの意味
そして「入り口の石を開いてカフカが行った世界の意味」などが分かるのでこれを読んだ後に海辺のカフカを読むことを進める。(これが物語のなぞをとく鍵となる)
よく分からないままにしないで考えて読めば新しい発見がいっぱいあるのが
村上春樹の小説の魅力です。
そして、その意味は物語にはかかれてないのでぜひ自分で考えてください!!
- この作品はゲーテの「ファウスト」に「オイディプス」が嵌め込まれたような構成になっている。黒い犬と悪魔的人物が出てくれば、それはメフィストフェレスのことなのだ。
サエキさんは15の時に、ファウストが「時よ止まれ。」と言うのに等しい禁忌行為(入り口の石を開くこと)を犯してしまう。その時、彼女の魂は分裂し半分は死後の世界へ行く。後に恋人も失う。「夫は息子に殺され、お前は犯される。」という呪いもこの時かけられる。養女を取ったのも、後に主人公のもとから去ったのも、全てこの呪いを怖れてのことだ。石を開いた目的は疑似近親相姦を永久に続けること。恋人と完全に一体化し神話の男・女人間と化すこと。死後の世界か子宮内でしか許されない恍惚境に入ろうとしたのだ。無時間的で無性的な文字や観念もない完全な世界。愛欲も憎悪も暴力も偏見もない世界を現世で実現しようとしたのだ。
ナカタさんは逆に現世の暴力と愛欲に損なわれて乖離した魂が死後の世界に行きっ放しになった空洞人間。メタファーが錯綜し少々わかりにくいが、大体こんな筋ではなかろうか。
メフィストは死後の世界の人間の魂をすべて奪いたいのだが、自分では門の開閉はできない。資格がない。そこでJ・ウォーカーやサンダースに化けてジタバタする。(サンダースと美女は両性具有の天使、大島さんかもしれない。)
「白いもの」は分かりにくいがメフィストの実体だろう。サエキさんの妄念ともとれるが考えすぎだろう。
近親相姦のような暗い衝動を持ち、それゆえ迷い続けるのが人間の実存的条件であり、一足飛びに迷いのない世界に入ろうとすると呪われる。逆にその暗い衝動が実現される宿命を負わされ逃れられなくなってしまう。 そんな内容だと思う。 - 難しく、いろいろ考えさせられる村上さんの小説。
図書館、海辺、森。浮かびあがる情景はとても美しく、儚い。
若くして最高の幸せを手にしてしまったら、人は臆病になるのだろうか?
失う怖さ。変化への恐れ。
自分の中で、甲村少年と佐伯少女の淡い姿が浮かび、それが脆くも美しい感じ。
ナカタ、ホシノは面白かったけど、やっぱよくわからない。
僕はやっぱり、ノルウェイの森が一番好きかな。 - 個人なりに感じた事を書かせて頂きます。
正直な感想を言うと、内容はよく分かりません。
しかしそれはそれほど重要な事ではないです。
と言いますのは村上春樹自身、ストーリーなんてどうでもいいような感じで書いていたように受け取れました。
一貫してこの小説のテーマと思われる「形而上」的発想。
夢のなかの出来事のような、筋の通るような通らないような展開。
現実と夢の境なんて誰が説明できるんだ?の如く進む物語。
そして完結するようで、不完全な終結。
当たり前と言えば当たり前なんですが、好き嫌いが顕著に出る作品だと思われます。
この小説の中に登場する大島さんは、「不完全であるが故に好き」と言っています。
僕もそう思います。
おそらく、全ての謎が解けてめでたしめでたし、だとしたら一回性のありふれた小説になってしまいます。
そのような作品を望む人にはオススメ出来ません。
「何とか殺人事件」等のミステリー小説の方がすっきりすると思われます。
それと登場人物は相当ユーモアです。
井坂幸太郎の描く登場人物と同等に、面白みがあります。
と、ダラダラ書きましたが僕個人の感想で言わせて頂きますと、すこしばかり(もしくは全体的に)哲学的で、抽象的な内容ですが、「特に何もすることねぇよ」って方にオススメしたい作品だと思います。
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