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【2月19日 AFP】スペインのバルセロナ(Barcelona)で開催された「第2回ワインと気候変動に関する国際会議(Second International Congress on Wine and Climate Change)」の2日目となる16日、ワイン業界の温室効果ガス排出削減を目指し、「二酸化炭素(CO2)の貯蔵」に関する議論が交わされた。
■CO2の回収・貯蔵技術も開発中
一般的にはあまり知られていないが、ワイン生産過程では主要温室効果ガスのCO2が大量に排出される。
スペインの生産者、ミゲル・トーレス(Miguel Torres)氏は二酸化炭素を回収して地下に貯蔵する技術を開発中で、チリ・アンデス山脈(Cordilleras of the Andes)のふもとでは、すでにブドウの発酵過程で発生するCO2回収プロセスが開始されてという。「CO2を何かしらの固体に変換し、地下に貯蔵する手法を試みている」と同氏は説明する。順調に進めば、今後はスペインで地元政府の協力の下、より大規模なプロジェクトを実施するという。
現在、こうしたCO2の地下貯蔵実験は世界各地で行われている。
オーストラリアのワイン製造会社Banrock Station Winesも、持続的発展のモデルになるべくCO2貯蔵実験に取り組んでいる。同社の科学者トニー・シャーリー(Tony Sharley)氏は「ブドウ畑近くに森林を再生することもCO2排出削減に役立つ」と指摘する。
■ブドウ生産用地の大移動も必要に?
トーレス氏によると、ワイン製造会社は地球温暖化の影響を踏まえ、ワインの品質維持のためにより高く涼しい所に新たなブドウ畑の用地を探す必要が生じるという。
これに対し、ワイン生産者のJacques Lurton氏は「気候変動による問題はすべて関連している」と語り、気候変動は北半球ではまだワイン生産にとって問題になっていない一方で、アルゼンチンやチリなどの南半球はワイン生産が今後も発展する可能性を秘めていると指摘する。
Lurton氏は「ボルドー(Bordeaux)、アルザス(Alsace)、モゼール(Moselle)などフランスの1部地方は、ワイン生産地域としては限界に近い気候になっている」と認めながらも、まだ何とか生産していけるとみている。さらに、ボルドーのカベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)は、20年後には、現在米カリフォルニア州(California)ナパバレー(Napa Valley)で生産されているワインに近づくと予想した。
別のワイン生産者、Michel Rolland氏によると、生産者が水やエネルギーの消費量を減らして昔ながらの方法でブドウ生産を行うことが重要で、そうしなければワインの品質は向上しないという。(c)AFP
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