サッカーの東アジア選手権第3日は20日、重慶(中国)で男子の試合が行われ、日本代表は地元中国と激突。相手のラフプレーでDF安田理大(20)が負傷退場するなど大荒れの試合となったが、前半17分にMF山瀬功治(26)が値千金の先制ゴール。GK楢崎正剛(31)の好セーブなどでリードを守り切り、1-0で同大会初勝利。第1戦で北朝鮮と引き分けた日本は勝ち点4。岡田監督就任後の通算成績は3勝2分け。23日には岡田ジャパン初タイトルをかけ、最終戦の韓国戦に挑む。
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背番号10の一撃が完全アウエーを打ち砕いた。MF山瀬が4万1000人(公式発表)の中国サポーターを黙らせた。
前半18分、DF駒野からのクロスをGKがこぼしたところを逃さず、高く跳ねたボールの落ち際を右ボレーで打ち抜くと、値千金の先制弾がゴールネットを揺らした。「相手やコース?見えていました。冷静だったというか、ボールが自分の打ちやすい高さに落ちてくるのを待っただけ。何も考えずに状況に合わせて打った」。岡田ジャパンで“単独得点王”となる3ゴール目。指揮官が全幅の信頼を置く司令塔がエースナンバーを背負うゆえんを見せつけた。
過酷な敵地だった。国歌などへのブーイングは激減したが、北朝鮮の主審は完全に中国寄り。後半10分、DF安田がゴール前で中国GKの“跳び蹴り”を右胸付近に浴びて倒れ退場。骨に異常なしも病院へ。その場面では最初にPKスポットを指さしたにもかかわらず中国の抗議でFKに変更。日本ボールが中国ボールに変えられた。
さらに後半39分には、MF鈴木が相手DFと競り合って乱闘寸前状態となり、両者に“ケンカ両成敗”のイエローカードが出されるなど大乱戦。試合終了後は客席からペットボトルが投げつけられたが、日本の選手は平常心を失わなかった。
ブーイングにつぶされた17日・北朝鮮戦の影響など感じさせないイレブンに、岡田監督は「タフな試合になると思っていたが選手が冷静に戦ってくれた。私1人が興奮していた」とたたえた。
23日には優勝をかけて韓国と激突する。岡田監督は「判定の問題だけではないが、多くのケガ人が出たことは不満」と懸念したが、それを乗り越えてこそ真の成長。山瀬は「アウエーの状況の中でも文句を言われないで勝つ力をつけなければいけない」と言い切った。日々たくましく成長する岡田ジャパンが初タイトルへと突っ走る。