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視認後の12分間解明へ イージス艦事故 '08/2/21

 海上自衛隊のイージス艦「あたご」(艦長・船渡健ふなと・けん一等海佐、七、七五〇トン)と漁船「清徳丸せいとくまる」(七・三トン)の衝突事故で、第三管区海上保安本部は二十一日、イージス艦が衝突十二分前に清徳丸の灯火を視認していたのに、なぜ衝突を避けられなかったかを解明するため、乗組員の聴取など捜査を進めた。

 三管は、衝突直前にあたごが行った「全速後進」は車の急ブレーキと同様で、海上衝突予防法が定める「余裕のある時期の回避行動」を怠った疑いがあるとみている。灯火視認から衝突までの十二分間、イージス艦がどんな操船をしたかを解明する。

 防衛省によると、イージス艦は衝突の約一分前に全速後進をかけた。

 しかし、あたごは事故当時、十ノット(時速一八・五キロ)で航行中。全速後進をかけても、急に停止したりバックしたりできるわけではない。

 海上保安庁幹部は「あのクラスの艦船が全速後進するのは、自動車が思い切り急ブレーキをかけるようなもの。操舵そうだ室ではかなりの危機を感じていたのではないか」と指摘する。

 イージス艦の見張りの乗組員は衝突十二分前に漁船の左舷に取り付ける赤色の灯火を確認。この時点で海上衝突予防法上は、あたごの側に衝突回避義務があったとみられる。

 艦内で灯火を確認した後、どのような対応が取られたのか。衝突一分前に全速後進するまでの間に、適切な行動をしていれば、衝突を回避できた可能性がある。

 三管本部は、乗組員の聴取を続ける一方、衝突時までの詳しい位置関係などの解明を目指し、清徳丸の船内から回収した衛星利用測位システム(GPS)のデータを解析。海自横須賀基地に運んだ清徳丸の船首と船尾部分を岸壁に揚げ、損傷状況を詳しく調べた。




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