現在位置:asahi.com>社会>事件・事故> 記事

イージス艦、衝突12分前に灯火確認 直前まで自動操舵

2008年02月21日03時01分

 海上自衛隊のイージス艦「あたご」が19日、マグロはえ縄漁船清徳丸と衝突し、漁船乗組員2人が行方不明になっている事故で、あたごが清徳丸とみられる赤色の灯火を、衝突12分前の午前3時55分に確認していたことが20日、防衛省の調査でわかった。これまで2分前の午前4時5分に気づいたとしていたが、見張り員の話で新たにわかったという。その後の早い段階で回避行動を始めていれば、衝突は避けられた可能性があり、その間の連絡状況や乗員らの判断が原因解明の最大の焦点となりそうだ。

写真

イージス艦「あたご」との衝突で真っ二つに折れた清徳丸の船体が、クレーンで台船につり上げられた=20日午後2時40分、千葉県館山市沖で、本社ヘリから

写真

  

 また、あたごは衝突の直前まで、自動操舵(そうだ)で航行していたことも明らかになった。第3管区海上保安本部の調べで衝突当時、艦橋に10人がいたことも判明。事前にレーダーなどでほかの船舶を把握していた可能性があることから、防衛省や3管は、あたごがなぜ早い段階で回避行動がとれなかったのか、航法が適切だったかなどを検証する方針。

 防衛省によると、あたごは事故直前、約10ノットの速度で、千葉県房総半島南方海域を自動操舵で航行していたが、午前3時55分、見張り員が清徳丸の左舷とみられる赤色の灯火を視認していたという。

 4時5分ごろ、別の漁船とみられる1隻があたごの右前方から左へと横切った。さらに同時刻ごろ、最初に灯火を見つけたのと同じ見張り員が、清徳丸とみられる緑色の灯火を再び視認したが、そのときは漁船かどうかわからなかったとしている。同6分に漁船と確認し、衝突を避けるためにエンジンを後進に切り替えるとともに、自動操舵から手動操舵に切り替えたという。

 かじを切るためだったとみられるが、実際にかじを切ったかどうかは明らかにされていない。また、2回にわたって灯火を視認した見張り員が最初に灯火を見た時、当直士官やレーダー員に連絡を取ったか、衝突の危険性をどう判断したかも、わかっていないとしている。

 当直要員の交代時間が衝突直前の午前4時とされており、同省は、当直士官への報告など引き継ぎがどのように行われたかも調べる。

 当時、レーダーは正常に稼働しており、防衛省幹部は、複数の船影をとらえていた可能性があるとしている。護衛艦のシステムは、レーダーで捕らえた船影を特定すると、その方位や速度を継続して自動的に追跡し、衝突の危険がある場合には警告を発する仕組みになっているが、それにはコンピューターで目標物を指定する必要があるという。

PR情報

このページのトップに戻る