厚生労働省は2月20日、4月に創設する転換型介護老人保健施設(介護療養型老健)について、医療機関からの入所者の割合が家庭からの入所者の割合を35ポイント以上上回ることなどを盛り込んだ施設要件案を社会保障審議会介護給付費分科会(座長・大森彌東京大学名誉教授)に提示した。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準で最重度を示すMランクの人が入所者の25%以上を占めるか、経管栄養か喀痰吸引が必要な人が15%以上となるかのいずれかを満たすことも要件に組み込んだ。認知症患者の割合については批判も出たが、委員らは大筋で了承。厚労省は3月3日の次回会合で単位数を示し、分科会は厚生労働大臣に即日答申する見通し。
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厚労省の案は、入所者の割合と医療ニーズの2点に着目して施設要件の考え方を示している。
介護療養型老健が療養病床の受け皿として機能していることを示すため、医療機関から入所した人と家庭から入所した人の割合の差が35ポイント以上あることを要件として位置付けた。入退所者数は月単位の変動が大きいため、算定日が属する月の前の1年間で評価する。
医療ニーズについては、医療処置と認知症に対するニーズがあるとして2点のいずれかを選ぶと示した。算定日が属する月の前の3カ月間で、@「経管栄養」か「喀痰吸引」を受けた人の割合が入所者の15%以上A認知症高齢者の日常生活自立度判定基準のMランクの人の割合が25%以上―のどちらかを選ぶ。
勝田登志子委員(認知症の人と家族の会副代表理事)は、「転換型老健は本来医療ニーズが低い人が入るものだったはず。4人に1人が認知症の最重度となるMランクではますます医療ニーズが高くなり、何のために転換型にするのかが分からない」と指摘。ほかの委員からも入所者の4分の1となる25%が満たせるのかと疑問視する意見が出た。これに対し、厚労省は次回の分科会で詳細なデータを示すことで理解を求めたいとした。
■耐火基準やエレベーター設置に経過措置
厚労省は、病院や診療所が介護療養型老健に転換する際に障害となる老健の基準省令による耐火基準の規制やエレベーターの設置についても経過措置を設ける方針を示した。
病院や診療所は3階以上に病室がある場合に耐火建築が義務付けられるが、老健では療養室を2階以上に持っていない場合を除いて、原則として耐火建築物とする必要がある。同様に、エレベーターを設置していない病院や診療所は転換に際して設置が義務付けられる。
厚労省は「これらの基準が転換の障害になりかねない」とし、従来の構造設備基準のまま転換できるように緩和措置を図ると示した。
更新:2008/02/20 23:22 キャリアブレイン
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08/01/25配信
高次脳機能障害に向き合う 医師・ノンフィクションライター山田規畝子
医師の山田規畝子さんは、脳卒中に伴う高次脳機能障害により外科医としての道を絶たれました。しかし医師として[自分にしかできない仕事]も見えてきたようです。