「冷凍ギョーザの問題があった矢先にこれでは不安です。『安心・安全』が目的で生協を頼んでいるのに…」
念のため生協に問い合わせてチラシの“偽装”に気付いた都内の主婦(29)は不信感を見せる。
中国産野菜をチラシ上で隠蔽していたのは、都内で運営されている「コープとうきょう」など1都7県の生協事業所で構成される「コープネット事業連合」。生協は、組合員に注文用のOCR用紙とともに、商品が書かれたチラシを週1回配布している。
問題のギョーザは事件後の2月中旬、組合員に配られた同連合発行の「ハピ・デリ!」に掲載された「大阪王将 餃子」。チラシには≪国産のキャベツ・豚肉・小麦を使用し…≫とさかんに「国産」をアピール。同社が今月4日から設置したホームページ上の製品情報にも≪キャベツ、豚肉、小麦粉(皮) 日本≫と記載されるのみでどこにも「中国産」の文字はなく、製造も≪奈良県≫となっている。
夕刊フジの取材に生協広報は「ショウガとニンニクに関しては…中国産と国産の両方を使用してます。現行法で加工食品の原料表示は義務づけられていません。主要原料のみの表示で十分か、と判断しました」と中国産の混在をあっさり認めた。「どちらも使用しているので、どこに中国産が使用されているかは分からない」という。
食品の品質表示を定めたJAS法では、生鮮食品に原産地表示を義務付けているが、加工食品の表示義務は乾燥わかめや漬物など20品目に限定しているだけで、冷凍ギョーザは対象外だ。
生協の主張は正当にも映るが、表示義務の基準は「加工が進むと、原材料ひとつひとつに左右されにくくなる。原材料の表示義務化は、形態が残るぐらい加工度の低いものに限る」(農林水産省)と実に曖昧だ。消費者の間に中国産への不信が蔓延(まんえん)しているだけに、ギョーザ事件の当事者としては「中国産」を開示すべきとも思える。
東京、千葉限定のチラシ「ぐるめぐり」でも中国産野菜を使用する「焼きショーロンポー」と「特製香味餃子」を掲載。このチラシは「デパ地下を意識し、価格帯が高めのこだわり製品を多く掲載する」(生協広報)という高級ラインアップだという。こちらもチラシには「豚肉:国産」「鶏肉:国産 豚肉:国産」と記載するのみで、ホープページで公表する中国産のネギとニラについての表示はない。この件を確認すると、生協広報は「『香味餃子』はニンニク、『焼きショーロンポー』はごま油などが中国産」とホームページに公表されない中国産素材の使用まで次々告白した。
生協側は「チラシは少なくとも1カ月前には印刷を完了しており、掲載は偶然」とぬれぎぬであることを強調する。今後についても「ギョーザの売れ行きなどで判断していく」と回答した。