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更新:6月7日 10:00セキュリティー:最新ニュース

ネットストーカーの恐怖──“リアル”ストーカーになることも【コラム】

 掲示板やブログ、会員制のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)から出会い系サイトまでインターネット上で見知らぬ他人と知り合える機会はどんどん広がっている。しかし、簡単に他人と知り合える楽しさの裏側には、好ましくない他人に自分自身を知られてしまう危険が絶えずつきまとう。

 「ネットストーカー」という言葉がある。いわゆるストーカーとは、一方的な恋愛感情や恨みなどからつきまとい行為(ストーキング)を繰り返す人のことだ。そのネット版がネットストーカーである(警察庁のサイトの用語解説 http://www.cyberpolice.go.jp/words/index.html#na)。

 どのようにしてネットストーカーは生まれるのだろうか。一つには掲示板などで批判的な発言をされたことを根に持ってネットストーカー化するケースがある。しかし、意外に多いのは、個人ホームページの閲覧者がネットストーカーになるケースである。

 たとえば、ある女性は自分のホームページで自分の撮った写真や日記を掲載し、メールアドレスも公開していた。するとそのうち、閲覧者の一人から「僕とつきあってください」と交際を申し込むメールが送られてきた。

 あまりにもしつこいので「もうメールしないで」とメールを送信したところ逆恨みされ、今度は「殺す」「死ね」と書かれたメールが毎日のように送られてくるようになったという(総務省の情報セキュリティサイト http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/security/jiko/jiko08.htm)。

 ネットの利用に慣れていない個人が公開しているホームページには、詳細な自己紹介が書かれている場合が多い。居住地を特定できるようなヒントや職業、それから自分の顔写真まで掲載しているものもある。それらは閲覧者の善意を信じて軽い気持ちで載せているのだろうが、ひとつ間違うとネットストーカーを呼び寄せる「エサ」になる。

 こういったネットストーキングがエスカレートすると、ネット上でやり取りした断片的な情報から推測してストーキング対象者の住所や電話番号などを調べ上げ、いたずら電話や待ち伏せ行為などに走る可能性もある。ネットストーカーがリアルストーカーになってしまうのだ。

 友達探しサービスを提供する側も、ネットストーカーなどのトラブルには敏感になっている。たとえば「エキサイトフレンズ」では、ネット上での出会いからトラブルが生じないよう、利用者に「ルール&マナー」(http://friends.excite.co.jp/friends/help_manner)という形で注意を呼びかけている。「個人情報を安易に教えない」といった基本的な注意に加え、利用者同士が実際に会うことも推奨していない。

 ネットストーカーを過剰にこわがる余り、人間不信になっては元も子もないが、ネット上の出会いを健全に楽しむためにも、やはり最低限の注意は必要だろう。

[2006年6月7日]

-筆者紹介-

宮島 理(みやじま ただし)

フリーライター

略歴

 1975年生まれ。山形出身の大阪育ち。東京理科大学理学部物理学科中退後、IT系企業設立を経て1996年、フリーライターに。現在は関東在住。著書に『ヒルズではたらく社員の告白〜ネット企業って、実際どうよ?』(洋泉社、共著)などがある。

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