◇過酷勤務、見兼ね
大阪府泉佐野市の市立泉佐野病院(348床)で、麻酔科の常勤医4人が3月末で一斉退職することになり、病院は最高で年間3500万円の報酬を提示して常勤医の募集を始めた。同病院の常勤医の平均的報酬の倍以上の高額だが、緊急手術などの対応に常勤医が不可欠と判断した。
病院によると、麻酔科は昨年4月から常勤医4人と非常勤医1人の体制だったが、12月に非常勤医が退職。その後、常勤医の1人が個人的事情で辞職を申し出たのを機に、他の3人も「労働環境が悪化する」と次々と退職の意向を示した。
同病院は年間2000件近くの手術を実施。4月から、特定の所属先のない「フリー」の麻酔科医の雇用で手術のめどは立てているが、常勤医の確保が不可欠として募集を始めた。現在、フリーの麻酔科医に支払っている報酬(1日12万円)を基準に、年間3500万~2500万円の報酬を算出した。既に数件の問い合わせが来ているという。
病院総務課によると、30歳代半ばの麻酔科医の報酬は約1600万円。「3500万円は高額なので、常勤医は1年更新での契約を考えている」という。【江畑佳明】
毎日新聞 2008年2月20日 大阪夕刊